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外道の道も本能故  作者: モロモロ
第一章
65/90

65 ドルメキア

<ドルメキア公国にてドルグ大公>


「ドルグ大公閣下、ご報告があります」


守衛と共に入ってきた将軍が跪き報告がある旨を話す。


全身を金で装飾した衣装から太い腕が出ている。

一般的なドワーフよりも二回りほど大きな体、赤茶色の頭髪は油で撫で付けられ後ろに流されている。

おでこの半分ほどの太さの眉の間には大きな皺が刻まれ、口の周りの髭は胸元まで伸びている。

そのゴツゴツとした手に持たれたグラスが小さく見える。

グラスの中のワインを一気に飲み干すとドルグが答えた。


「なんじゃい」


ドルメキアの大公閣下という重職にありながらドルグの言葉遣いは居酒屋の親父のようであった。

そもそもこのドワーフの国ドルメキア公国では、ほとんどの付き合いが親分子分の家族的な文化である。

流石に公式の場では、将軍も「大公閣下」と呼ぶが、普段は「オヤジさん」なんて呼んだりしている。

清らかな水が豊富にある山脈地帯を領地にしながらも、彼等は山肌で育てた葡萄から作られたワインを好み、常日頃から常飲している、しかしワインぐらいのアルコール度数で酔ってしまうようなドワーフはいないので、程よい社会の潤滑油となっている。


「先日報告しましたゴロヤクの件でございます」


「役に立たんか?」


「現在は、魔物の放出を止め防衛体制に入っているとの事ですが、防衛戦に手を貸して欲しいと言って来ております」


「で?勝ち目はあるのか?」


「正直、あまりにも突発的過ぎて情報が入ってきません、先日斥候も兼ねて送り出した鉱夫達も帰ってきません」


「なるほど、では例のモノを一体使ってみるか?」


「ですが、あれはまだ実戦には!技術者による操作が困難な為、自動操縦でしか動かせません!」


例のモノで思い当たるモノがあったのだろう、将軍の顔色が一気に変化する。


「魔鉱石は充分にある!構わんやれ!」


即断であった、付け入る隙もない。


「はっ」


将軍は、そう答えるしかなかった。

急ぎ手配の為その場をあとにした。







<花咲く王>



俺は今、ドルメキアへ進行中の1匹のスラダスの視界を見ている。

ダンジョン外では他の五感は受信出来ないが、その視界に映る光景に心が逸っている。

前方1km先の地に展開する魔物の軍、レッドスライムとロックバード達。

遂に見つけたぞ、まさかドルメキアの前に一戦が待っていたとはな。

魔物を野生化していた馬鹿野郎が軍団を作って待っていやがった。


<レッドスライムはテトラポイズンドリルダケとスパイクブルーワームが攻撃、ロックバード達はスラダン及びレーザースライムが撃ち落とせ!かかれ!蹂躙せよ!>


一時停止し、後続を待っていた我が配下の軍団が一気に突撃する。


視界を借りているスラダスもレーザーを放ったその光の柱が数秒間上空を右から左へそして右へと動く、上空を埋め尽くすロックバード達が地上から打ち上げられる無数の光の柱に次々と撃ち落されていく。


視界を地上に落とすと、テトラポイズンドリルダケの猛毒胞子で苗床にされたレッドスライムが為す術もなく動けなくなった所を、地底からスパイクブルーワームが湧き出て貪り尽くす。

