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弱者の天国  作者: JCN
第3章 荒野迷走
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第10節 子犬の死

似萍は穏やかな性格なので、なじみのない環境にいて、父親からの非難が加わり、もっと寡黙となっている。いらいらとした彼女は毎日何かを考えているように、よく軽いため息をしている、食事も次第に減り、痩せていった似萍はもっと憂鬱となった。

 その似萍を見て、裏で似萍を注目している薛明礼はとても心配している。ある日、薛明礼は一匹の子犬を連れてきて、似萍に付き添った。

 灰黄色の子犬は目の上に黒毛が付いて、もう二つの目が付いているように見えるから、四眼犬という俗称がある。白い四足で白いソックスを履いているようで、可愛い様子だ。生まれて1ヶ月ばかりで、猫のような子犬が似萍をみて、すぐかかってきて、食べ物を捜している。馴染みを感じる。

 まだ子供のような子犬が似萍をお母さんに見なしている。可愛く可哀想な様子を見て、似萍も笑い出した。思わず薛明礼からのプレゼントをもらった。史湘雲に助けてもらい、ご飯をやったり、水をやったりして、ぬる湯で子犬を洗ってあげた。

 後の二日間、似萍は宿題で疲れたら、休みを取って子犬を外へ連れて一緒に遊んでいる。子犬にお母さんはどこ?どうして別れるの?とずっと聞いている、また自分の子供時代、家の崩壊、亡くなったお婆さん、どうしようもない張おばさん、意地悪い陳新、待ちわびる実母の話をその子犬に言っている。 

 言うたびに、耐えずに涙を流して、子犬の顔に落ちた。子犬も人間と心が通じているように、いつも静かに似萍の話を聞いている。似萍が涙を流すときにも、子犬は似萍を慰めるように小声でささやきながら、似萍の手を優しくなめている。

 この世には、同じ運命の子犬しか似萍の気持ちがわかってくれない。自分の心に抑えられた話を子犬に伝え、泣いているが気持ちが良くなった。似萍はその子犬が大好きになり、子犬も似萍を離れない。この無人の荒野の中、最も弱い二つの命はその見えない糸で結ばれた。

 数日後、雨で陳新と同僚たちは仕事現場に行ってすぐ帰った。車がまだキャンプ地に入っていないうちに、陳新は子犬を抱っこしている似萍を見かけた。その時、似萍はちょうどキャンプ地の外にいて、頭を下げて子犬と話しているので、陳新たちが帰ってくるのに気付かなかった。

 その日の夜、陳新は子犬の話をした、子犬を捨てるか他人にあげるように命令した。女の子は犬を飼うべきがない、話を聞いてくれないと懲罰をすると言った。

 似萍は弁解もできずに頷いたが、手がまた定規に5回刺された、気を失うほど痛かった。そうなっても、似萍は我慢して、泣かないし叫ばない、どうしても屈服しなかった。

 その日、史湘雲はちょうどいなかった。陳新は早く仕事から帰ってきたので、空いている車を使って、史湘雲は町に野菜などを調達に行かされた。車が帰りの途中故障したから、深夜までやっと帰ってきた。

 史湘雲が助けてくれなかったら、陳新はどこまで狂うのかがわからないが、似萍は怖くない、子犬を守るために、自分が死んでもいいと覚悟している。

 似萍の様子を見て、陳新は驚いた「なんで声を出さないか」と困惑しそうに聞いたら、再び似萍を刺す勇気がなくなった。悲しくなったが自分が認めたくない気持ちで、宿題もチェックせずに似萍を外へ行かせた。

 そうして、似萍は自分の子犬を守りきれた。

 しかし…

 翌日の夜、宿題チェックの後、似萍と史湘雲は陳新のテントから出て、向こうのテントに多くの人が集まり、何かを物議している。

 二人がいなかったときに、子犬はダンボールから逃げ、もう一人女性のベッドに上がって、ベッドの上でおしっことうんこをした。綺麗好きなその女性はそれを見て、泣き出している。

 その女性は二人を見て、怒りをすべて二人に放った、早く犬を捨てろと言った。そのほかの女性も相槌して、犬が汚いしうるさい、人が噛まれる、狂犬病があるなどの理由で、皆が似萍に犬を飼わないでほしがっている。飼うなら、女性のテントで飼わないでくれと言った。

