第3節 家の壊滅
趙剣峰は壮烈に命を捧げた翌年、間もなく秋となった。
その日の朝、朝日が昇り、薄い秋の雲を通り、小さな町を照らしている。町の近郊のある街に人の気配がない。
突然……
「母さん……母さん……」
ある女の子の泣き声で、静かな街を騒がした。
「母さん……母さん……」
悲しい泣き声で驚かされた人は何かが起こったかがわからなかった。
「母さん……母さん……」
痛ましい叫び声がどんどん急ぐようになり、絶望的になってきた。
「母さん……母さん……」
馬の蹄の慌しい音がして、3匹の馬が走っていって埃が立った。
「母さん……母さん……」
柳も眠ったことから目覚めたように、風の中で悲鳴をしている。
「母さん……母さん……」
返事してくれる人がいない…
しばらくしたら…
「ヤヤちゃん…ヤヤちゃん…」
泣きながら追っかけてきた若い女性軍医がいた。
「ヤヤちゃん…ヤヤちゃん…」
その女性軍医は手を伸ばして、どんどん遠ざかっていく馬を追っかけようとしている。
「ヤヤちゃん…ヤヤちゃん…」
倒れて立ち直る、その繰り返ししている。
「シオイー…シオイー…」
若い軍人が追っかけてきた。彼はその軍医を追っかけて、必死に彼女を前に進ませないように抱きしめた。明らかに、その二人は夫婦だ。
軍医さんは泣きながら叫んでいて、必死になっている。彼女は狂っていて、何のこともを構っていない。しかし、ご主人は彼女に殴られても蹴られても手を離さなかった。
弱い女は負けた。そのことを覚悟したら、絶望的に何を掴もうと両手を前に出した。埃が消え、その女の子も見えなくなった、母さんの叫び声しか残っていない、その声もどんどん弱くなっていった。
「いやだ…」すべての声が消えたら、女性軍医は凄まじい叫び声をして、立てなくなった。ご主人に抱かれなかったら、もう倒れただろう。ご主人も軍人独特な辛抱強さで唇を噛んでいるが、顔にすでて涙まみれとなった。
「ヤヤちゃん…娘よ…」悲しい極まりじゃyないと、彼はそのような悲鳴もしないだろう。
…
遠ざかっていった3匹の馬は必死に走って、いくつかの山を乗り越えた。疲れ果てて、女の子を抱いている男がやっと馬を鞭撻しないようにした。振り返ってみると、町も見えなくなり、周辺を見渡すと、果てしない枯れた谷しか目に入らない、両側の山にも木がぜんぜんなく、疎らな枯れた草は灰色の山を隠せないが、突出した岩に多くの彫刻のようなものが残り、野獣のような怪しい模様も多くある。馬に乗っているその人達はどうしてその荒涼な谷に現れたか。
今になって、声がかれてきた女の子は泣かなくなった。5歳にすぎない女の子は静かにいるが、大きな両眼から恐れが出てきた。その見知らない世界を茫然に見渡し、急に変わった運命は彼女をどこへ連れて行くかがわからない。
…
このすべては夢のように、突然だ。
朝食後、お母さんは出勤に出かけたが、お父さんは女の子を幼稚園まで送らなかった。女の子は学校に遅れると焦っているうちに、馬に乗っている三人は家に来た。その3人のうち、一人は長い髪とひげを蓄えて、服がきれいだが、様子が怪しいのだ。女の子は見たこともない人だ。その3人は自分の馬を庭に縛って、家に入ってきた。その怪しい様子の人は笑っているようで笑っていない顔で女の子を見ている。女の子はお父さんの後ろに隠れたが、お父さんから実は父さんと母さんが肉親ではなくて、今実父がきたから、彼女を連れて行こうと告げられた。
お父さんが指した方向に沿って見たら、女の子は自分の実父がその怪しい人だとわかった。その人をよく見れば、様子がもっと怖くなってきた、ふわっとした髪、ひげは雑草のように生えている、チアノーゼのような顔にぜんぜん血色が見えない。首についている傷跡は服の中まで伸びていて、褐色の長い虫のようで、目立っている。それだけでなく、悲しいか嬉しいかがわからない目付きから、冷たい光が流れてきている。
そんな人が自分の実父のわけがないだろう、その人は墓から這ってきた悪魔だ。その人が女の子に近付いて、笑おうとしたが、その笑う様子が泣くよりも醜いのだ。
身が震えている女の子がお父さんを抱こうとしたが、お父さんにその怪しい人のほうへ押された。女の子もすぐ泣き出して、必死となった。お父さんを叫んで、助けを求めた。しかし、お父さんは女の子を向いていなくて、手を振って、早く出て行けと催促した。
女の子はすぐ屋外に連れられ、馬に乗らされた。
今には、父さんから助けてくれないとわかった女の子は希望を母さんに寄せた。彼女は絶えずに叫んで、母さんに助けてもらおうとしたら、お母さんんに本当に追っかけてきてくれたが…
…
まだ幼い女の子はわけがわからないが、なぜお母さんとお父さんは自分の肉親ではないのか、本当にそうでしたら、今まで自分のことを愛してきたのがなぜだろうか。
今までのご両親に愛されているのが女の子はわかっている。長女で、弟一人がいるが、彼女は両親から甘やかされてきた、ほしいものがあれば、両親がほぼ叶えてくれた。彼女は口がうまいから、お母さんからよく抱きしめられ、キスされながら、生んでよかったと言われている。お母さんが生んでくれたから、なぜお母さんの娘にならないの?お父さんからも愛されて、よく一緒に遊んでくれたり、物語を教えてくれたりして、いくつかの夜がお父さんのストーリと伴い、寝込んだのだ。本当の娘ではなかったら、そんなにやさしくしてくれないだろう。