蹂躙ショーの始まりだ。


30分、いや20分ぐらいたっただろうか、敵の数がまばらになってきた。

む、ドカタンから連絡が。


「おっす!親分!アジトらしきモノを見つけたぜ!4823番の眷属がいる場所だ」


「ご苦労!」


地底にあるDM(ダンジョンマスター)のダンジョンを見つけるのにスパイクブルーワームの切削能力はかなり有効だ。


<第一軍は偶数組はそのまま殲滅を、奇数組は位置情報を送るので集合後、敵DM(ダンジョンマスター)のダンジョンを殲滅せよ>


「バルちゃん、悪いが行ってくれるか?」


オレはバルちゃんに話しかけながらも、DP(ダンジョンポイント)を使用し敵ダンジョン周囲までダンジョン範囲を拡大する。


「その言葉、待っておりました。すぐに向かいます」


「ああ、転移の準備が出来た、今送る」


「…流石の手際ですね、分かりました。よろしくお願いいたします」


オレはバルちゃんを集合地点間近に転移させた。


「主様、この体では大きすぎる故に3m程の個体を20体ほどダンジョン内に送りますが、それでよろしいでしょうか?」


「ああ、充分だろう、任せる」


<各隊は、キングバルスタンの支持に従いダンジョン内を殲滅せよ>


「バルちゃんにみんなついていくから指揮を頼んだぞ」


「了解しました」


バルちゃんは70mほどの1体と3mの20体に分裂、3m体は、それぞれが情報統一され完全な動きでそれぞれをサポートしながらダンジョンへ入っていく。70m体は外で偶数体の指揮をとっている。


ダンジョン第1層。


ただただ広いダンジョン第1層に、レッドスライムの幼体や成体がひしめき合っている、魔苔を餌にしているのだろう、洞窟内は魔苔と魔霧で満ちていた。


その中にスラダスが1匹突入していく、襲い掛かってくる無数のレッドスライム、だが体積が違う、レベルが違う、スラダスの吸収能力で凄まじい数のレッドスライムが飲み込まれていく、赤いスライムが綺麗なエメラルドグリーンのスラダスの体内に浮かんでいる、やがて飲み込まれたレッドスライムを吸収し続けるとスラダスの体色が青緑から赤紫へと変化していく。


あ、これ他はいらないパターンかもな。


<奇数組!逆に侵入は危ないかもしれん、偶数組と合流し地上を殲滅せよ!>


とりあえず、スラダス1匹の戦闘力を試す上でも、巻き添えなどを防ぐためにも、バルちゃんの3m体分身を含め再度地上班と合流させる。


代わりに直接に観察と指揮をとる為に俺の分離体を眷属化しダンジョン近くへ転移させて第1層へ向かった。


流石に俺本体が最前線に向かう事は出来ないが、分身眷属体くらいは最前線にいなければ現場と指令本部とに大きなギャップが出来てしまいかねない、現場の雰囲気や勘を感じ取る事も出来なければ世界を侵略していくのは難しいだろう。


一応体積多めに10mの個体に分裂したし、よっぽどの事態が起きなければ転移で逃げられるだろうし、スキルを奪われる事はないと思う。


あれこれ処理している間に全レッドスライムを吸収したスラダスが小山のような体積になってダンジョン中央へ佇んでいる。


なんか赤紫でデカくて短い期間ですげぇ貫禄出たな。


ん?

ステータスを確認してみる。

おお!

進化してるみたいだ!


大量にレッドスライム吸収したからか?

吸収学習によって得たものもあるみたいだ。


名称 「 」

魔物名 スラダーク♀

スキルポイント 94534

魔物レベル 258751

知能レベル 234551


能力

レーザー発射・猛毒耐性・高速移動・溶解・溶解強化・酸性溶解・高熱融解解・吸収・吸引・吸収学習・吸収合体・合体遺伝・体力自動回復強化・魔力吸収・分裂・水棲属性・ジェット水流・水棲属性・遊泳・液化・光線反射・卵生繁殖・精力増大・体力自動回復強化・気合・根性・火炎放射・熱吸収・炎耐性



隔世遺伝というやつだろうか?それとも進化によってか、キラリンやエメラルに与えたスキルがスラダスには遺伝されていなかったが、ここで発現したようだ。


合体遺伝や酸性溶解・高熱融解・火炎放射、熱吸収、炎耐性なども付いている。


吸引っていうのは吸収を助ける機能かな?

かなりスラダークも強いんじゃないか?これ?

レッドスライムが弱かっただけかもしれないな。

なんかここのDM(ダンジョンマスター)は昔の俺を思い出す弱さだな。

俺の邪魔をした奴だし気兼ねなく殲滅出来るな。


せっかくなので第1層にDP(ダンジョンポイント)を使ってスラダークを強制産卵させてみた。

餌としてはまだ魔苔が沢山残っているので食べさせてもらおう。


卵生繁殖と精力増大のコンボやべぇな、第1層がスラダークの赤紫の1粒30cm程もある卵で埋まっている。



まぁ、死んでも予備が無数に出来そうな事だし第2層もスラダークに単身で突っ込ませてみた。



予想を裏切らないDM(ダンジョンマスター)だな。

当然のように第2層にはロックバードがバッサバッサと飛び交っている。

地上には人面芋虫が敷き詰まっていて、その何匹かは体内で産まれたロックバードの幼生に食い破られて動かない個体もいる。


その中に単身突っ込むスラダーク。


当然のように、獲物に殺到するロックバード。


ビーム発射か!?


