第16節 探り道
その夜、絶望に近い陳新は疲れ果てた体で、暗い荒野で走って泣いて、早く戻ってくるように似萍を呼んでいる。
今までない悔しさを抱えている陳新は夢見ているように自分のせいだと話を繰り返している。似萍が帰ってきたら絶対本当の父のように叱るどころか優しくしてあげる、本当の幸せを体験させると、また宝のように扱い、いろいろなものを買ってあげ、お母さんと会いたいなら連れてあげると話している。
表せない苦しさで陳新は発狂寸前となり、他の人がなかなか近づかない。陳新を心配している薛明礼は車に乗って、陳新の後ろについている、二人はゴビ砂漠で長くて寒い夜を過ごした。
夜明けになると、疲れ果てた彼は絶望の叫びをしたら、気を失って倒れた。
どんなに元気な人でも耐えられないから、彼はひどく病気にかかった。熱を出してどうしてもベッドから上がれない。
それでも、陳新は起きるたびに、馬に乗って山の奥へ似萍を捜しに行きたいと言い続けている。自分の娘が離れたから、何かがあれば陳新が自分でも生きていけないと泣いた。今の陳新は昔とすっかりと変わった。似萍のことで悲しくなりすぎた陳新こそは似萍を追い出した人だ。
「そのようなら、行かせてください。似萍ちゃんを連れてきたのは僕だから、リューバにも似萍ちゃんをちゃんと返すと承諾したから、僕にも責任がある…」
薛明礼は陳新の反応を待たずに、ラジオで上司の同意を得て行動を決めた。
出発する前に、薛明礼は陳新のテントに入り、陳新を厳しく叱った。陳新は最初何もしゃべらなかったが、また涙ながら薛明礼に自分が悪いとわかった、これから必ず似萍に優しくしてあげる、どうしても似萍をつれて帰ってくださいとお願いした。
早く出発したいから、皆は車で薛明礼が乗る馬を似萍を見失ったところまで運んでいったが、着いたら、地面に落ちた花はちょうど道路の真ん中にあるので、似萍が一体どの方向に向かったのかがわからない。話し合ってから、薛明礼は西へ向かうと決めた、つまり西の町にチーム本部があるから、本部に向かう途中に似萍の情報がなかったら、本部に行って、通行許可書を申請することもできる。その通行許可書を持たないと、国境線周辺で誤解され余計なことを招きかねない。また警察など関連セクションに捜査協力を求める。
後にわかるが、薛明礼が選んだ方向は正反対だった。