 似萍も泣き出したが、話さない。他のテントに行かせてもいいよと言われても頑固に子犬を抱っこしている。

 それを見て、女性たちはさらに怒った。その中の二人は似萍が話通じない、そんな子が嫌いだと言った。

 話が終わらないうちに、似萍も叫び出した。自分が嫌いだったら、自分も皆が嫌いだ。ただ皆が弱い子犬とお母さんがいない子をいじめるしかできない、自分のお母さんがいたら、そうしてくれないだろうと言った。良心のない人達は見た目が良い人のように見えるが、心が毒蛇よりも酷く、そんな人は生きるより死んだ方がよい、死んだら必ず地獄に落ちる。皆が早くこの部屋を出て行って、もう二度と会いたくないと言いながら、号泣した。

 最初に、その話を聞いてみんなが互いに見て、それから何人かの男性が似萍を助けてやった。女性たちに似萍を許してくれと勧め、このキャンプ地に子供が似萍しかいないし、友達がいない子が可哀想だ、ここにまたせいぜい20日間しか泊まらないから、少し我慢したら時間がすぐ過ぎてしまうと言った。

 他の女性が動揺したが、先の二人の女性がまだ騒ぎ出した、つまり地質隊が元々子供をつれてはならないし、似萍が着ているのがともかく、犬を飼うのが酷い。飼わないでくれと言っても、似萍が人と喧嘩して、また皆に可哀想がってもらうことが不公平だと言った。

 「まだ子供だから、理屈が通じない。どうしてそんなに真剣に扱うの。勘弁してください」と史湘雲は話した。

 その二人の女性は自分が正しいのに、他人に言われてもっとむかついた。史湘雲の話しかけるのを見て、すぐ振り返って、矢先を史湘雲に向いた。「史さんはもちろんそう言うだろう、史さんのせいで…史さんじゃないと、その子はこの部屋に入らなかっただろう。その子を養いたいから、当然そう言ってるから。でも、史さんはその子の何者ですか、お母さんですか。」

 「お母さんじゃないから、その子のために話できないんですか」と史湘雲は言った。

 「もちろんいいですよ、でも史さんはこんな話するのも、その子が陳新の娘だからでしょう。他人だったら、構います?」

 「もちろん構いせんよ、陳さんの娘さんだから、構います」と史湘雲は負けずに言った。

 「そうですよね、その子を構う目的は、陳新に嫁ぎたいでしょう。でも陳新は史さんを嫁にすると思っていますか、もうその夢をやめてください。そう思うのが一番バカですよ。」

 「あなた、恥知らず。」史湘雲は手が増えるほど怒っている、その話をした女性と殴りあい始めた。

 そばの人々はそれを見てすぐとめようとした、やっと二人を分けた。二人が分けられても口喧嘩している、バカだ、恥知らずだと争い合っている。


 まだ膠着状態のうち、陳新がやってきた。まだ反応していないうちに、陳新は扉のそばについた。皆が話さなくなり、部屋が瞬間静かになった。

 先その女たちの喧嘩内容を陳新がすべて聞こえただろうが、とても怖い表情をしている。部屋に入って、陳新は直接に史湘雲と喧嘩していた女性に向かって、人殺しそうな目付きから憤怒の火花が出てきている。

 怖くて止める人がいなかった。陳新は急に体を振り返って、似萍の前に駆けつけた、その子犬を奪って、まだ反応できていないうち、子犬を上げ、酷くその女性の足元に落とした。拳を振って、風のように素早く去っていった。

 子犬の鳴き声を聞いて、似萍はぽかんとしてから、前に駆けつけた。でも…

 「いやだ、いやだ」

 気絶した子犬を抱いて、悲惨な泣き声をあげ、狂ったようにテントを走り出た。

 皆は追いかけていった、似萍が陳新のところに行くと思ったら、似萍が真っ黒の庭の中で数歩走ったら、何かにぶつかったように急に転んで、動くなくなった。

 皆は追いついたら、似萍が気を失ったのがわかった。


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