…


え?


ギュポッ


ジュポッ


ボヒュン


グシュッ


なんか攻撃も防御もしないスラダークの体内にロックバードが突っ込んでいってるが…


流石に石というか岩石は溶解出来ないと思う。


あああああああ


やっぱり単身突入とか無謀過ぎたわ…



ああああああ


なんか赤紫のデロデロにぐちゃぐちゃと尖った岩石が中から表面まで無数に突き刺さってて趣味の悪いオブジェと化してるよ…


既にこと切れたのか微動だにしないスラダークになおも突っ込んでいくロックバード達。


良く良く考えたらスラダーク死んだらここのDM(ダンジョンマスター)にめっちゃDP(ダンジョンポイント)入るだろうに、未だに配下の魔物に攻撃を辞めさせないっていうのは、まだスラダークが生きてるからか?


?


いまチョットだけ体内深く突き刺さってるロックバード数匹が動いたような?


いや、俺の視界が揺らいでいるんだ。


第2層の地面をウネウネと動き回っていた人面芋虫共が動きを止めた?


何が起こっている?


グボボボグボボボ


!!!


!!!!!!


おおおおおおあああああああ!!!!


熱い!


これは高熱融解か!?


熱い!スラダークの中のロックバード達が真っ赤なマグマのようになり融解されている。


俺までヤバイぞ!


俺は急いで身体を炎化する。


ほっとしたのもつかの間、第2層に風が吹き始める。


風がスラダークのいる部分を中心に竜巻になり、周囲の空気ごと飛び回っていたロックバード達を吸い込み始めている。


中心で次々に融解されていくロックバード達。


俺の10m分身眷属体である巨体で突風に変わった風に抵抗を試みるが、炎化状態を解けば高熱で熱くなる。

炎化状態では足で踏ん張るにも外壁にへばり付くにも不向き。

いろいろ考えている内に、風が益々強くなってくる。


ちょ…ああ…まっ…


え?


吸い込まれてる?


ああああああ


本体は外だが、この高熱の中に吸い込まれる気分って嫌な気分だよ



うひょーぉぉぉ



……



あ、大丈夫みたい。


なんか、流石に配下の魔物の吸収能力でDM(ダンジョンマスター)は吸収出来ないみたいだな。

炎化してなかっから、普通に高熱で死んでただろうけども・・・・


ふいー


結局、ロックバード達もこいつ1匹で殺っちまったな。


どれ?



名称 「 」

魔物名 スラダークル♀

スキルポイント 128164

魔物レベル 284587

知能レベル 268361


能力

レーザー発射・猛毒耐性・高速移動・溶解・溶解強化・酸性溶解・高熱融解解・吸収・吸引・吸収学習・吸収合体・合体遺伝・体力自動回復強化・魔力吸収・分裂・水棲属性・ジェット水流・水棲属性・遊泳・液化・光線反射・卵生繁殖・精力増大・体力自動回復強化・気合・根性・火炎放射・熱吸収・炎耐性・肉体硬質化・肉体岩石化・翼生成



なんか、ちょっとだけ進化?してるのかな?


とりあえず、肉体硬質化・肉体岩石化・翼生成が増えたってことだが、この巨体が飛べるとは思えないんだが・・・


今のところ翼が増えたという事も外見上無いので、もしかしたら翼生成のスキルを使った時だけ飛べるのか?


いずれにしてもダンジョン内では関係ない能力だな。


ここまでやったんだ、ご褒美あげなきゃだな。


<名付け>

<スキル取得>

<譲渡>

<解放>



<名付け>←

「ピコッ」



名称 「←」



名称 「クルクル←」



「主様、名付けありがとー」


「うんうん、いいよいいよ、頑張ったね」


「うん、主様が喜んでくれたらそれが一番」


ダメだ・・・


クルクル可愛すぎるだろ・・・デッカイ赤紫のスライムの中身がこんなだとは・・・情が移りそうだよ


「とりあえず、欲しいスキルとかある?」


「えっとーもうちょっと可愛くなるスキルー、なんか髪の毛生やしたりーオシャレしたりー靴とか履きたいかもー」


…


なんかこれどうやって返せばいいんだ?


