第17節 旅の奇遇
似萍は一体どこに行ったか。
史湘雲への手紙に書いたように、似萍は幸せと平穏のために自分のお母さんと会いに行こうとした。
似萍も事前に計画を立てていた、つまり方法を考え川沿いまで行って、他人が油断する時にすぐ道路に向かい、あそこを通る車に搭乗したらいい。
彼女にとって、それは唯一の方法だ。その計画も彼女がぴんと来る考えではなく、キャンプ地に来る最初日からずっと考えてきた。
キャンプ地周辺のゴビ砂漠には車によって作られた道があるが、どこに向かうなのかもわからないし、それらの道路を通る車も数日間に一台ぐらいしか通過しない。車が来るのを見つけて一生懸命走り向かっても、車と数キロ離れているから、追いつくわけがない。
幸いにこの間、史湘雲は似萍を川につれてくれた。あそこを通り過ぎたときに、他の人からその道も車によってできた道で、はっきりとしない道路だが、地場にある主要路線で、昼間に2時間以内、必ず車が通ると聞いた。
話し手が勝手な話だが、似萍に気付かれた。その時から、似萍はその道路を覚え、川とそんなに遠く離れていないとわかった。
杜さんと邵さんは川沿いで似萍を捜している間、似萍も一生懸命その土路に辿りついた。しばらくしたら、車も来た。数時間後、薛明礼はその道まで捜しに来た時に、彼女も百キロ以上離れたところにいた、でも彼女を連れ去った運転手と運転手弟子二人が彼女にどうしたらいいのかに悩んでいる。
その他の地域から来たトラックだが、営林場へ木材を採りに行く途中だった、似萍と出会う前に、すでにゴビ砂漠で3日間走っていた。その3日間、親子の二人はタイヤに何回パンクされたと行程がうまく行かなくて、時間も大分かかった。また怪しいこともあり、それは蛇だった。出発する前にトラックを掃除したら、わら座布団の下から5尺と長い蛇がいて、めん棒のような太さだ、地元では珍しい種のようだ。棒を見つけて蛇を打とうとしたら蛇もすでになくなった。二人は気にしなかったが、当日の夜に車を止めて砂漠でトイレに行こうとしたら、再び同じような蛇を見た、青っぽくて、同じようにすぐなくなった。一日後、600キロ以上家を離れた二人は寝ている間に鋭い叫び声を聞こえた、音が地面から伝わってきた。お父さんは懐中電灯で照らしたら、あまりに驚かされて声を出した、つまりあそこに同じぐらいの青っぽい蛇がネズミを食べようとしている。音に気付いたら、蛇は獲物をベッドの下へ潜りにいった、他の人を呼んできて、ベッドを覆したら、何もなかったが、床に大豆大きさの血痕が残っている、流したばかりの血だ。
朝食のときに、昨晩のことを話したら、ホテルのスタッフがこのあたりの蛇が少なくて、田んぼにたまにいるが、体が小さく、色は普通が黒いか灰色だと教えてくれた。
「もしかしたら目がかすんでいただろう」と聞かれたら、二人は「そんなわけがないよ。」と言って、蛇と2回会ったことを皆に教えた。
その話を聞いて、皆可笑しいと思った「もしかして同じ蛇がお二人様にずっとついているかもしれないよ」と言ったら、皆はカササギが蛇の病気を治すやら、傷付いた蛇の復讐、美人蛇が人間を食べるなど蛇を話題にしていた。それらの話を聞いたら、お父さんは怖くて顔が真っ白となった。
朝出発する前に、お父さんは再び車を全部チェックした。途について昼を過ぎたら、お父さんはやっと蛇についてのことを話しはじめた「鬼や神のようなことは全部信じてはいけないけど、信じなくてもだめだ。これから蛇と会ったらできるだけ避けよう。」また、お父さんは子供時代に聞いた鬼と神の物語や報いで一時、怖くて一人で部屋にいられなかったなどと話していた。
息子さんはお父さんの話を聞いて、蛇はともかく、鬼・神のことについてぜんぜん気にしなかった、父親の顔を潰したらだめだと思い、反発していなかった。
自分の息子の様子を見て、お父さんはもう一つのことを話した。自分の辺鄙なふるさとには20ぐらいの世帯しか住んでいなかった、周りが黄土の山に囲まれている。自分に妹がいたが、よく泣いていた。ある日、お父さんは泣いている妹に耐えられなくて、住まいの後ろにある山につれて置いた、彼女を驚かせようとしたかっただけだが、しばらくして迎えに行ったら妹もいなくなった、それから、妹と会ったこともなかった。
「野獣に食べられたとかじゃない?」と息子さんが聞いた。
「違う。その辺に野獣が少ないし、食べられてもせいぜい血や服の痕跡が残るだろう」
