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外道の道も本能故  作者: モロモロ
第一章
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10 釣り

「まずは餌付けないと釣れないから」


チェレスは水辺に置くと木々の中に再度戻った。


いろいろ樹を見てまわっているが、俺にはどの樹も同じようにみえる。


手で触ったり、耳を当てたり。


すると、ある一本の今にも朽ち果てそうな樹の所で足を止めた。


「ふんっ」


両の掌で樹に振動を送るように叩いたかと思うと、樹がザワワワワっと小刻みに揺れた、そしてパンッと弾けるように樹が木っ端微塵に砕け散った。

俺の腕で抱えきれない程の太さの樹が一瞬で木っ端微塵とか魔族の技としてもなかなかのものだ。

自然な動作で行っていたが魔力を練り込んだ攻撃だったのかもしれない。


「ほれ、仮死状態になってるから起こさないようにな。大きな衝撃や音で起きれば持ってる手を噛みちぎられるぞ」


巨大な顎を持つ人間の太腿程の大きさの不気味なイモ虫を投げ渡された。

色は紫にオレンジ色のストライプ、頭と顎もオレンジ色でいかにも猛毒を持ってますという風貌だ。

先ほどの衝撃で仮死状態なのだろう、ピクリとも動かない。



チェレスは慣れた手つきで、近場の細めの樹を手刀で切り落とし、邪魔な枝葉をスパスパと切っていって、巨大な木の槍のようなものを作ると、落ちている他のイモ虫を次々と刺していく、頭の付け根の部分を突き刺すとギュワギュワギュワと鳴いてムギョムギョと動き出すイモ虫、それがどんどんと突き刺さっていき30匹程のイモ虫ツリーが出来上がった。


イモ虫一匹の重力が人間の子供より少し軽い20kgと考えても、ゆうに600kg近い重量がかかった木の槍が大きくたわむ。

それを片手で担いで引き返すチェレスの後ろを、えっちらおっちらとイモ虫に細心の注意をはらいながら運ぶ。


「よし、釣り針に餌つけて投げる、あとはウキが沈んだら引き上げる、簡単だろ?あとは運任せだ。スポットは自分で探せよ、餌も今日は別けてやる、ハンデもあるし良い勝負になると思うぜ!」


そう言うと、既に木の槍でぐったりとなったイモ虫を一匹抜き出して巨大な釣り針に餌を括りつけると、ヒョイと餌を湖に投げ込んだ、ドバーンと大きな水しぶきを上げて餌が水面に落下。あれ魚逃げちゃうんじゃないか?


さっそく、俺も少し場所を移動してチャレンジすることにする。

竿と餌を一度に移動するのは重量的に無理だったので、往復しての移動になった。


「釣れたけど、手元まで釣り上げられなかったら声かけろよ、その時は手伝ってやるからな」


ニカッと笑ったチェレスに了承の意を唱えるとその場を後にした。



イモ虫は巨大な釣り針に頭を貫かれると、ギュワワワワワと猛烈に暴れて顎から黄色い液を周囲に吹き出しまくった。

飛び散った液が衣服にかかった所を確認すると、プスプスと煙が出ていたので素早く湖の水で洗い流した。

チェレスは木の槍に簡単に刺していたし、こんなに暴れなかったけど、刺す位置とかタイミングとか何かあるのだろうか?

危なくて、イモ虫がぐったりするまでしばらく待つしかない。


すでにここまででメチャクチャ大変な作業だが、俺の本能的な「侵略せよ」という欲求は満たされている、見当違いな事をしているように感じるが、これも侵略の為の行動という事になるんだろう。

そう思って、黄色い液にまみれたイモ虫を釣り針部分を持って引きずって行って湖の水で一旦洗う。


チャポチャポと洗っていると、洗った周辺の水面に何かが浮かんできた。


小魚が数匹浮かんできた。浮かんできた小魚を手で掴んでみると、ピクピクと動いて死んでいないものの、麻痺したように抵抗しない。

思い切って生のまま食べてみた。


うん。プリプリとした歯ごたえに甘みがあって美味い。

しばらく経つと、次々と魚が浮かんできたので、足元をまくって、湖に入り踊り食いを楽しんだ。

何故か非常に気分が良い、高まってきた感じだ。


ヒャッホーイ!


