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外道の道も本能故  作者: モロモロ
第一章
83/90

15 メメリス

「らっしゃい!らっしゃい!」


今日も元気にタコ焼きを焼く。


「今日は新商品!半額セールだよ!」


屋台の前には長蛇の列だ。


採算度外視の激安セールに口コミも合わさって凄い人気だ。


採算度外視、店主が怒らないかって?


「サクオ様、交代しましょうか?」


「ああ、悪いなメメリス」


被験者第一号が店主だ。

どうも今までのやり方、生ぬるいとは薄々思っていたが、サッグの言葉で目が覚めた。

いつから侵略される側になった?

否

侵略してこそだろう!

本能よ!

ぐだぐだ考えるのは辞めだ

思うがままに侵略せねば


まずは、前々から絶対に混入させるなと言われて洞窟内により分けていた赤い海藻をタコ焼きに混入させ新商品として店主に味見してもらった、先日の新商品開発によりある程度の信頼関係が出来ていたからか何の疑いもせずに食べたメメリスは俺の期待していた結果をもたらしてくれた。


その後、他の店員を被験者とし実験したところメメリスに作らせた毒タコ焼きでも眷属は増やせた。

俺や眷属が触れたものにでも眷属化する何がしかの物体が含まれるのだろうか?

詳しいことはわからないが、とにかく成功だ。


「メメリス、またタコ焼きの新商品だってな?」


「そうですよ、今日は新商品限り半額なのよ」


「それじゃ、それ頼むわ」


「はい、まいどー」


冒険者風のその男はメメリスから商品を受取ると歩きながら一口頬張る。


「むぐぅぅ」


タコ焼き片手に真正面に倒れこむ男。


バターン


「うめぇ!うめぇぞ!なんだこりゃぁ!」


顔面を土で汚しながら起き上がり驚嘆する。


その大げさなリアクションを次々と客達が行っていく。


気絶するほど旨いタコ焼き。


食った瞬間に即死するタコ焼き、念話で起き上がってタコ焼き褒めろといえば忠実にそれに従う眷属の誕生だ。


ひと通りリアクションが完了すると他の眷属より小さなナイフを手渡されて人混みに紛れていく。






□



俺は冒険者のバックス。

ずいぶんとあちこちを旅して来たがそろそろ俺の旅も終わりのようだ。

長年連れ添った後衛の魔法師エルリーズ、いざという時の回復役のメリーサと共にこのネシアの町に辿り着いた。


昨年の冬にダンジョン最奥まで辿り着いた俺たちを魔物の群れが襲いかかってきた。

ほとんど魔物が見られないこの国で複数の魔物に囲まれるなんて事はそうそう無いことだった。

そこで斥候役のセンダックと盾役のグルスが大怪我を負っちまった、幸いにも怪我はメリーサの複数回に渡る回復魔法で再度冒険が出来るまでには回復したのだが、冒険者として一番大事なモノまではメリーサの回復魔法でも元には戻せなかった。

あいつら完全に心が折れちまった。

長年連れ添ってきたアイツに当たり散らしたい気持ちもあったが、エルリーズとメリーサに窘められその後あいつらを気持よく故郷まで送り届けてきた。

ネシアの町で漁師が景気がいいなんて話を聞いてここまで流れてきたが、パーティーも解散、エルリーズとメリーサともお別れって流れになりかけたんだが、どういうわけかこの町で三人でしっぽりと余生をおくろうって話になっちまった。

つまりはそういうコトだ。

長年連れ添ってきた2人と改めてそういう関係になっちまうと、なんだか晴れやかな気分だ。

今日は2人を連れて最近この町で評判の「気絶する程旨いタコ焼き」って奴を食べに来たわけだ。




物凄く喜んでタコ焼きの味を褒め称える2人に続いて俺もタコ焼きを口にする。


「ムグゥゥ」


毒だ、それもかなりの強度だな。

だが、小さき頃より毒による耐性を鍛えてきた俺には強力な毒耐性もある。

普段ならパーティー内でも毒味として俺が一番最初に食べるのだが、町中でしかも人気と評判で俺だけをピンポイントで毒殺しにくる理由が分からない。


「グオオオアア」


俺の毒耐性の熟練度を持ってしてもかなりの苦しみを感じる。

だが、これなら耐えられる!!


駆け寄ってくるエルリーズとメリーサ。


「ああ、お前達!」


ブスッ


グサッ


心臓と喉元に突き刺さる小さなナイフ。


笑みを浮かべる2人。


「あなたどうしたの?」


「美味しかった?」


2人共グルだったのか?いつから?

霞む意識、暗転する視界。


聞こえる声

「立ち上がってタコ焼きを褒め称えよ」


なんだろう、心の中に沸き起こる幸福感。

この声に従う事こそ我が使命!

ありがたきお言葉!


「うめぇ!俺は今まで旅してきてこんな美味いもの食ったことねぇ!」





□



時には毒耐性を持った者や、勘の鋭い者、嗅覚の異常に発達した者がいるようだが、そこはその者の知り合いや、周囲の人並みの中に紛れている眷属達が囲んで眷属化してくれているようだ。


さて、サッグの仲間の急襲が楽しみだな。


町のほぼすべての住人の眷属化までもう少しだ。

騎兵隊も眷属化は完了し、現在は町内を虱潰しに眷属化をしてもらっている。


うはははは。


いいぞいいぞ。






ポーン


ナンバー87390の適正を確認中


外部要因により

シミュレーション2の早期終了を通告します。


圧縮時間をさらに圧縮。


残りタイム 圧縮時間 1ヶ月



ナンバー87390の早期投入の要請あり


外部よりメッセージ


【とりあえずやれるだけやってみてくれ】




バルちゃんと別れた時と同じようなメッセージが流れた。


なんか良い感じになってくると毎回流れるイメージがあるな。


外部要因ってなんだよ…


外部メッセージってなんだよ…





とりあえず、いきなりサッグとお別れ、町の眷属達とお別れって展開じゃないのはありがたいけどさ。


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