「誰かに連れて行かれたかな」
「そんなわけもない。あそこの住民が互いに知っているから、外から来る人が一年を通じてほんの数人に過ぎない、見知らない人が来たら、知られないわけがない。妹が失踪したら、村民たちは半径50キロ以上の地域を捜索していたが、行方がぜんぜん見つからなかった。その時の人々は封建的な思想を持っていたから、男の子が盗まれて他人の息子として育つことがあるが、妹が女の子だから、いつか他人に嫁ぐから、そんなに女の子がほしがる人がいるかよ」
「もしかして、おじいちゃんがついた嘘の話じゃないか、とうさんを騙そうとして」
「そんなことがない。その時僕も7歳だったから、物事についてもよくわかっていた。妹のことをずっと覚えている。妹がいなくなったら、お前のおばあちゃんが失明するぐらいよく泣いていて、死ぬまでずっと話していた。おばあちゃんが亡くなる前に妹のニックネームを呼んでいた、その時僕も18歳だった、嘘じゃないと決まっている。」
息子さんはもう話さなくなる、午後になった。
「おばあちゃんは心がとてもいい人なんだ。おじいちゃんに嫁いだら、一生苦しみまくっていた。最初に、おばあちゃんは神様を信じていなかったけど、妹がいなくなってから、神様を信じるようになった。彼女がまだ生きている、小さい時と同じように大きくなっていないとおばあちゃんはいつも言っている。おばあちゃんが亡くなる前に、僕の手を持って僕に言った、妹と会ったらぜひ優しくしてあげてねって。その時に可哀想なおばあちゃんがボケているか迷信になったかと思ったけど、おばあちゃんに承諾した。可笑しいことに、妹の面影がおばあちゃんから僕に移ったように、僕がそれから良く彼女を夢見ていた。夢の中の彼女はすこし大きくなったようだけど、8、9歳ぐらいだ、二つのおさげの格好をしてているが、どうしても彼女の顔がわからない、ただ綺麗な顔をしているのがわかる。」
お父さんがまだ言い続けているときに、車を運転している息子さんは手でお父さんを注意した「とうさん、ほら見て」
息子さんが指差している方向に沿って見たら、何キロ離れたところに、素早く移動している赤いものがゴビ砂漠に目覚しくいる。近付いたら、女の子だった。8、9歳のようで、おさげをして、ピンク色の洋服を着ている。まさか、先にお父さんが話していた女の子がまさかすぐ現れてきた。ゴビ砂漠に住民がいないから、その女の子がどこから来ただろう。それを見たら、お父さんの顔付きが一変した。
「羊を放牧している子かもしれない」と息子さんはお父さんを慰めようとしているが、羊の群れがない。向かってくるその女の子が一生懸命手を振って、車を止めようとしている。放牧者の子供だったら、立ったまま車を見送ることがほとんどだ。
車が止まったら、その女の子の顔をよく見えた、漢民族の子だ、標準語をしゃべっている。女の子がかかってきて「おじさんたちは山の奥に行きますか」とたずねて、はいと聞いたら「よかった、私もあそこに行くつもりです」と話したら車に上った。見知らない男の二人に怖がらないことは二人にとってはじめてだ。車に上ったら、彼女は「よし、行きましょう、早く車を動かしましょう」となれなれしく言った。
彼女の話を聞いていなかったか、お父さんは幽霊を見たように、とても驚いた目つきで彼女を見つめている。彼女の目と会ったら、お父さんは少しビビッて頭を下げたが、口をあけて何かを話そうとしたが、急に止めたようだ。
息子さんは先に話しかけた、びっくりしたように「あなたどこから来たの、どうしてこの無人のところにいるの」
「私知らないよ。」と女の子が言った「家で寝ていたけど、目覚めたらここにいることに気付いたんだ。お母さんもいなくなった。」
「そんなわけがないでしょう、風に吹かれてここにきたのかよ」
「私も知らない、目が覚めたらここにいた」
「怖くないの」
「もちろん怖いよ」
「どうして泣かないの」
「泣く?どうして泣きますか。泣くことも何も役立たないよ。一番大事なのは方法を考えてここを離れることだよ、違うか。」
「じゃっどこに行きたい」
「家に帰りたい」
「家はどこにあるの」
「あそこに見える雪山の中にあります、お母さんもあそこにいる」
「本当?」
「本当よ、嘘つきませんから。誓います。」
「でもっ信じない」
「なんで」
「どうやってここに着たかをよく話していないから」
