39 火竜
視界が真っ赤だ。
そしてとても心地よい。
温かな液体に浮いている。
俺は上へ上へと泳いでいく。
液体から顔を出すと、周囲は全方位が絶壁になっていた。
どうやら俺はどこかの活火山のマグマの中にいるようだ。
人の気配0。
しばらく、ここでのんびりするのもありかもな。
DMKも絶対来ないだろうこの場所で死の世界、マグマの中でゆったりのんびり。
「ちょっと」
心地よくマグマに揺られて。
「ちょっと、あんた」
フワフワと休暇をとる。
「おーい」
英気を養いその後に最高のダンジョンを作ろうじゃないか!
「アンタ私の言葉が理解出来ないの?」
俺の目の前に、厳つい真っ赤な肉体の巨人が立っている、下半身は炎のように燃えていて、黄色くぎらつく眼差しと、燃え盛る頭からは二本の渦巻いた長い角が伸びている。
「え?」
「え?じゃないよ」
「うえ?」
「うえ?じゃないよ!あんたDMだろ?」
なんだ?
どんな展開だ?
これは正直に話すところなのか?
なんでコイツは俺と話せるんだ?
「そんなに警戒しなくっても大丈夫だよ。私もDMだからね」
押し黙る俺に衝撃の事実を告げる巨人。
え?マジで?
「ちょっ!え?あ?」
「あんた、これで何回目だい?」
「え?なんかい?」
「ああーなんかじれったい奴だねぇ。悪かったよ、ちょっと突然過ぎたね、どうやらあんた初心者だね。私はDMのヤクナーナだよ」
「花咲く王と申します」
「ぶほぅぉ!王?え?王なの?一人なのに?ひーひっひひ」
あ、なんかチョットイラッとくるな。
「まぁ、俺の眷属が勝手に付けた名ですから、ご自由に呼んで下さい」
「へー、あんた初心者っぽいのに眷属まで作ったのかい?」
「ヤクナーナさんはDMは長いんですか?」
「このイフリート型のDMを50回ほど繰り返してるからね、長いっちゃ長いよね」
「初めて他のDMの方に会ったんですが、俺を殺したりはしないんですか?」
「昔は、他のDMも殺しまくって暴れまわってた時期もあったけどね、今は開店休業状態で永い事いるよ」
「あの、なにかきっかけでも?」
「一言で言えば、ちょっと疲れちまったんだよ」
「でも本能がダンジョンを拡大せよって訴え続けて来ないですか?」
「それは毎日のように訴えかけてくるけど、この場所なら、ダンジョンを作ったり魔物を召還しても、すぐにマグマが消し去ってくれるからね。本能を抑制しつつ、ゆっくりと休暇をとらせてもらってるよ」
「そうですか、では、自分はいろいろとやる事がありますので、これで失礼します」
俺はこんなところでグダグダしてるような奴に用は無い。
さっさと無駄話を切り上げて、復讐だぜ!
「待ちな」
「お元気で、さようなら」
「DMの情報、私が知ってるだけは教えてやるよ」
「え?」
「まぁ、あんたが、どの辺まで知ってるかは知らないけど、参考になる事だってあるだろう、このまま出てってむざむざとDMKの餌食になる事もない、どうだい?そんなに急ぐ必要も無いなら、ここで暫く時を潰すのも長い目で見れば近道かもしれないよ?」
見た目に反してなんて親切な奴なんだ?
親切?
「見返りはなんだ?」
「私の復讐に手を貸しな」




