11 蹂躙
さてサルシュの館が粉微塵になったところで魔人レントも人心地したようだ。
「ウガッウッウッウガッウッ」
荒い息を吐きながら周囲を見渡す魔人。
探し物のようだ。
察しは付くが食っちまった。
美味かったぞ!
魔人と目が合ったのでニッコリと笑って、心の中で「ご馳走様でした」と言ってやる。
もちろん念話はOFFだ。
「ウッウガッ」
俺を疑ってるのか?
全身が血塗れになっちまってるが、黒い身体がカモフラージュしてくれてるので目立たないはずだ。
このまま工房区をぶち壊し、農業区を通ってダンジョンに帰る予定だったが、魔人には居住区を荒らし回ってもらい、闘争本能全開になってもらおう、余計な事は思い出さないよう思考する時間は与えない方が良かろう。
俺のDPは既に満タン近く回復しているが、ここは安全地帯、ダンジョンの最奥へ一度、戻り高みの見物と決め込む事としよう。
<魔人レントよ!お前を!お前の家族を貶め侮辱し亡き者にした人間達に存分に復讐せよっ!今こそ!その怒りを開放せよっ!容赦無用!全ての命を奪い尽くすのだっ!!>
おおおお!!
うおおおお!!!
すげぇぇ!!!
魔人レント容赦ネェー!
女、子供、お年寄り逃げ惑う弱者にも後方から追いつき踏み潰す。
サルシュの館の冒険者達ほどのDPは一般住民から得ることは出来ないが、数が桁違いだ。
流れ込み続けるDPは既に許容量を大きくオーバーしている。
魔人レントの蹂躙映像を鑑賞しながら飛行していたら、あっという間にダンジョンに着いた。
帰るなり、溢れるDPを使い第6階層、第7階層を構築。
第5階層にゴブリンエースとダークラミアを20体ずつ、第6階層にウォーリッチとアラクネクリスタルを10体ずつ配置。
そして、俺は第7階層にテレポートした。
また、それぞれの階層に高位の餌を配置。
主な餌は以下のとおり。
<魔導林檎>
赤黒く瘴気を発する15cmほどの実を持ち、青黒い幹は逞しい。
<人面芋虫>
体長2m体重180kgの巨大なピンクの芋虫。
人面は常に苦悶の表情を浮かべ、口からは世を絶望するような嘆きの声を常に発する。
食べられる瞬間には、満面の笑みと嬌声を発する。
血肉は人間に酷似する。
<微生魔物の沼>
腐臭漂う沼は様々な微生魔物の宝庫。
微生魔物を食べるも良し、その沼地に身を沈め身体を清めるも良し。
体力や魔力無き者が身を沈めると微生魔物の供物に成り果てる。
<ピッグバード>
体長3m、体重300kg
翼を広げると全長6mになる巨大な空飛ぶ紫の肉塊。
おが屑のような匂いの汗を大量にかいて、紫の肉体はテラテラと常に輝いている。
などなど、だ。
<赤魔イモ虫><青魔苔>など中位の餌を食いその数を増やしていく。
では、改めてそれらを餌とする我がダンジョンとその魔物達を紹介しよう。
そういう説明とかウザイだろうけど自慢させてくれ。
「第1階層」
広大なワンフロア落とし穴多数があり、第二階層を一階フロアと勘違いして侵入してくる者達を、落とし穴によりランダムに頭上から不意打ちする。
第6階層への階段はこの階にある。
・ブラックスライム
体長 10ℓ〜50ℓ
黒く猛毒を持つ粘度の高いスライム。<魔導リンゴ>を餌にするようになり体表面に電撃を帯びるようになった。
「第2階層」
外からの入口 現在も封鎖中
アミダ式ダンジョン
3階層への階段
・ガラスビー
体長 10cm
透明な蜂。ガラスで出来た身体は脆いが鋭い。
暗闇の中での視認は困難。
針は下半身全体が針になっており、刺すと千切れて絶命する。
<ピッグバード>のような巨大な餌にも群れで襲い掛かり食する。
・マイクロワーム
体長2cm 極細のワーム。
軽い体を利用し空中も飛ぶ。イモ虫系の餌に産卵し、それを食い破って仲から大量のマイクロワームが湧き出る様は壮観だ。
第3階層
蜘蛛の巣式ダンジョン
全域を<微生魔物の沼>にしたことにより侵入者の移動速度を落とす効果。
豊富な餌場の構築により、魔物の増殖率高め。
5階層への隠し階段
4階層へはダミー階段へ落とし罠
エビルフェアリー 以前紹介済み
リリスナイト 以前紹介済み
第4階層
高さのあるワンフロアのダンジョン。
出入り口は3階層への落とし罠の穴のみ。
落とし罠より落ちてきた者は即座に囲まれてタコ殴りにされる。
ギガントオーガ 以前紹介済み
現在6体生息中
オス固体に比べ メス固体は細身だが魔力多し
第5階層
餌の投入と同時に喰らい尽くす階層。
現在、魔物人口過密状態。
・ゴブリンエース
ゴブリンの上位種。イケメンゴブリンと言っていいキリリとした見た目に反して、性欲もゴブリンより多く、どんな種族とでも交配可能。
膂力も強く素早さもあり、何よりチームワークが良い。
魔銀製の鎧を着こなし、バッドアックスを振り回す様は英雄のごとし。
・ダークラミア
紫の髪に、紫の肌、たわわに実る上半身のふた房の乳房。
下半身は黒い大蛇。蛇の尻尾の先端には大きな棘が3本ありココから猛毒を注入する。
この尻尾を振り回す攻撃と、尻尾で締め付け拘束攻撃。
長い爪を持つ両手からは、暗黒魔法ダークボールを放つ。
現在、ほぼすべての個体が大量に産卵中。
・ハードゴブミア
ゴブリンエースとダークラミアの混血種。
黒いゴブリンの尻のあたりから、黒い尻尾が生えている。
尻尾の先には、もうひとつの顔があり、猛毒の牙で攻撃する。
手にもつ黒い剣は暗黒魔法の属性を持つダークエネクトという魔剣である。
第6階層
第1階層から降りてくるとこの階に着く事ができる。
・ウォーリッチ
死霊を操る事ができるネクロマンサー。
アンデットの頂点を極める為に、剣術も長けている。
死霊剣 ライフイーターは急所を斬りつけた者の魂を奪う。
・アラクネクリスタル
強固なクリスタルで出来た上半身は美しい女性。
下半身は蜘蛛で、クリスタルで出来た糸を下腹部より吐き出す。
第7階層 俺
と、こんな感じだ。
おっと、DPの流入が減ったと思って魔人レントを確認したら、なんだかピンチだぞ。
暢気にダンジョン自慢してる場合じゃなかった…
周囲を衛兵だろう人間たちが取り囲んでいる。
その後ろに魔法部隊だろう、エルフ達。
例によって円陣を組んで大規模詠唱が始まっている。
さらに後方から凄い数の矢が魔人へ向かって飛んできている。
両腕でそれらの矢をブロックして無理やり突き進もうとする魔人レントが確認できた。
せっかく作成した魔人という駒をダンジョンの自慢話してる間に、無為に死なせてしまうところだった。
<レントよ!撤収せよ!復讐も命あってのものだ!我がダンジョンで更なる力を蓄えリベンジせよ!>
呼びかけに答え、後ずさりし始める魔人レント。
敵の数は目算で1000人弱。
さぁて、たった一人で逃げ切れるもんだろうか?
援軍?どうしよう?




