第9節 孤独に耐えず
その夜に、晩ご飯の後、史湘雲は似萍にランドセルを持たせて、似萍を陳新のところまで連れて行った。似萍は無口についていった、穏やかな表情から薛明礼の勧告が明らかに効いたのがわかる、似萍はどうしようもない現実を受け止め、苦しみの心構えをして、黙々と奇跡の出現を待っている。
しかし、陳新と会ったら、似萍は依然無口で、お父さんと呼んでいなかった。陳新も暗い顔をして、何も話さなかった。宿題テキストを取って真面目にチェックしはじめた。すぐ国語の宿題にミスを見つけたら、似萍に修正しろと責めていた。もう一箇所のミスが見つかるたびに、陳新の責め声が大きくなる。数学の宿題をチェックしたら、一連数箇所のミスを見つけて、陳新が大きな声で似萍を責めて、ついに狂ったように怒り出した、陳新は数学のテキストをぶっ潰して、似萍を掴んで、殴ろうとした。でも陳新の手が史湘雲の顔に落ち、史湘雲が大きな声を上げた。つまり、その間一髪のときに、史湘雲はかかってきて、体で似萍をカバーした。陳新がまたやめようとしない様子を見て、史湘雲はまた陳新の手を掴んで「陳さん、陳さん、やめてください」と言った。
陳新はさらに怒り、史湘雲を押しのけたが、史湘雲は再びかかってきた。そうすると、陳新はまたかかってきた史湘雲を掴んで、ビンタをはった、1回、2回、3回、史湘雲の顔に血が出た。
しかし、史湘雲は何の反抗もせずに、殴られるのを待っていたようにいたが、涙を流しながら「陳さん、殴って、酷く殴ってください、死ぬまで殴ったほうがいい。全部私のせいです。私がいなかったら、陳さんは今のようにならない。私は死ぬべきです。心苦しくて人を殴りたいなら、私を殴ってください。私の命でその命を賠償します。子供と関係ないですから、叱っても殴っても手ぬるくしてください。似萍ちゃんに何かあったら、私の罪ももっと重くなりますから、生きていく勇気さえ失ってしまいます。陳さん、お願いです、殴りたいなら私を殴ってください、死ぬまで酷く殴ってください。」史湘雲はどんどん悲しくなった、陳新はもう止めたが、史湘雲が泣きながら述べている、力が抜けて床に倒れて、陳新の前で跪いた。
史湘雲が必死に似萍を守ろうとして、そんな話をするのも思わなかった、しばらくの間、陳新はぼんやりとした。再び気付くときに、床に跪いている史湘雲を床に押しのけた。その突然のハプニングで、陳新は自分が怒った理由を忘れたようになった。床に倒れている史湘雲が悲しく泣いているのを見て、心が揺れていた、どうしたらいいかが一瞬わからなくなった。「何を言ってるんだ、我が家のことだから、かまわんでくれない?さっさと出て行け、あいつを連れて出て行け」と似萍を指しながら言った。
そう言われたら、史湘雲はすぐ立ち直って、片付けたら似萍をつれて外へ逃げ出した。部屋の扉まで至ったら、陳新に止められた。
「何で走るか、お前たちが殺されるでも思ってるのか。しっかりと彼女を教育しろ、昼間に宿題をちゃんとやらせて、毎晩チェックするから。また間違いがあれば、許さんぞ。今度は殴らないで、定規で刺すかな、痛いけど死ぬまで至らないから。お前はまた彼女を守ろうとしたら、今度お前をチェンジするぞ。わかったか」と陳新は腹立って言っている
史湘雲は慌てて回答しながら、慎重に出ていった。陳新のテントから出ていったら、二人が自分のテントまで走っていた。史湘雲は似萍に先に入らせ、自分が厨房に顔を洗いに行ってくると言った。テントから出た光で、似萍は史湘雲の顔にかかっている血痕を見えた、目も腫れていて怖い様子だ。
「ありがとう、史おばさん。史おばさんがいないと、私…」と似萍は感激して言った。
「いいえ、似萍ちゃん。こちらこそ、ありがとう。似萍ちゃんがいないと、殴られることさえなかったんだよ」
