第14節 犬猿の仲
その衝突の結果、似萍は再び陳新のことが怖くなった。
その日の夜となると、彼女は陳新に殺されるのが怖くてキャンプ地に戻れなかった。彼女は新たに発見したことは自分が写真にいるお母さんとよく似ている。もっと重要なのは、その活気溢れた微笑みが美しく、若々しいから、そんなお母さんがいるなら、自分も死にたくなくなった。
後に、誰が来て、陳新は行ったよと教えてくれた。似萍は最初信じなかったが、史湘雲がキャンプ地に見に行ってきて、本当に行ったよと教えてくれたら、やっと信じた。
陳新は本当に馬に乗っていった。何をしに行ったかと似萍は聞いたら、薛明礼は病院に治療に行ってくると言った。似萍からもし陳新が酷く負傷したら、自分で馬に乗れないだろうと聞かれたら、薛明礼もどう答えたらいいのかがわからなかった。
それを見て、似萍は突然声を上げて「教えてくれなくてもわかるよ、私のお母さんと会いに行ったんでしょう」と言った。
感情を抑え切れない彼女の頭に、張おばさんに草原に連れてもらった景色が現れた。その時は似萍にとって一生忘れられないことだ。二人は陳新と会ったら、張おばさん最初に言ったことは「ここで合えると思わなかったよ。どこから来たの?もしかしてお姉さんと会いに行ったとか」だった。陳新からも「あいつお母さんがおるよ、まだ生きている。その遠い山の中で」と言われた。それから、似萍は自分のお母さんがその遠い雪山で暮らしているが、何かの理由で自分と会いに来なかっただけだと信じた。似萍はキャンプ地に来た目的もその秘密を解けることだった。薛明礼からお母さんは国外にいると言われたが、似萍は信じ込んだように見せたが、まだまだ懐疑を持っていた。今度、陳新が馬に乗っていったと聞いて、すぐ、自分のお母さんと会いに行ったと頭に浮かんだ。似萍はもう薛明礼がした話を信じなくなった。
どうせ自分のお母さんのことについて、キャンプ地のほぼ全員が知っているが、わざと似萍に隠そうとしていることも似萍はわかっている。
結果を教えてもらえないなら、もう聞かないことにする。お母さんと会えたらすべてがわかる。
だから、似萍は泣きそうに「陳新はどうして私を連れて行かないの?私本当に間違いを犯したから、お母さんと会えないの?」
どうしようもない人々は「似萍ちゃんよ、先は殺されそうだったのに、今はついていきたいと言うなんて、天敵の二人は会えないし離れるのもできないんだね」と苦笑して言った。
その後の数日間、まだ希望を持っている似萍は母親の写真を持って、母親と会ったことがあるか、いつどこで会ったか、どういう状況なのか、母親がどこにいるか、どうして会いに来てくれないか、陳新がお母さんと会いに行ったか、どうして自分を連れて行かなかったかと全員に聞きまくっている。
薛明礼を含んで、全員が同じ答えをしている。それは、お母さんと会ったことがあるが、今どこにいるのがわからない。陳新がお母さんと会いに行ったかどうか、またどうして似萍を連れていかなった理由について、陳新は誰にも話したことがなかったから、誰にもわからない。
その答えに似萍が納得できない、答え自身の綻びも多い。質問された人々の中、言おうとして話をやめた人もいたので、似萍は自分の懐疑心をさらに固めた。
だから、陳新がお母さんと会うために突然去っていったと似萍はさらに信じた。
母親のいない子供は必ず苦しむ。母親の行方がわからなかったら、死んでも、わけがわからない霊となる。そのコンプレックスがついた似萍はお母さんと会うのが唯一の念願となる。お母さんは自分に陳新より悪く扱ってくれても、似萍はいいと思う。自分の子供に悪いお母さんは世の中にいない、いてもお母さんのせいじゃないと思い込んでいる。
お母さんが会いに来てくれない理由は、自分が幼い頃よくお母さんの話を聞かなかったから、お母さんが心折れたと似萍は信じている。本当そうでしたら、似萍は必ずお母さんの機嫌を取りたいと思う。
自分のお母さんと合わせてくれるなら、何をやってもいいと覚悟している。
似萍の心の中でお母さんのことを理想化している、自分すべての感情と希望をお母さんに寄せた。長い間期待していたことがやっとめどがついたから、似萍は別人のように変わって、嬉しく興奮している。
