第8節 謎解け
その夜、似萍は手が痛くて、遅くまで寝らなかった。翌日になると、手の痛みで彼女は早く起きた。悲しくなるのも構わずに朝食を取ってからすぐ宿題に励んだ。幸いに殴られたのは左手で、右手はまだ書き物を握れるのだ、そうじゃないと陳新のチェックにも対応できなくなる。
2時間後、史湘雲は厨房に入り、仕事をやり始めたが、テントに似萍と会計担当のおばさんしかいない。二人はそれぞれ宿題と会計に没頭しているので、誰も話しをしない。
いつの間にか、薛明礼が現れた。会計のおばさんと挨拶して、そのおばさんは何が言われたらテントを出ていった。二人きりになり、薛明礼は身を振り、黙々と似萍を見つめている、ゆっくりと似萍の前につき、しゃがんで、殴られた似萍の手を軽く取った。
昨日に発生したことですが、彼はもうすでにわかった。似萍をこのキャンプ地に連れてきてから3日間、彼はめったに似萍の前に現れていない、合っても話をかけてくれない、話があっても少ない、わざと距離を置いてあるようだ。でも、彼はいつも遠いところから似萍を注目している。まだ苦しいにこぼれている似萍は彼の関心を心のいい人からの同情だけだと思っている、その後もその思いが変わらない。
似萍の柔らかい小手が腫れているのを見て、薛明礼は心痛くて、やむを得ず涙を流しながら、苦しそうに頭を振っている。
似萍の表情が暗いが、悲しみがない。似萍は見知らない目つきで薛明礼を見ている。
それを見て、薛明礼がさらに悲しくなった。
「ごめんなさい、似萍ちゃん。私のせいだ、全部私のせいだ。私が悪い。こうなると知っていたら、どうしても似萍ちゃんをここに連れてこなかった。」と薛明礼は悲しそうに言った。
「薛おじさん、悲しくないで」似萍はかえって薛明礼を慰め始めた。「おじさんのせいじゃないの、私はおじさんの娘じゃないから、私を連れて来いと言われたら、おじさんも聞くしかなかったでしょう。私が死んでもおじさんを責めない。張おばさんと同じく、おじさんも私に優しくしたいと思っているとわかるの。ただ、私も張おばさんと同じように、おじさんに感謝しなきゃ…でも、わからないのが、陳新はどうしてそんなに私を取り扱っているの?昔に私は話を聞かなかったから、私が殴られたり、叱られたりするのがわかるけど、今度は彼を怒らせていないのに、どうして私のことを手放さないの。その厳しい様子はまるで…っどうしてそうなっているの。私小さい時に何か間違いでもしたの?何か間違いでもできるの?彼はそんな扱いをしてくれるなんて、まるで自分のお父さんじゃないようだ。だから、私は本当に彼のむすめなの?本当のむすめじゃないと、理解できるけど、本当だったら悲しい。」と言いながら、似萍は泣き始めた。
「似萍ちゃん…」薛明礼は苦しそうに叫んで、何も話せなかった。
「おばあさんは教えてくれた、陳新が優しくしてくれないのがお母さんのせいだって。私生まれた時にお母さんが重病にかかり、陳新は私を他の人に送った。お母さんは回復したら、私を捜しに出かけた。彼はお母さんのことが大好きで、お母さんに離れられたら、その打撃に耐えられず、かわったから、私のことを恨んでいる。本当にそうだったら、彼のことを理解できるけど、お母さんは長く出かけたのに、どうして帰ってこないの?何かあったの?そう思いたくないけど、この一生お母さんと会えなかったら、今死んでもいい。」お母さんのことを話したら、似萍は涙が止まらなかった。