らんららんらー♪


釣りとかめんどくせぇし手づかみでいっちゃいかオイッ!


ひんやりとした湖の水温も最初は心臓が止まるかと思ったぐらいだが、今は非常に心地よく感じる。


魚も結局、数十匹が浮かんできたので食べまくって腹も満たされた。


満足感と多幸感のコラボレーションだ。


フイーッホー!


俺は衣服を脱ぎ捨てて、綺麗な湖の水中探検を始める事にした。


バシャバシャと水面と水中を交互に泳いでいく。


我ながら泳ぎに関しては上手いもんだ。海に住んでたし水の抵抗とか泳ぎ方とか本能的に分かる。


「…ぃ」


ん?


チェレスが泳いでいる俺を追って水辺と追いかけてきている、流石に生い茂った木々が水辺まで突出している場所などあり、俺の泳ぎのスピードについてこれないようだ。


「…ぶ…ねぇ…」


結構、必死の形相でウケる。あいつあんだけの武力があって泳げねぇみたいだな。


更に気分が良くなった。


チェレスに手を振り、湖の底に潜れる所まで潜ってみよう。


遠く離れた違う所に顔を出して、俺の泳ぎの凄さを更に魅せつけてやろう。



透明な水の中に、大小様々な魚が泳いでいる。

人里離れた山の中の湖だけあってまったく人に警戒心も無く、近くまで寄ってくる。

気分は人魚の気分だ。


「……guhaooo」


水中に小さな音が聞こえると、俺の周囲を泳いでいた魚達が急にスピードを上げていなくなった。


ん?


水中なので音の下方向が分からない。


一度、水面に出て空気を吸い、再度水中を確認しよう。


水面に出ると、チェレスの声が聞こえた


「…しろ…」


お、結構近くまでチェレスが迫ってきてる、やっぱすげぇなアイツ。


「…しろ…だ…」


すげぇ必死な顔だし、アイツも負けず嫌いなんだなー。

水中対陸上での競争。

今回は障害物も多かったし、俺に軍配が上がったようだな。


「うーしーろー!!!」


走っていたチェレスが立ち止まり、両手を口に当てて俺に叫んだ。

うーしーろー?うしろ?後ろ?


立泳ぎの状態でゆっくりと後ろを振り向く。


200m先の水面が広範囲で不自然に揺らいでいる。


水面下に何かいるのか?


水中を覗くと、透明で綺麗な水中に真っ赤な花が咲いたように、何か巨大な生物が大口を開けてこちらに迫ってきているようだった。



くそっ!

デカイ

速い!



うおおおおおおああああああ!!


俺の全エネルギーを手足の回転に注ぎ込み、極限の推力を生み出しチェレスのいる陸地に向かって泳ぎだす。


「こっちだ!急げ!!」


水飛沫の音に混ざってチェレスの声が聞こえるが、既に視界は自分自身が立てた水飛沫で見えない。


うああああああああああ!!!


「全然進んでねぇぞ!!一旦冷静になれっ!!!」


ああ、薄々そうじゃないかと思ったんだわ!!


GHAAAAAAOOOO!!!!!


ブチャァアグチャグシュァ


シュ

シュ

ガシュ

ガシュ

ポキュゥ



リトライ


<YES>

<NO>



<YES>←

ピコッ



全身を襲った痛みは一瞬で消え、今また俺は全裸で森のなかにいる。


名称 花咲く王

レベル 3→4

世界侵略率 10/100

能力

噛みつき 1

狩猟 12→15

剣技 3

耐毒 2→12

罠設置 4


取得可能能力


解体

特攻

詐欺

耐酒

釣り

水泳


ステータス確認するとレベルが上がっていた。

チェレスのところ行くまでと張り込み中の狩猟生活の影響だろうか?

狩猟も上がっている。


…この耐毒の異常な上昇。

あの魚なり何かが毒だったようだな。

確かに振り返ってもあのテンションは可怪しい。


それにしてもこの貧弱な肉体で侵略とかどうすればいいんだ…

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