「そ、そっかぁ、分かった。今すぐは無理だが調べておくわ」


「うん、期待してるーよろしくねー」


「じゃぁ、これから第3層に行くんだけど、もう一回産卵お願い出来るかな?」


「え?ここで?ちょ…恥ずかしいんだけど…」


なんか名づけしたことによって知能が急激に上がったのか面倒臭くなってるんだが…


「俺あっち向いてるからチャチャチャーって頼むよ」


「ぬ、主様がどうしてもって言うならーちょっと恥ずかしいけど、頑張っちゃおうかなー」


「うん、どうしても頼むわ」


「えへへ、分かったー」


…疲れるな…なんか疲れるな…可愛いと思ったのは一瞬だったわ…面倒くせぇ…


まぁ、産卵はしっかりしてくれたみたいだし、適当に煽てて使っていこう。


第1層と第2層の卵の半数をDP(ダンジョンポイント)を使って火山地帯の真ん中に転送しておく。

これで最悪の時は予備はバッチリだわ。



さて、第3層で終わりかな?


俺はクルクルの上に立ち共に第3層へ進む。




第3層に着くと、人面芋虫が山盛りになっている器を抱えてムシャムシャ食っているキングオークがいた。


こいつか…


「よぉ!」


「?!」


豚がこっちを見る、口の周りに人面芋虫の食べカスが沢山付いている。キタねぇ。


「オデのダンジョンに何の用だ!?」


「てめぇが考え無しに魔物を野生化してた馬鹿か!?」


「なっ!オデは馬鹿じゃねぇ!オデの支配地帯を守る為にだ!」


「ほう、こんなちっぽけなダンジョンを支配地帯と言うか?」


「ココじゃねぇ!オデはドルメキア公国を統べるDM(ダンジョンマスター)ゴロヤク様だ!」


「…」


何言ってるんだコイツは?

まぁ、大方適当な事言われてドルメキア公国に利用されてるんだろうな。

あー

すげぇ馬鹿だわコイツ。

たぶん、これ以上話しても誤った情報しか得られそうにないわ・・・



「どうだ!驚いて口も聞けないのか!?オデ様を敬う気にな…おい!…止まれ!…跪け!お…ぶ…え…」



普通にクルクルが前進したら簡単に吸収されて肉がジュワジュワと溶けて、骨になって、球になった。

「DM(ダンジョンマスター)の球」

<吸収>

<眷属化>

<開放>

<晒す>

<道具化>


なんか吸収するのも気持ち悪い奴だったな。

もちろん眷属化は無いだろう・・・


仕方ない。


<道具化>←


「ピコッ」


「ポーン」


※DM(ダンジョンマスター)復活の宝玉を入手しました。



おおおお!!!!

なんぞ!!!!


ええええええ!?


こんなんあるんか?


今での俺の死!


まぁ、勘違いかもしれん、詳細チェックだ。


DM(ダンジョンマスター)復活の宝玉

「DM(ダンジョンマスター)が死んだ際に一度だけ体力や魔力・肉体など完全な状態で復活させる宝玉。リトライとは違い、スキル・能力値・配下の魔物・召喚魔獣などを継承。また、復活地点は死んだ場所以外に自分のダンジョン内ならば何処へでも可能。」


間違い無かった。


すげぇ、これ入手レアなんか?

何個か欲しいが、まずはDM(ダンジョンマスター)見つけないと検証も出来ない。


道具化とか、全然期待してなかっただけに嬉しい誤算だ。


今度、DMK《ダンジョンマスターキラー》の球を得た時も1個ぐらいは道具化してみるかな?


ドゴーン!ガーン!


第2層に来た時に上部からくぐもった音が聞こえた。


ガッ!


ゴゴゴゴ!


第1層でその音が益々大きくなってくる。

嫌な予感が…


ザザザザザ!


バッ!グッ!ダダダダダ!


チューン!ゴッ!ダッ!


アイテムゲットして嬉しい気持ちでダンジョンの外に出た俺は、分身体と再度合体し100m体になったバルちゃんと巨大な金属の流線型の綺麗なゴーレムが組み合っている場に遭遇した。


大怪獣決戦って感じだ。

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