第13節 激しい衝突
しかし、嵐は予想より早かった。
翌日、出勤タイムに似萍はテントを出てきた。子犬がなくなってから初めてだ。ドアのそばに立っている彼女は自分の大きな目で陳新を見つめている、陳新から話しかかってくるのを待っている。陳新は冷たそうに似萍を見たら何も言わなかった。
陳新を見送ってから、似萍は何かを失ったようにいらいらしてキャンプ地で徘徊している。歩いたり止まったりして何をやろうとするのかが誰もわからない。
史湘雲はそれを見て、心配そうに似萍に注意を払いはじめた。史湘雲は気付かれないようにしているが、似萍にすでに気付かれている。似萍は自分の気付きを証明するために、わざとテントの裏に走り回ったら、史湘雲はすぐ追いかけた。似萍がテントの裏に回って走り続けていると史湘雲は思ったら、角を回って、すぐその角に立っている似萍とぶつかりそうだった、史湘雲はあまりにびっくりした。
そうしたら、史湘雲の懐疑がもっと強くなり、すでにばれているなら、隠さずに似萍を油断なく見守ろうにした。
史湘雲を追い払えないのがわかったら、似萍はテント内に戻り、久しぶりに本を読み始めた。史湘雲はもちろん嬉しいが、警戒を緩めなかった。
しばらくしたら、似萍はいらいらし始めた。トイレに行ったり、休もうとしたり、仕事現場に行きたがったりしはじめた。
何を言われても、史湘雲は反対しなくて、理由も聞かずに、ずっと似萍についていっている。史湘雲にずっとつかれていて、似萍も興味を失い、外でしばらく回ったら部屋へ戻った。そのように二人は昼までやり続けた、史湘雲はそれで仕事もできなくなり、幸いに他人から理解されていて、何のクレームも言われなった。
昼になったら、似萍はいらいらとした表情が現れ、史湘雲の懐疑がさらに深まったが、似萍が一体何をやりたいのかがわからないままだ。
昼食後、似萍は部屋を出たり入ったりして、いても立ってもいられなかった。
似萍は結局眠くなったように、寝込んだ。その軽い息を聞いて、本当に寝込んだと史湘雲は思い、ほっとした。史湘雲は厨房に行って、仕事をやり始めた、晩ご飯を取る人が多いので、史湘雲一人足りなかったら、他の2人はやりきれないほどの仕事があるのだ。
厨房でそろそろ皆が仕事から帰ってくるので、史湘雲はずっとばたばたしている。いつものように、仕事の途中を抜けて似萍を見に行くことをしなかった。
仕事から皆が帰ったら、晩ご飯も出来上がっている。史湘雲は暇を使ってテントに戻ったら、似萍がいなくなった。
「あら、似萍ちゃんはどこに行ったの?」と思ったら、外から怖そうな声が入ってきた。
「なっ何をやってんの?」
それは陳新の声だ、怒りの極まりだ。彼は絶えずにその話を繰り返して、声がどんどん大きく怒りっぽくなってきた。「恥がわからんやつだ。お前を殺すぞ、殺すぞ。」
話が終わった途端、酒瓶がどこかにぶつかってもっと大きな音が起きた。似萍の叫び声が凄まじく、まるで…のようだ。
史湘雲は早くそちらに向かった。ドアに着いた途端、似萍は中から母親の写真を握って逃げ出した。史湘雲を見て「おばさん、助けて、彼は私を殺そうとしてる」と言いながら、キャンプ地を走って出た。
史湘雲はそれを見て、あまりにもびっくりした。似萍の手を掴んで掘削作業場へ向かった。
陳新は地質ハンマーを握り追いかけてきた。顔に血が流れている陳新は走りながら叫んでいる「お前を殺すぞ、お前を殺すぞ」とあまりに怒りの極まりで、似萍を殺してもその怒りが消えないようだ。
皆は何が起こったかがわからないが、陳新を見たら、ただの脅かしじゃないのがわかった。似萍は陳新に追いつかれたら、何が起こるのかが誰も予測できない。だから、陳新がまだキャンプ地にいたときに、地質ハンマーを持っているから、誰もが怖くてとめられなかった、陳新もついキャンプ地の外へ駆け出した。
今の陳新は歩いているが、死のにおいを帯びている戦車のようだ。似萍も次第に疲れ果てたので、両者の間の距離がどんどん縮んできた。
みんながやっと蘇ったように、呼びかけながら、陳新を追いかけた。一番前に走っていた丈夫そうな男性は陳新を掴もうとしたが、陳新が振るったハンバーに打たれそうだった。ハンマーを避けても、陳新に蹴られて転んだ。その後、また数人が追いついてきて、同じく蹴られて転んだ。陳新は完全に理性を失った。
それら倒された人々の行動はただじゃなかった、そうされないと、陳新もすでに似萍を追いついただろう。
陳新を見て、皆の叫び声がどんどん大きくなり、殺気溢れている。作業場の人々多くは長い鉄管や木の棒を持ってこちらに向かっている。似萍を守るために、陳新を囲んだ。陳新はハンマーを振るっている、皆は死ぬまで陳新を殴るつもりがないが、手酷く殴っている。その場面はまるで古代戦争のようだ。
突然、陳新は悲鳴を上げて、倒れた。薛明礼は似萍を守るために、木の棒で陳新の頭を殴った。
陳新が倒れてから、すべての声がなくなった。みんなは陳新が死んだかと思ったが、しばらくしたら、陳新が意識を取り戻した。
陳新は黙々と悲しく泣いている。理性を取り戻した彼は他人に支えられながらキャンプ地に戻っていった。
似萍で引き起こされた闘争で、陳新を含んで5,6人が負傷した、血が流れたが、全員酷くはなかった。
後にわかったが、実際似萍は昼寝をしなかった。史湘雲に隠れて、陳新のテントに入って自分のお母さんの写真を探していた、結局鉄箱を無理やり開けて、見つけた。似萍がうっとりに写真を見ていた途中、陳新が戻ってきた。陳新は何も言わずに、カバンの中から地質ハンマーを取り出して、殴ろうとしたら、似萍に避けられ、地質テーブルにぶつかった、陳新も再び殴ろうとしていたが、似萍もベッドの前から岩石の標本を掴んで陳新に投げた、防備を怠った陳新の顔にぶつかった。陳新が痛くて叫んでいるときに、チャンスを掴んで逃げた。
「どうして彼はそうしたの?自分のお母さんの写真さえ見せてくれないの?どうして?」似萍は泣きながら自分の命を救ってくれた人に聞いている。
しかし、薛明礼を含んだみんなは頭を下げて黙っている。