その日々に、似萍は今までない熱情で陳新が帰るのを待っている、お母さんのいい情報を待っている。外に少し動静があっても似萍はすぐテントを出て、陳新が帰ってきたのかをチェックしている。似萍は時に遠い方を見つめ、ゴビ砂漠を超えアルタイ山まで視線を伸ばしている。陳新は必ずあそこに行った、お母さんはあの高い雪山で生きていると昔に陳新が言ったから。
陳新は行ってから4日目、ゴビ砂漠に大雨が降った。大雨の後、霧雨が続いている。
その夜、陳新は帰ってきた。似萍は最初に遠くからの馬の音を聞こえ、霧雨の中から馬蹄の音がわかった。
その時、似萍はすでに寝ていたが、すぐ起きて、服をちゃんと着ていないうちに、走って出て行った。
キャンプ地の暗い光で、似萍は陳新が疲れ果てたのがわかった。馬から下りることさえできない、頑張って下りたら、泥地に倒れた。彼はどうしても立てなかった、苦しくつぶやいている、また傷付いたようだ。
陳新は顔の左に擦り傷からまだ血が流れていて、肩も赤く染められていることから、傷が軽くないのがわかる。
他人からの助けを拒んで、自分で立ち直ろうとしている。しばらく頑張っても立てなかった。痛くて顔に汗をかいているが、年をとった牛みたいだ。
その時に、ある黒い影がかかってきて、陳新とぶつかりそうだった。
それは似萍だ、元々数メートル離れた暗闇に立っていたが、掛かってきた人に視線が妨げられ、中に入ろうとしたが、バランスが崩れ、直接陳新の前についてしまった。
会ってはならない親子は再び会った。
陳新はしばらくぽかんとして、似萍を見はじめた「何をしに来たか、俺が死ぬのを見たら嬉しいやろう」と嫌そうに言った。
「お母さんと会いに行ったかを聞きたかったの」
「そうだったらどうだ」
「ほんとう?良かった。母さんは元気?私のことを話したの?ずっと会いたいと知っているの?」と似萍は笑いながら聞いた。
「なに?お前大胆だな、さっさとどいてくれ」
「どうして?私のお母さんだから、どうして私は会えないの?」
陳新は怒りだして、こぶしを振るいながら「お前本当に死にたいのか、毒蛇より毒があるやつだ。」とその怖い様子は似萍を丸ごと呑みたいようだ。酷く負傷していなかったら、陳新は必ずそうするだろう。
似萍は悲しく泣いた「お母さんと会いたい、お母さんと会いたい」
怒りを抑えきれなかった陳新は急に痛みを忘れて、似萍にかかってきた。
しかし薛明礼に後ろから抱いて止められた。
連れて行かれた陳新は狂ったように「早くあいつを行かせろ。ここはあいつをいらないんだ。不愉快だな、もうあいつと二度と会いたくない」と言った。
似萍はまた追いつこうとしたら、史湘雲にとめられ、部屋に連れ戻された。
1時間後、似萍はまだ泣いている。薛明礼はきたら、似萍に教えた。それは陳新がすでに同意した、向かう方向が同じ車があれば、すぐに張おばさんのところに送ることにする。
その話を聞いて、似萍は泣きをやめ、びっくりしたように薛明礼に本当かと聞いた。
はいと聞いて、似萍は「いや、私は帰らない、死んでも帰らない。」と言った。張おばさんと会いたくない、自分のお母さんがいるから、どうして帰らないといけないの。どこにも行かずに自分のお母さんを待つ。お母さんは必ず会いに来てくれると信じていると泣きながら言った。ぜひお願いしますと薛明礼にお願いした。
薛明礼は似萍ちゃんがここにいられなくなるよと言った。じゃないと、陳新とどんどん衝突して、命とも関わることになるから。似萍を元気に帰してやるとリューバさんとも約束したからと薛明礼は言ったが、似萍はどうしても答えなかった。
似萍はとても失望して、悲しく聞いた「どうして、どうしてこのタイミングに私を連れて行くの?私のためのようだけど、どうしてキャンプ地に来る前に教えてくれなかったの?私何も知らないと思わないでください。あなたのことを恨みます。私のことをもうかまわないでください、遠く離れて行ってください。」
その夜、似萍はキャンプ地に連れられてくる前日の夜と同じく、泣き続き、最後に昏睡してしまった。




