9 チェレス
「えっと、あんたがチェレス老とかって人かい?」
赤髪の少年が一瞬、驚いた顔をした後にニヤリと笑って応える。
「まさか、第一声がそんな確認とはな…本当に面白い奴だな」
赤髪の少年というよりも、その蒼い肌、筋骨隆々のズングリムックリの体型、腰に巻きつけている巨大な尻尾、赤髪から生える黄色く鋭い角。
魔族という奴だろう、非常に親近感のわく外観と言えよう。
はて?確か、魔族とはデミアスっていう魔王の支配する国にしかいなかったような?
なんでこんな所にいるんだ?
「なんで魔族のあんたがこんな所にいるんだい?」
「ブワーアッハッッはっは!俺の姿を目にして恐れもせず、驚きもせず、図々しい質問まで投げかけてくるたぁ、お前の神経はよっぽど図太く出来てるらしいなぁ」
何がおかしいんだ?質問に答えろチビスケが!
まぁ、実際この筋肉量、漂う魔力共に俺など瞬殺出来る程の力量の持ち主なのだろう。
やっぱり人間は非力だわ…
改めてこの貧弱な身体で、テレンスだけでなく、魔族や魔物が跋扈するデミアスまで支配しろとか無理ゲーに感じてきたわ…
「何か事情があるんでしょうけど、別に興味は無いので、答えたくなければもういいです」
とりあえず、あって眷属に出来ればとも思ったけど、いきなりハードルが高すぎる事が目の前にして良く分かった。
こいつは眷属がたくさん出来たら取り囲んで眷属にしよう。
「お一人のところを邪魔してしまった様で申し訳なかったね。それではさようなら」
意味の無い数日間になってしまったが、人里離れた場所にはテレンスにも魔族や魔物が他にもいる可能性が分かった事も情報として得ることが出来た良しとしよう。
「おい、おい、おい!待てって!」
何故が立ち去ろうとする俺を呼び止めるチェレス。
なんかめんどくせぇ。
俺の目的に近づくのに、あんたは眷属にする順番最後の方だから、今は関係無いのよ。
「なんでしょうか?」
「お前面白いから、ちょっとしばらく遊んでかないか?」
「え、いや、結構です」
俺にそんな暇は無いのよ少年。
一人で山々を駆けまわって遊んでおくれ。
「…お前、マリアック団に一泡吹かせたいって言ってたよな、ちょっと遊んでくなら、ついでにちょっと手助けしてやるぜ」
いきなり魅力的なお誘いが…
「えっと、じゃぁしばらく遊んじゃおうかなぁー」
「おー!イイネイイネ!案外ノリいいじゃない!素っ気ないから絶対断られると思ったわ」
うん、遊んでて隙あらばお前眷属にするから。
「とりあえず、今日はこれから道具とって釣り行こうと思ってたんだわ、一緒に行こうぜ!」
おお!
本格的に遊ぶ気だわ。
釣りとかしたことねーぞ!
海の中に住んでたことはあるけども。
あータコ食うとか気持ち微妙だろうなー
タコ釣れたりしないよなー。
チェレスの言う釣り場という所に来た。
鬱蒼と茂る木々のなかに突然現れた巨大な湖。
「ほい、これお前の竿な!」
ポイと渡された釣り竿。
チェレスが担いで持ってきてる時から思ってたけど、クソデカイ、太い!長い!何を釣るつもりなんだよコイツわ!
俺も負けず嫌いだからね、若干腕がプルプルしてるけど、気合で平然した顔で持っている。
「じゃぁ、今日は初日だしハンデ20でいこうか?」
「え、ハンデって?そういう遊びなの?」
「分かりやすく言うと、お前ボウズで、俺が20匹以上釣れたら俺の勝ちね」
「勝ち負けってなんか賭けるのか?」
「お前、男が賭けるもんなんて一つっきゃねーだろーよ」
「え?」
「命だよ命」
あ、コイツやばい奴だわ。