「もう言ったよ」
「よく聞き取れなかった」
「じゃ、もう一度言う。私は寝込んていたから、何も知らない」
「寝込んでいたか」
「そうだ」
「嘘つき」
「なんで」
「信じないから」
「じゃ、私がどうやってここにきたのかを教えて」女の子はすこし怒り出して、逆に聞いた。
20代の男子若者は「僕がわかるわけがないじゃん。もしかして家から逃げたとか」と言った
「わたしどうして逃げるの」
「間違いを犯したから、両親に叱られるのが怖くて」
「違うよ」
「誰かがあなたをここに連れてきたの」
「誰にも連れられていない、家で寝ていたからって」
「じゃ、お母さんはあなたのことが好きじゃない、あなたを要らないから、ここまで騙してつれて、こっそりと捨てたじゃない」
「お母さんはわたしのことが大好きだから、そんなことをしないよ」
「お母さんじゃなくて、誰がするのだろう」
「わたし知っているわけがないだろう、もしかしてお父さんかもしれない、お父さんはわたしのことをすこし気に入らないみたいんだ」
「どうして気に入らないの」
「教えない。車が動き出したら、親しくなったら教える」
「お父さんの仕事は?」
「あそこの山にいる」
「伐採業?」
「そうだ」
「どうしてあなたのことを気に入らないの」
「言わないといけないですか」
「もちろん」
「なんで」
「あなたの身分を知りたいから」
「言わない」
「言わないと、僕たちはあなたを連れて行かないよ」
「そんなことできるの?私を連れて行かなかったら、車を山の下まで転ばせるよ、あなたたちも自分の死体さえなくなる。」と女の子が脅かそうと言った「もういい、あなたが嫌いだよ、もう話したくない」。言い終わってお父さんの方に向かい、相手の機嫌を取ろうとして「おじちゃん、早く行こう、まだまだ遠いだから、行かないと日が暮れるよ。」
話しているうちに、お父さんはずっと周りを見回っている、果てしないゴビ砂漠には車ダイヤの跡しか何もない。川と遠くないが、エルティシ川の狭い川筋が大地の奥まで凹んで、しかも山に隔てられているから、川に近付かないとあそこに川があるとはわからない。だから、その女の子がどうしてこの荒野に現れたかについて常識で説明できないし、女の子からの脅かしも怖かったから、女の子に催促されたら、お父さんは反対できなくて息子さんに目配せして「聞いたか、とりあえず行こう」
「でもどういうことなのかが分からないまま、彼女を連れて行くのがよくなさそうじゃ…」お父さんから答えをもらわなかったら、再び「トラクションを鳴らしてもう少し待った方がいいじゃない?誰かが彼女を捜しているかもしれんよ、トラクションを聞いたら、こっちに来るかもしれんから。それとも、道に印をつけて、メモを残すとか、彼女を捜してくる人に見つかるかもしれないよ」
「もういいって」お父さんは急に怒り出して「運転したくないか、そうなら俺がやる。ぐずぐず言うな。お前の言ったとおりかもしれんけど、時間を見ろ、もう怠れん。いまからの道がまだ長い、半分山道だから、山々に入って日暮れたらもっと行きづらくなる。お前警察じゃないくせに、どうして彼女の身分を調査するんだ。自分の子供をゴビ砂漠に残す親に焦らせたらいい。彼女を営林場に連れて行こう、あそこで警察に渡そう。あそこで彼女に食事させて、親を捜してくれるよ。お前さ、これから一人で運転する時に、そんな好奇心を持たんでいい、自分が運転手にすぎないから、聞くべきじゃないことを聞かんでやるべきことをやればいい。今回のように、彼女を連れて行って、後は組織に預けたら、お前が間違いだという人がいない、わかったか。」
息子さんは怖くて話せなくなったから、エンジンをかけた。
車が動き出したら、女の子が笑った。
「なんで笑うの」息子さんは女の子が意地悪く笑っているのを見て、機嫌悪く聞いた。
「余計なことを構うから、ざま見ろ」
「テメー」怒り出そうとしたら、女の子が笑い続けているのを見てどうしたらいいかがわからなくなった。
それから、息子さんは疑わしい目で似萍をこっそりと観察しているが、次第に怖くなって、彼女を酷い目に合わせなくなった。
こうなって、似萍はとても嬉しくなった、気持ちもよくて勝手に笑いながら勝手に話をしている。
彼女の様子を見て、親子の二人はもっと不安になり、怖くなった。
いつの間にか、トラックも山の中に入り、太陽を見えなくなった。




