25 クラゲ
最初の1ヶ月の間は、ダンジョン内にクラゲスライムとその餌を大量に召喚した。
餌の種類も出来うる限り多種多様にしてみたが、繁殖が過密状態までしたが、クラゲスライムの変化はみられない。
外部からの魚介類の取り込み、餌の一種である<魔性ワカメ>への肥料としての使用。
変化は無かった。
そして2ヶ月目からは第1層入り口を塞ぎ。
放置。
近くに新たなるダンジョンを設営し、第1層同士を細い回廊で繋ぎ扉を設けた、日々溜まるDPは新ダンジョンに投入。
以前の第1層は試験場と名付けた。
試験場に関しては定期観察を続け、新ダンジョンを拡張。
試験場では飽和状態だったクラゲスライムは3日で餌を食べ尽くし、4日以降は共食いが始まった。
数千匹まで増えたクラゲスライムは共食い分裂を繰り返した。
2週間を過ぎる頃、飢餓状態からなんとか分裂した個体からクライムボムという個体が産まれた。
クライムボムはプヨプヨフワフワと浮遊するクラゲスライムと比べるとゴツゴツとした表皮をもち一見鉱物 のようにも見える。
育ちきったクライムボムは蒼い分泌液を出し始め、それがまるで甘い匂いでもするのかクラゲスライムを引き寄せる。
外敵に一定以上の攻撃を加えられるか、餌となるものの接近を感じると表皮の外殻を脱ぎ捨て、中身の長細い無色透明なクライムボムがウナギのような状態でクネクネと逃げ出す。
約1分程で中身が抜けた外殻は爆発し、外敵を焼き殺し排除したり、餌をコンガリと調理する。
抜け出た中身のクライムボムは、蒼い特殊な分泌液を体内から出し続け、数日で再度外殻を形成する。
3週間目には、クラゲスライムは食べ尽くされて試験場には100匹程のクライムボムを残すのみとなった。
その後、4週間目を過ぎてもクライムボムは飢餓に強く共食いもせず、ほとんど動く事も無かった。
そこで俺は方針を変える事にした。
まず半数のクライムボムを新ダンジョンに回廊を使い移動し、半数を実験体として更に過酷な環境におくことにする。
試験場での実験を平行して行いつつも、まずはクライムボムの生態調査と、性能実験を行った。
新ダンジョンは、クライムボムの半数を移動するまでの間、ずっと第1層の拡大と各種餌の配置を行ってきたので膨大な種類の餌が溢れている。
新ダンジョン設立後、第1層を数日拡張したところで、たまたまダンジョン真上を船が通過した時に、船の情報が流れ込んできた。
そこで気付いたのだが、ダンジョン第1層を水平拡大していくだけで、ダンジョン上の広大な水域がダンジョン化して行ってるようだった。
もしかしたら、今までのダンジョンも上空を通過したモノの情報を得ることが出来たのかもしれないが、深く深くとダンジョンを作ってしまっていた為に、情報を得られなかったか、速度が速いものだと、情報表示が一瞬の為に見逃していた可能性も高い。
ダンジョン化を確認後は、直線で拡大していた新ダンジョンだったが、船がダンジョン上を通過する時間が僅かな為に情報の表示時間がすぐに終わってしまう。
改善策として、情報取得の時間をより長時間にする為に、円状に拡大する方針に変更した。
現在は直径2kmの水域がダンジョンとなっている。
第1層に放ったクライムボムを観察すると、餌の中でも動きの鋭い<ナマコウオ>や<極彩マンボウ>などがクライムボムに引き寄せられ爆死、その後食されているのを良く見かけた。
その様子を見て、試験場にも<ナマコウオ>や<極彩マンボウ>を大量に設置、さらに、<ナマコウオ>や<極彩マンボウ>の餌となる<魔性ワカメ>や<発光エビ>を設置。
餌による繁殖環境を整えつつも、俺の身体から出す事ができる毒素を定期的に密閉した試験場に流し込む事と、現在唯一使える魔法、<サンダーボルト>により試験場を範囲指定して電撃を数時間毎に与える事にした。
誤算として、餌である<極彩マンボウ>は、最初の毒素注入で全滅。
逆に、<ナマコウオ>と<発光エビ>は毒素と電撃により異常繁殖を始めた。
お!
船の情報が入った!
商船 クライムエージェンス
商人 バヨット
船長 エルゲス
水夫長 アルイ
航海士 ロイアック
通信魔術師 エギル
事務員 イジアム
水夫 15人
現在、領域に入ったばかりの状態の帆船のようだ。
頭上の波のキラメキが今日は細やかで、海上は波も穏やかで快晴、風も凪いでいるようだ。
ゆーらりゆらりとのんびりと航行している。
ちゃーんすです。
とりあえずの性能実験を行う事にする。
クライムボムを一匹船の針路にDPを使い転移させた。




