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外道の道も本能故  作者: モロモロ
第一章
32/90

32 人魚

「私の景色豊かな故郷がある日突然の爆撃に襲われたの、色とりどりの珊瑚や夜月の明かりに照らされて煌めく町並みに笑顔で賑わう人々は、爆撃後は、飛び散った残骸を処理する人や、泣きながら親類や知人を捜し求める人になり、町並みも雰囲気も一変してしまったわ」


クロニーサの説明が始まった。

いきなりヘビーな内容で始まった。


「ほう、突然の爆撃?」


「へー、そりゃぁ災難だったな」


ナイナイムも俺もクロニーサの話に聞き入る。


「ここから北東にある私の故郷は武力と言えるほどの軍隊は無かったけど、珊瑚や真珠の加工や魚介類の輸出などで、地上世界ともうまくやっていたし、ここ数年は西に住むDM(ダンジョンマスター)やその魔物達には苦しめられながらも、人界から雇ったDMK《ダンジョンマスターキラー》達によって被害は食い止められていたのよ。ところが、その爆撃によって数名のDMK《ダンジョンマスターキラー》が亡くなったり、消息不明になったわ。その後も定期的に襲ってくる爆撃によって、故郷は荒み、経済的にも苦しくなった故郷にDMK《ダンジョンマスターキラー》も来なくなった。西に住むDM(ダンジョンマスター)やその魔物達を故郷の軍隊で食い止めきれなくなりそうになったの」


「ちょっと待ってくれ」


「なに?」


「お前の故郷っていうのは海底にあるのか?」


「そうよ」


「いやいや、だってクロニーサは人間だったんだろ?だったら水の中ではこきゅ…「人魚よ」」


俺の質問に被せる様に返答するクロニーサ。


「は?」


「だから人魚だったの」


「というと、故郷っていうのは海底にあって」


「そう、人魚などの魚人が住む都市オーシャニアよ」


「なるほど、魚人達の都市が海底にあるのか。もう一つ質問いいか?」


驚きの事実だ。

魔物以外にも海底に住む種族がいるとなると、今後の方針を考えなければならない。


「どうぞ」


「西に住むDM(ダンジョンマスター)っていうのはサメ型の魔物を操る奴かい?」


位置的には、ナイナイムの言っていた、ここから北の海域にいるというDM(ダンジョンマスター)の事かもしれない。


「そう、サメ型の魔物を操るDM(ダンジョンマスター)ゴーバックよ。私の故郷の永遠の仇敵でもあるわ」


「ゴーバックか。強いんだろうな」


「ええ、オーシャニアもその経済力で数々のDMK《ダンジョンマスターキラー》を送り込んできたけど、未だに健在しているわけだし、北の海域では地上世界の船も今ではほとんど航行出来てないのが現状よ」


DMK《ダンジョンマスターキラー》を何人も退けてきたという時点で、かなり強さと、DP(ダンジョンポイント)を得てダンジョンや魔物達もどんどん強化されているだろう事が窺い知れる。



「俺はそのゴーバックの討伐の依頼をギルドで受けてこの海域まで来たんぜ」


ナイナイムが自分の事情も少し話す。

ナイナイムは自分の討伐目標だったDM(ダンジョンマスター)名前すら詳しく分からないと言っていたが、クロニーサはかなり情報が鮮明だな。


「クロニーサひとついいか?」


「ええ」


「実は、ナイナイムを眷属化したときには、コイツの記憶は眷属化によってかなり曖昧になったようだが、お前の説明は情報が非常に明確だが、眷属化によって、記憶障害のような症状は無かったのか?」


「なにそれ?記憶障害?それはナイナイムがお馬鹿なだけなんじゃないの?」


クロニーサ、俺も少しそれは過ぎった考えだけど、ストレートすぎるだろ。


「そうなのか?」


ナイナイム。そうなのか?じゃねーよ!お前馬鹿にされてるんだぞ!


「まぁ、個人差はあるのかもしれないけれど、私は記憶障害なんてものは無いわ」



眷属化の弊害、記憶障害無しなのか?

個人差なのか?

2人しか実例が無いのでなんとも言えないな。



「では、俺を討伐に来て、今は眷属化されている状態だが、俺への敵対感情は無いのか?」


「それは、眷属化の影響なのかもしれないし?私自身、姿もあなたに似たタコのような姿になっちゃったからなのか、あなたやナイナイムに対しても敵対心というより、親近感しか湧かないわ。それとダンジョンを拡大しなきゃっていう使命感のようなものがどんどん湧き上がってくるわ」


「ほぉ」


眷属化優秀!


