63 魔獣召喚
魔獣召喚の前に詳細をチェックしておく事にする。
「魔獣召喚とは、魔力を使い魔獣を召喚する。その際に召喚される魔獣は込められた魔力量・地域・気候・時間帯など様々な因子により変化する。召喚した魔獣は召喚主には忠実だが、それ以外はその魔獣の持つ本能のまま行動するので、魔獣によっては小まめな命令が必要になる。知能の高い魔獣は地域によっては神と崇められる程の力を持つ。召喚されている時間は基本的に7日間である。ただし、召喚主による定期的な魔力の注入、および高純度の魔力を外部から得る事により召喚時間を延長する事ができる。一定以上の魔獣は魔物との交配により子孫を残す事も可能。また、一定期間を召喚され続けながら魔力を蓄える事により魔獣変化する場合もあると伝説にはある」
どうやら、こちらでは魔獣を選ぶ事は出来ないらしい、しかも魔獣の召喚期間は一週間ときてる。
DPを使って魔物を召喚した方がましな様な気もするが、何でも試してみなければ分からない。
「バルちゃん、魔獣召喚の前に、砂漠との境界ギリギリまで移動だ」
「御意」
バルちゃんと砂漠との境界まで移動する。
「バルちゃん、ここで良さそうだな」
「はい、主様、ここでしたら不測の事態にも対応可能かと思います」
「じゃぁ、始めようか?」
「お待ちください主様」
「なんだ?」
「一つ提言したい事があります」
「なんだ?」
「吸収学習についてです」
「ふむ、まだ使ってない能力だが?」
「詳細を確認くださいませ」
「なになに?」
俺は、吸収学習について確認する。
「吸収学習とは、スキル「吸収」により吸収した個体の特性や成分を細胞レベルで理解し学習することにより、吸収した個体が持っていたスキルや特性を得る事が出来る。吸収した個体が複数のスキルや特性を持っていた場合は、吸収した個体とのレベル差によって入手率が変動する。倍以上のレベル差があれば100%入手出来るが、レベル差が吸収個体の50%以下の場合には入手率は0%となる」
ついでに吸収の詳細も確認する。
「スキル「液化」や「ジェル化」、「霧化」など固体から液体や気体に体質を変化させる事により、相手個体を体内に取り込み相手個体を吸収する。吸収時間はレベル差と体積により変動し、同レベル同体積であれば吸収に1時間を必要とする。体積やレベル差によっては、吸収に非常に時間がかかる場合がある。その場合、体内に取り込んみ続ける為に相手個体を拘束する必要があるが、拘束力はレベルに依存する、また気体より液体さらにジェル状と拘束力は上昇するが、移動速度はその逆に、ジェル状から気体になるにしたがって上昇するので相手個体のスピードによっては、自身の体質をどのように変化させるかは重要だ。上級者は相手個体確保後に体質を変化させたり、「麻痺」や「粘着」などを併用して拘束吸収する場合もある。高レベル高体積に達した場合は相手個体を瞬時に吸収する事も可能」
なるほど、「吸収」や「霧化」、「吸収学習」もかなり便利だな。
「バルちゃん確認した、メチャメチャ便利なスキルだね」
「はい、ですが敵側に同様のスキルを持つものがいた場合はどうでしょう?」
「ああ、敵にも同じスキルもつやついるかもしれないんだ?」
「スライムなどの個体にこのスキルを付けるDMは多いのではないでしょうか?また、スライム系の種類によっては生まれながらに「吸収」と「吸収学習」を持っている場合もあると思います」
「かもしれないな」
「即時、分散個体を斥候から引き上げましょう」
「!?」
「確かに、近隣の斥候が出来たことにより戦略がかなり立てやすくなりましたが、敵方に我々の能力がすべて奪い取られる可能性があります、1cmの個体にしているので、レベル差があったとしてもうまく捕獲され、相手の体積が強大であれば、我々のレベルでも吸収される可能性があります、特に主様の膨大なスキルが敵方に渡るのは危険です」
「!!!!????まだ間に合うか!!???」
「敵方に捕獲された個体があれば我々に分かるはずですが、現在はそのような気配はありません、1cmと細分化したことが幸いして敵に発見されなかったのでしょう」
「分かった、斥候に関しては別の手を考えよう」
「はい」
「さっそく戻すぞ!」
「少々、時間はかかると思いますが、今日一日あれば」
「だな、魔獣召喚はその後だ」
「はい」
バルちゃん…
あああ、バルちゃんいて本当に良かったわ…
バルちゃんいなかったら俺は何度死んでる事か…
「バルちゃん」
「はい」
「魔獣召喚して、砂漠地帯を侵略したらさ、もう一回DM融合合体やってみようか?」
「ですが、既に一度…」
「うん、でもその頃にはお互いにいろいろスキル増えてるだろうしさ」
「では、その際にはもう少し体積も増えてると思いますので、半分を融合という事でいかがでしょうか?」
「うん、いいよ」
「それまでに、私もしっかり自分自身を鍛えておきますね」
翌日、無事に俺とバルちゃんは100mの身長に戻った、その代わり周辺の情報はすっかり入ってこなくなった。
「主様、ダンジョン内の情報は分かるのですよね?」
「ああ」
「でしたら、まずはダンジョンを広げ、コマシンなど配下の魔物を使って侵略を行いましょう」
「ああ、もうバルちゃん最高だわ。そうするわ」
盲目的にバルちゃんの進言を受け入れてしまう。
誰かに考えてもらってそのとおりに行動するだけってスゲェ楽だわ。
わがまま言いたいときだけ言って、面倒なところはバルちゃんまかせにしよっかなぁ。
「とりあえず、魔力半分使って魔獣召喚しとく?」
「半分というのは賢明な判断ですね。主様の魔力でしたら、半分もあれば大体の事には対処出来るかと思います」
「ん?あ?」
「主様いかがなされました?」
「なんかキラリンとエメラルのところがオメデタみたいだわ」
「おお!さすが主様です!そんな事まで察知できるとは!」
「まぁ、一応DM暦もそれなりになってきたし、失敗もいろいろしてきたからね。ダンジョン内の配下の魔物の状態は常に分かるようにしているよ」
「さすがでございます」
「じゃぁ、お待たせしちゃったけど、合同魔獣召喚やってみようか?」
「はい」
魔力を半分使って…
手に魔力を集中する。
「いくぞ!」「はいっ!」
「「魔獣召喚!」」
ドッ ゴウッ
俺とバルちゃんの魔力が混じり合いながら、赤と黒の螺旋を描き天まで登る光の塔が出来た。
その塔が少しずつ細くなり消える。
!?
何もいないっ!?
「主様!」
「失敗か!?」
「いいえ、よくご覧ください」
光の塔の跡地にこんがり焦げ跡があるだけ、、??
穴?
「バルちゃん、あの穴は?」
「魔獣ホールイーターの誕生です」
「おお!」
「まだ小さな個体ですが大きくなれば必ず主様のお役にたつでしょう」
「ふむ、楽しみだな。おや?丁度良いところに活きの良い餌がダンジョンに侵入してきたぞ」