「へっ、殴られるのが好き?」
「そうだよ、顔が痛かっただけど、気持ちがよくなった」
「あのう、似萍ちゃんは大人になったら、わかるよ。」と言って似萍の顔にキスしたら、去っていった。
遠ざかっていく史湘雲を見て、似萍はやっとあることがわかった、それは史湘雲も張おばさんと同じく、陳新を片思いしている、陳新のご機嫌を取るためにすべてを尽くしている。陳新がしたいと思ったら、その場だけでのことでも、彼女たちもやる。でも怒りっぽい陳新は性格がおかしいが、何か特別な所があって彼女たちを引き付けているだろう。ボケている女たちはどうしてそんなに夢中となっているだろう。
答えがないが、その思いで似萍は史湘雲に対する感激が薄まった。
その後、毎日のように、似萍は昼間に宿題をやり、夜となると陳新のテントでチェックを受ける。陳新を再び怒らせないために、似萍が宿題を書いたあと、高校一年生まで勉強していた史湘雲はまじめにその宿題をチェックしている。そうすると、陳新はチェックしてもなかなか間違いを見つけ出せなくなった。しかし、陳新はそれで気が済まない、知恵を絞って間違いを見つけようとしている。最初に字が汚いと言い、言葉づくりも間違っている、のちに漢字の聴解試験をやったり、難しい数学問題を出したりしている。だから、毎日のように陳新が似萍を叱ったり、体罰したりしている。体罰というのは、陳新が前に言ったように、定規で似萍の手を刺している。そのような体罰で、痕跡が残らないが、心まで伝わるような痛みは手が殴られるより百倍強いが、どう我慢しても、泣き声がついつい出てしまう。数日後、似萍はその定規を見るたび体が震えてしまうようになった。
史湘雲がいなかったら、似萍はもっと苦しめられるに決まっている。陳新のテントに行く時、史湘雲はいつも共にして、陳新が宿題をチェックするときにも、いつもそばに立っている。最初に陳新は史湘雲を外に放り出そうとしていたが、史湘雲がいつも黙っていて、それで逆に頑固の陳新に自分の考えを失わせ、史湘雲を構わないようにした。史湘雲も陳新にこのキャンプ地のことをしゃべり、陳新の集中力を分散させ、親子の雰囲気が少し怪しくなりかけたら、史湘雲の話ももっと多くなる。陳新はあまり史湘雲を正視していないが、多くの時間、史湘雲のキャンプ地の世間話を聞いている。似萍はこのキャンプ地に来る前にすでにそのようになっていたとわかるが、あまり人と付き合いしない陳新は史湘雲を通じて、身の回りで発生していることを知る。史湘雲が陳新の生活上の世話を焼いてくれることを加えて、陳新にとって史湘雲の存在がとても自然的になっている。
だから、似萍は史湘雲に対して多くの感激の意を表さない、史湘雲を排斥してもない、すべてのことが自分と無関係のようにしている。その理由について、自分しかわからないのだ。
五日目になると、黒い腕章を被っている陳新はやっとテントを出て、仕事をやり始めた。その日からも、似萍も朝早起きしないといけなくなった。
朝の食事を済ませて、似萍はテントを出て、車の前で陳新を待たないといけなくなった。それも陳新の命令だ、陳新は似萍の朝寝坊を防ぐために、休みだが、学校の日と同じように時間通り起きて、勉強しなければならないと言った。もう一つの目的は、似萍にマナーを覚えさせ、自分が仕事に行く前、似萍に見送りしてもらう。
実は、言われなくても、似萍は自らテントを出たがっている。ゴビ砂漠の朝は空気がとてもきれいで、またどこから飛んできた鳥たちは鳴いて、いい音がしている。キャンプ地のみんなが庭に出て、ニコリと話している。それらは全文似萍を引き付けている。