なんか今考えるとイクイゴに悪い事したなぁ。

アイツも眷属化してあげとけば良かったかなぁ。


「話の腰を折ってすまん。で?なんでこのダンジョンに攻め込んできたんだ?その話の流れだと、ゴーバック討伐に行く事になると思うんだが?」



「ゴーバックのダンジョンの魔物は強くて俊敏で防衛が精一杯だったわ、それに爆撃が定期的に続いてて、その被害を食い止めなければオーシャニアは疲弊し続け、西の防衛線も維持出来なくなる事は明白だったので、オーシャニアから調査隊として私を隊長にして爆撃の原因調査に来たのよ」


「ん?爆撃の原因調査?」


「そう、私の故郷オーシャニアを爆撃で死の都に変えようとした恐るべき魔物の発生ダンジョンの究明とその殲滅の為に、私達は海流を何キロも逆走し、このダンジョンに辿り着いて、ナイナイムをDM(ダンジョンマスター)と勘違いして追い込んだところでドッカーンだったのよ」


「いやいや…待て待て待て…ナイナイムどういうことだ?」


「え?おれ?」


「話は聞いてたろ?打ち合わせではDP(ダンジョンポイント)を溜めるためにじっくりと魔物を育てダンジョン拡大をしていこうって話してたよな?」


「あ、ああ、そ、そうだったな」


「クロニーサの話だと、オーシャニア爆撃の原因は、お前に任せたこのダンジョンにあるようだぞ?」


「み、みたいだな」


「クロニーサ、爆撃っていうのは、このダンジョンの魔物によって行われていたのか?」


「そうよ、さっきナイナイムが穴の奥から呼び出したキングクライムボムが定期的に海流に乗ってオーシャニアを爆撃したのよ」


「ほー、なるほど」


「い、いや、待ってくれ、最初はたまたま繁殖したキングクライムボムが出口から出ちまってよ、海流に乗ってスーッて流れてっちまったんだ」


「ふむふむ」


「そしたらよ、しばらくしたら思った以上にDP(ダンジョンポイント)が流れ込んできてよ」


「そういえば、定期的に大きなDP(ダンジョンポイント)が俺のほうにも流れ込んできてたな。俺はてっきり魔物の繁殖と間引きの過程で大きなDP(ダンジョンポイント)が流れ込んできてると思ってたが、違ったようだな」


「繁殖はさせてたよ、ただよキングクライムボムってあんなにデッカイなりしててもあまり動かないだろ?見てても飽きちゃうし、DP(ダンジョンポイント)がガーって沢山流れ込んでくる時ってちょっと気持ちいいじゃん。定期的にキングクライムボムをダンジョン外に設置するだけでDP(ダンジョンポイント)流れ込んでくるし気持ちいいし最高だなって思ってたんだわ」


「お陰で私の故郷はメチャメチャになったけどね」


クロニーサが笑顔でナイナイムにそう言い放った。


「たくさんDP(ダンジョンポイント)ありがとうな」


満面の笑顔で答えるナイナイム。


「お礼を言われても困るわ」


本当に困った様子のクロニーサ。


同じ眷属だからなのか?そうなのか?


客観的に聴いてても、クロニーサがナイナイムにぶち切れない理由が分からんぞ。


「ナイナイム」


「なんだい?」


「おつかれさん」


<眷属合成>

<眷属強化>

<解除球化>


<解除球化>←

「ピコッ」


駄目だ、仕事を馬鹿に任せると碌な事が無いな。

俺の仕事が増えるだけならまだしも、致命的な失敗になりかけてる。

完全にこのダンジョンと俺がオーシャニアにマークされちまったじゃねぇか!!



<吸収>

<眷属化>

<開放>

<晒す>

<道具化>



<吸収>←

「ピコッ」


「ニーマル語を習得しました」

「ファイヤーストームを習得しました」

「マグナショットを習得しました」

「フレイムソードを習得しました」


「ナイナイムの能力を吸収し、自らの力とすることが出来ました」



使えん奴は吸収しかないな。

なかなか強そうな能力を取得できたようだ。



「ファイヤーストーム!!」


ジュボジュボボボ


「マグナショットォォォォォォ!!!」


シュボボボボボ


「フレイムソードッッッッ!!!!」


チュチァッ




なんだろう、クロニーサの視線が痛い。


うん。


なんか水中に煙の泡が出来たり、煙の線が出来たり、一瞬手元が光ったりした。


やべぇ!


やべぇよ!


ナイナイムつかえねぇよ!


お前の能力やべぇよ!


水中適正ゼロだよ!



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