似萍が泣いて話すのを見て、薛明礼は自我を忘れたように、深い考えに陥った。しばらくしたら、何かを決心したように頭を上げて似萍を見た。似萍を慰めながら、似萍の話が全文真実だと言った。今の陳新は確かに変わっている、キャンプ地の人々は彼のことが怖がって付き合えない。彼と関係のあることをさえ話せない、似萍のお母さんのことももちろんだ。なぜ似萍のお母さんは帰ってこないかについて、薛明礼もよくわからない。噂によると、お母さんは似萍を捜しに出かけた時に、道がわからなくて、知らない人々について一緒に進んだが、その人々は近道を歩くと言ったから、山と国境を越え、国外まで行った。お母さんはおかしいと気付いた時に、もう遅かった。お母さんは捕まって、自国を裏切りたくないため、監獄に入れられた。お母さんは昔、他の人を通じて伝言をしたことがある、必ず帰ってくるから、陳新と似萍に待ってほしいって、だから…
「似萍のお母さんはいい人なんだ、似萍ちゃんを捜すために、国外まで行って、他人に疑われることも当然だ。陳新はそれで弁解までもできず、焦っていて病気までかかったの。それから、他人がそのことを話すのを許さなくなった、私たちも彼を傷つけたくないし。でも似萍ちゃんは心配しないで、ひどすぎることをしないから。3年前、似萍ちゃんを迎えに行く時に、その川沿いで似萍ちゃんが転んで気を失ったときに、彼は似萍ちゃんが死んだかと思って、号泣したよ。なぜ泣いたかというと、似萍ちゃんのことをすっごく愛しているわけじゃない、それはもし似萍ちゃんが本当に死んだら、お母さんが帰ってきて、必ず彼を許さないのだ。彼にとって一番怖いことだから」と薛明礼が言った。
似萍は黙って聞いて、もう自分の悲しみを忘れた。薛明礼の話が終わって、似萍はゆっくりと頭を下げ、考え込んだ。しばらくして、また質問をしたら、薛明礼からの答えに綻びがなかったので、似萍も彼の話を信じた。彼女は再び笑顔が現れた。
薛明礼は好機に乗じて、似萍にその変わっているお父さんを許して、自分を守るために争わないでくれとお願いした。せいぜい1ヶ月で、新学期が始まり、似萍も学校に行くことも国によって決まっているから、誰も違反できない。ゴビ砂漠には何もないから、その時に張おばさんは似萍を迎えに来ると言った。
「張おばさんについて行かないよ」似萍は言った。
「なんで?」薛明礼は聞いた。
「張おばさんは私のことが本当に好きじゃない、陳新のことが好きだから。」
「間違いじゃないかもしれない。でも、張おばさんと私は似萍ちゃん本当の親族じゃないから、張おばさんは似萍ちゅんを養う理由を考えたことがある?陳新のことが大好きでも、似萍ちゃんを養うことで陳新に感激してもらえなくて、かえって陳新に恨まれたよ。それでも似萍ちゃんにずっと優しくしてくれている。似萍ちゃんが大きくなってからわかることがあるんだ、張おばさんはこの世界に数少ないいい人なんだ。張おばさんはすでに似萍ちゃんを自分の子供のように見なしているんだ、ただ自分が生んだ子じゃないから、実父の陳新に言われたら、断れなかったんだ。似萍ちゃん小さい時の両親みたいに。だから、張おばさんを理解してください、もう傷つけないでください。新学期が始まったら、似萍ちゃんは学校に行かないといけないから、張おばさんのそばに戻らないと他のところにも行けないだろう。張おばさんのようにあなたの世話を焼く人がほかにいないよ。張おばさんのところで本当のお母さんを待つのも同じだろう。彼女を似萍ちゃんにお母さんだと呼ばせないことも、似萍ちゃん本当のお母さんが生きているから。お母さんが帰ってきたら、張おばさんは似萍ちゃんにお母さんのところまで行かせるから。だから…」
薛明礼の説教が効いた。似萍はそうしたくないが、張おばさんが迎えにきたら、一緒に帰ると約束した。
二人は嬉しく笑った。