しかし、陳新がその命令をした後、すべてが変わった。みんなの目の前で、彼女は見る方じゃなくなり、見られる方となっている。もっと不安なのは陳新を見るたびに、陳新はいつもいやそうな表情から、似萍の現れが自分の命令じゃなくても、わざわざ自分を怒らせるために現れていると思っているようだ。また、似萍に対する話も厳しく「いつも遊ぶばかりしない、まじめに宿題をやれ」などと言っている。その話はまるでみんなの前で似萍を侮辱しているようだ。でも、陳新の話が巧妙に伝わり、他人からすると、とても合理的で、その話に潜んでいる威喝がわからない。似萍も黙ってすべてを受け入れるしかなかった。
毎朝、似萍は陳新に言われ、気持ちが悪くなる。しかし、似萍は悲しむ時間がない、夕べに新しい宿題をもらい、翌日に必死にやっている、たまに昼でも休めない。
ゴビ砂漠の夏は雲が来ない。正午になっていないが、太陽が乾いた大地を火箱のようにしあげた。正午になると、テント内の気温が上昇しているから、その時室外の影のあるところに風が通り涼しくなる。でも、似萍は暑くて頭がふらふらしているけど、テントの中で宿題を書かざるを得ない。
でも宿題がなくても、似萍は行くところがない。キャンプ地に人影がなくて、果てしないゴビ砂漠に何もない。似萍に友達がいない、遊ぶこともない、黙々とキャンプ地で彷徨うしかない。空にかかっている太陽を見ることだけできる、逆にもっと寂しそうになる。
そうして、午後になると、日が沈む前に、テント内の気温が下がり、やっと快適になった。そのチャンスを使って、残りの宿題を書かないとならない。完成したら、史湘雲にチェックしてもらう。もうしばらくしたら、陳新は仕事が終わり帰ってくる。
日が暮れて、地質隊の隊員たちが次々と帰ってきて、朝車で出かける陳新もその一員だ。荒野で地質調査を行い、帰るたびに、バッグはいつも砂土や岩石でいっぱいとなっている。一日仕事してきた人々は疲れそうに見える。
一日静まったキャンプ地が再び活気が現れ、賑やかとなった。一日の仕事が終わり、地質隊員たちは少し気合いが抜けて、お互いに合ったら雑談したりたまに騒がせたりしている。軽く体を洗ったら、皆食事を取りに行っている、一人が取りに行ったら、皆ついていく。食事をしている時にも、みんなが冗談を話し合ったりして、食事後やっとバラバラになる。
もちろん、全員がそうじゃない、皆となじまない人もいる、それは陳新だ。彼はいつも黙然とした表情でみんなの前に現れ、皆も気になっている、大胆な人でも陳新に冗談を言えない。食べ物を取って、陳新はいつも自分のテントに戻り、独りで食べている。彼はこのところに属しない侠客のようだ。
夕食後、日暮れたら、電気担当の人が発電機を起動させる。電気が来たら、皆が彼女たちが住むテントに行って、トランプをやったり雑談をしたりする。トランプをやりながらも大騒ぎをしている。長い間野外の方にいる人たちは、暇の時にやることがなく、無理やりに楽しいことを作っている。お互いに責め合い、相手を怒らせたら、一番嬉しいのだ。冗談を言いすぎる時もあり、喧嘩になりそうな時もある、いつも結局一人が笑いだして、緊張した雰囲気がすぐなくなる。だから、似萍から見ると、その大人たちはおばさんおじさんではなく、自分よりも小さな子供みたいのだ。
でも、その時になると、似萍は史湘雲について、宿題を持って陳新のところに行かざるを得ない。陳新のところで一時間以上いる。
もちろん、陳新のところで責められたり体罰されたりしている。だから、帰ってきたら、気持ちはいつも良くない。でも自分に関することを他人に知ってほしくないことに、昼寝を取っていないことを加え、史湘雲の手伝いを得て、早く眠っていた。
その荒野で、ほぼ毎日のようにそう過ごしている。




