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外道の道も本能故  作者: モロモロ
第一章
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8 チェレス

店の清掃が終わった客達に一旦帰ってもらった。


「普段通り」という事だけはしつこくお願いした。


どれだけ効果があるかは分からないが、しばらくは騎兵隊にも発覚せずに過ごせるかもしれない。



昨日、客達から聞き取りした情報の中で、気になった情報がいくつかある。


1,ここ数ヶ月、突然漁獲量が増えていて漁師達の景気が良い

2,漁獲量が増えたことにより網元の権力が強くなり、町を取り仕切る顔役の「マリアック団」との力関係が変わってきた。

3,マリアック団が助っ人として近隣の山奥に住む通称「老師」ことチェレス老に支援依頼したらしい。

4,港町にある色街に娼婦の失踪事件が頻発している。

5,港にある屋台の一番の人気店は「メメリスのたこ焼き屋」

6,漁獲量の増加とともに納税額もかなり増え騎兵隊が頻繁に来ている

7,騎兵隊による漁獲量UPの褒美ということで、現在網元のバルレオは幹部達と王都へ行っている。



中でも騎兵隊が頻繁に来ているというのが心配だ。


もう数日、この居酒屋で情報収集しながらコツコツと眷属を増やしていく事も方法だろうが、漁師達やマリアック団などをまとめて眷属化出来れば騎兵隊に対抗しうる戦力になるんじゃないかと思う。


問題は、俺個人の武力や、この居酒屋の客達程度の武力でそれらの団体を眷属化するまえに殺られてしまうだろうということだ。



そう考えると、会うことに一番リスクが少なく感じ、興味が惹かれるのは、チェレス老とかいう、マリアック団に一目おかれている老人の事だな。


さっそくアミー達に出掛ける旨を伝え出発する。

町から3時間の行程をひたすら歩く、本当に人など住んでないらしく道なき道を木々をかき分け進んで行く。

目印となる老人の住む山頂に生える一本杉を目標に進み続けたが、結局到着するのに3日程かかった。

誰だよ3時間とか言ってた奴は…


3日間で狩猟の技術がかなり上がった。

3時間で着くとおもって何の準備もしてこなかったので、途中で空腹で死にかけた。

幸いなことに山奥には獣も多く獲った獣をそのまま食うことで喉の渇きも潤せた。


名称 花咲く王

レベル 2→3

世界侵略率 10/100

能力

噛みつき 1

狩猟 12

剣技 3

耐毒2

罠設置 4


取得可能能力


解体

特攻

詐欺

耐酒



血まみれ泥まみれで、杉の木の麓にあるボロ小屋を見つけた3日目の夕刻には、そのまま小屋に駆け寄りたくなる衝動を抑えるのに苦労した。

ぐっと衝動をこらえ、闇夜に溶けこむように、その後3日ほど小屋周辺から小屋を観察したが、人の出入りは無かった。

ここでは無いのか?


ひっそりと小屋に近づきドアを開けようとした時に後ろから声をかけられた。


「こらえ性の無い奴だな」


「誰だ!?」

後ろを振り向こうとした俺の首筋にヒンヤリと冷たい刃物の感触が押し当てられる


「それはこちらのセリフだ、数日もワシの小屋に張り込んでおったお前の挙動、不審者以外の何者でもないぞ、誰の差金だ!?」


差金とか言われても、あわよくば爺を眷属にしてマリアック団を上手く騙せればぐらいにしか考えてなかったんだが、そんなこと言えるわけもない。


「……」


「言えんのか?」


首筋の刃物に力がこもる。


「ちょ、あ…」


「なんだ?言う気になったのか?」


「差金というか、自分が興味あっただけです」


「ほう、興味があっただけで、こんな山奥まで入ってきて、誰も住んでいる気配の無い小屋を数日も貼りこむのか?」


まずい…まずいぞ…殺されちゃうパターンな気がする…


「実は酒場でマリアック団の話を聞いて…」


「あいつらか、ずいぶんと大金を提示してきたが、俺が何の為にこんな山奥に住んでるのか分かってなかったらしい」


ん?

こいつが?

にしては、声が若々しい。


「あいつらに一泡吹かせてやろうと思って…だけど俺一人じゃ…」


「ふむ、訳ありらしいな、なかなか根性もあるんだろうが止めておけ、命を無駄にするな」


知った風な口を!!

訳知り顔で説教始めようとするあたりが老人っぽいっちゃぽいが、振り向こうにも刃物がどんどんと首にめり込んで来る。


「その生命がもうすぐ途絶えそうなんだが」


かなり深く刃物が首にめり込んでいる感覚がある、刃物を首から離したと同時に噴水の様に血が吹き出して死ねそうだ。


「がはははは、この状況で冷静な奴だな。面白い、生かしてやる」


首に生暖かい感覚と共に、青白く発光している光が視界に入ってくる。


「単にぶっ刺すよりも、治しながら抜く方が何倍も高等技術なんだぞ、感謝しろよ」


自らぶっ刺しておいて、感謝しろとはこれいかに。


「よし、振り向くことを許す」


許可が出たので振り向くと、そこには赤髪の少年がニカッと笑って立っていた。


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