第2節 墓地異情
数日後、昼間に近付いたら、四五十人の野辺送り隊が町を緩やかに出ていった。ひっそりと林を経て、お墓が集まる坂に止まった。
止まったら、牛車から棺おけを降ろし、緩やかな坂まで運んでいった。その坂に事前に掘られた墓穴があった。最初に歩いているのが黒い腕章をかけているリューバと養女の似萍だ。
茫然としたリューバは機械的に足を運んでいる。他人の指示に従って止まったり、歩いていったり、死者のために作った紙の銭を燃やしたり、跪いたりしているが、自分が何をやっているかに意識していないようだ。
似萍の目が桃のように腫れている、泣いても声が出ないほど喉が枯れている。棺おけが墓穴に入り、埋蔵土がドンドンと響き、巨石が自分の心に叩いているように、彼女は再び泣き出して、涙を流した。
どれぐらい過ぎたかわからないが、土が次第に小山のようになり、木製の墓碑も立った。野辺送りの皆は遠ざかっているが、その親子がまだお墓の前に立っている。二人のそばにロシア族の年上の方々がいて、何かをしゃべりながら、胸の上に十字を書いている。その方々は東方正教の儀式で、どんどん減っていく同族の人と別れを告げている、また教会の友人のために冥福を祈り、慰霊をしているのだ。
その場に、陳新のかわりにおばあさんと会いに来た薛明礼がいる。
彼は最初少し離れたところに立っていたが、ロシア族の方々が去っていったら、厳かにお墓を回り、土を捧げてお墓に撒いた。自分のお母さんとお別れを告げるようにお墓の前で深くおじぎをしてから、跪いて叩頭を立たない。自分のお母さんを失ったように彼は涙も流し、涙を流しながら、黙々と紙の銭を燃やしている。
彼はゆっくりと立ち上げて、孤独な親子を振りかえて見た。しばらくしたら、苦笑しながら「僕…僕は行かないといかないんだ。僕…今度来て、こんなことを…本当にごめんなさい」と頭を下げた。
リューバはぼうといて、彼が何を言っているのかがまったくわからないようだ。
「でも、僕は…この手紙をぜひリューバさんに直接渡してくれと陳新から言われたから、手紙の内容もわからないし、こんな時…出すべきもないが、どうしてもリューバさんから明らかな返事をもらうまで待ってくださいと陳新から言われたから…どうしようと思って。でも、やっぱりリューバさんに言ったほうがいいかと」と薛明礼が話した。
リューバは手紙を受け取り、ゆっくりと開いた。手紙が一枚だけで長くなかった。でも、リューバの顔がどんどん白くなり、表情も茫然となった。突然、風に手紙が吹き飛ばれた。手紙を追っかけようとしたかったが、目が涙でぼんやりとなった。
似萍は急いで追っかけて手紙を掴めたら、内容を見た。
張索玉同志:
こんにちは。手紙が届いた。お母さんが病気になったと聞き、とても心配しているが、仕事で忙しくなかなか仕事を離れないから、薛明礼にお願いして僕の代わりにお母さんと会いに行かせた。お母さんは長い間ずっと病弱でいたので、軽い病気が多かったから、いつの間にか治ってくれるし、たまに重くなっても、無事過ごしている。よその思いをせずに安心して療養してもらい、時間があったら、僕も会いに行く。
似萍も貴所で数年間お世話になり、とても迷惑をかけたので、大変申し訳ないと思っている。何回似萍を受け取りたいとお願いしたが、お母さんが手を離せないからできなかった。現在お母さんは病気にかかり、あなたの負担が重くなると思うから、どうしても気が済まない。しかも、あなたも中年になり、早めに家族を持った方がいいと思う。娘のせいで、あなたのプライベートを邪魔したら、とても不安になる。
娘と今まで一回しか会ったことがないのを思い出したら、とても悔しくなる。独りで荒野で仕事して、寂しい思い出ばかりだ。親子の感情を味わいたく、娘と一緒に住むことを願っているところだ…
…
似萍はそれを見たら、怒鳴って手紙を破いた。そうしても、まだまだ怒りが消えない、地面に落ちた手紙の破片を土に踏みながら、罵っている。彼女の顔さえ変形している。
完全な意味がわからないが、「一緒に住むこと」などの言葉がわかる。明らかに陳新が彼女に自分のもとに来てほしがる。陳新と一緒にいるのが死んでもしたくないと似萍は思う。理由が簡単だ、彼は自分に良い扱いをしない、二人は付き合えない。しかも彼はおばあさんを怒らせ、おばあさんはそれでなくなった。彼のことをとても恨んでいる。自分のお父さんであっても、彼に死んでほしいのだ。
しかし、似萍はまだ子供だから、自分のことを決められない。おばあさんだったら、どうしても自分を苦しめさせることをしないと信じている。でも、おばあさんはなくなったから、リューバは自分を守ってくれるのか。リューバは自分に良い扱いをしてくれているが、陳新のことがもっと好きみたいのだ。昔に、陳新の話を聞いて、リューバは自分のお母さんの呼び方をやめた。おばあさんが陳新に怒って亡くなったが、リューバは未だに陳新のために弁護して、おばあさん最後の要求にさえ答えなかった。そのため、おばあさんに天国に行く前にも悲しくさせた。
似萍はどうしてもわからないのが、張おばさんが何で陳新のことをそんなに気に入たか。それで似萍はとても心配している。リューバは自分を苦しめさせたくないかもしれないが…
似萍はおばあさんのお墓の前に戻らず、ただボウと立っている。遠いところから疑わしい目でリューバを見ている。
彫刻のようなリューバはしばらくして、急に似萍が回りにいないことに気付いた。
「似萍ちゃん、似萍ちゃん…」リューバは回りを見ながら呼びかけている。
似萍を見つけ、リューバはよろよろとかけていき、何も言わずに似萍を抱きしめて、号泣しはじめた。
明らかに、リューバは似萍のことを放したくないのだ。その泣きはこんな別れより以上の悲しいことがないようだ。泣き続けるリューバは手を放したら、似萍がすぐ飛んでいくように似萍をきつく抱きしめている。
そのようなリューバを見て、似萍も安心した。養母を抱いて泣き出した。