お父さんとお母さんは両方が軍人だから、家が軍隊病院のすぐそばにある軍人家族住宅団地に住んでいる。その団地が広くて、家ごとに小さな庭が付いている。お父さんは辺境を防衛する軍人だから、よく出張で出かけている。お母さんは軍隊の病院に勤めている。1年間ちょっと前、彼女は4歳の時、幼稚園で銃声を聞こえた、遠かったが、お父さんにどうして銃を撃つのと聞いたら、悪い人がいると教えてくれた。あまりにも怖くなった娘を見て、お父さんは安心してね、父さんも銃を持っているから、どんな悪い人でも解放軍を恐れているから、家にいない時に、悪い人を捕まえようとしているのだと言った。女の子は安心して、そのお父さんがいることを誇りに思っていた。しかし、お父さんはよく外で悪い人を捕まえに行っているが、銃声が徐々に増えてきて、もっと近くなってきた。ついにある日、銃弾が幼稚園に入った。それから、幼稚園が閉園となって、お父さんは彼女に外が危険だから、家を出ないようにと要求した。家に閉じこもった彼女はそのことがすぐすぎると思ったが、時々起こった銃声が一年以上続いた。
その間、ある日、彼女は家に閉じこもって、どうしても外へ出たかったから、おばあさんは眠っているうちに、こっそりと家を出た。庭で仲間と遊んでから、病院へ通る道を良く知っているからお母さんに会いに向かった、お母さんの同僚のおじさんとおばさんは自分のことを可愛がっているから。
病院の正門についた途端、担架を担ぐ人々がかかってきた、担架の上に顔の様子がわからなくなるぐらい血だらけの人が運ばれてきた、彼女とすれ違うときに、折れた手が彼女のすぐそばに落ちた、その手の傷口にまだ血が湧いてきている。彼女は怖くて目を閉じた。
再び目覚めたとき、彼女は自分の家にいることがわかった。お母さんが泣いていて、目が赤く腫れている、お父さんはとても怒っているようで、おばあさんは自責しているように黙々と泣いている。彼女が起きたと見て、おばあさんはすぐ彼女を抱きしめて、悲しく泣きだした。
両親やおばあさんから責められなかったが、それから、彼女は怖くなった。夜に、よく悪夢に驚かされて起きていた。その折れた手は目が付いている幽霊でいつも回りにいるように、昼でもよく目の前に出てきている。一人で勝手に家を出られなく、一人で家にいるのも怖くなった。
「ヤヤちゃん、ヤヤちゃん、もう泣かないよ、怖くないよ。父さんは解放軍だから、銃を持っている、誰もヤヤちゃんに近付かせない、安心して寝てね」と毎回夢から起きた彼女に、お父さんは家にいるかぎり、そう慰めている。
「父さん、本当に銃を撃つなの?」と不安そうに聞いた。
「安心して、銃を撃つどころか、散々撃ってやるよ」
まだ、わからない話が多くあるが、お父さんから守ってくれて安心している。家を出ないようにしているが、寂しくなっている。いつも幼稚園に行きたがり、あそこの仲間と会えて、面白いゲームをやりたがっている。
ようやく、ある日、もっと多くの解放軍さんがきたから、もう悪い人たちを囲んでいて、銃を解除しようとしている、これから銃声が消えるよ、また幼稚園へ行けるよとお父さんから教えてくれた。確かに数日後、銃声が消えた。
それで、また幼稚園に行けるようになって、彼女はとても楽しみにしている。
しかし…
今度はお父さんから助けてくれなくて、自ずから彼女を連れてもらうことが彼女にどうしてもわからなかった。普段いつも幼稚園まで送ってくれるお母さんは早く出勤したのもわからなかった。普段家にいるおばあさんはいなくなったのもわからなかった。
「もしかして、その人は自分の本当の父なの?でも、本当のお父さんって何ですか、本当のお父さんだからついていかないといけないなの?」
それを思ったら、女の子は頭を上げて、本当のお父さんという人を見てみた。顔にいくつかの血痕ができて、それは彼女が反抗したためだ。固くなった血痕は紫色となり、虫のようにその人の顔に掛かっている。もっと怖い。
その人を見ているときに、向こうからも見られている。少し顰めた眉であった表情が前と同じく、喜んでもないし悲しんでもないようだ。黙然とした見知らない表情から、今抱いているのが自分の娘じゃないと思われる。その人も他人のように優しくなろうとしない、彼女の機嫌を取ることで、雰囲気を緩和させようともしない。その人と比べて、他の二人はずっと心から微笑んでくれている。
「その人は自分のお父さん?絶対間違っている」と女の子が思っている。
彼女は自分の冷たい目を移して、頭を下げようとしたら、不満そうな呟きを聞いた。その人の表情が恨みに満ちたように変わった、必死に彼女を見つめている、その高く持たれた皮むちもすぐ自分の身に落ちそうだった。
殴られそうになって、女の子はやむを得ず鳥肌が立ち、目を閉じた。
しかし、その皮むちは彼女ではなくて、二人が座っている馬に当たった。鞭撻された馬は驚いて、急に前に飛んだ。何の準備もしなかった彼女はつい叫びだした。
びっくりして顔が真っ白となった彼女は馬から転んでいなく、その人にきつく抱かれている。その人はわざとそうやったのだ、今は楽しく笑っている。
その人はそうやったら、彼女を意地悪く笑わせるようではなかった、その人は笑ってから、彼女に話しも掛けてくれなかったからだ。それからずっとそうだった、黙っていて二人を親しくする示しがまったくなかった。本当のお父さんだったら、そうしないだろうが。




