第66話 機械星の状況
機械怪人ギカメカスの星・メタックムーン。
機械宮殿以外何もない金属大地の地下内部には巨大な空間が広がっていた。
たとえば工場のような所で戦闘員のギガソルジャーが大量生産されていた。
さらに都会のようなたくさんの高層ビルが立ち並ぶ空間もあって、ギガキャープが人間の姿で本当の人間のように生活していた。そして人工的な木や草が生えた公園みたいな広間には優雅に、近未来的なオルガン型の楽器で演奏するピンク髪の美女。周りには音楽を聴く観客も多数。しばらくして演奏が終わると、周りの観客からいっせいに拍手喝采。
「みなさん。楽しんで頂きましたか?」
「ああ!最高だったよ♪」
「本当に素晴らしかった!」
「さすがコノハナ様は機帝一の美女で音楽家ですよ!」
このピンク髪の美女は機帝12王の1人、コノハナ・シェンティ。楽器の演奏が得意でよく広場で演奏したりしている。
「あらあら、そんなに褒められると嬉しいわねぇ」
少し照れてしまうコノハナであった。
するとどこからか先程の優雅とは裏腹の、明るい感じの音楽が流れてきた。
「なんだ?この音楽」
「これってもしかして…」
「ちょっと待ったーーー!!」
さらにマイク越しでコノハナに呼びかけてきたので、その声の方向を見てみた。そこにはいつのまにか手作りステージが出来てた。しかもステージの上には水色サイドテールの美少女が立っていて、周りには同じ鉢巻と法被の親衛隊がたくさんいた。
「ここはこのギガメカスのアイドル、ウズメちゃんが貰った!!」
コノハナに指差しながら宣言するのは、同じく機帝12王のウズメ・カタラス。自分をギガメカス一のアイドルと名乗り、なぜかコノハナをライバル視している。なのでいつもコノハナの演奏会の時に乱入する。
「アナタ…また、いい加減にしてくれませんか?私に引っ掛かったり演奏会の邪魔をしたり…」
「うるさい!はっきり言っておくわ…ギガメカス一のアイドルは誰なのかを!」
「いや…別に私はそんなの興味ないわよ?」
「アンタになくても、私にはあるのよ!!」
呆れるコノハナに言い返すウズメ。すると2人に頭の中にこんな声が入ってきた。
「コノハナ、ウズメ…機神様からの呼び出しだ!」
「はっ!機神様が!?」
「これは大変。アンタよりも早く行かなきゃね!」
ウズメは天井に目を向けると、そこから光の輪が彼女を包んでそのままデータになって転送された。
「じゃあ、みんな。また後で」
観客に言いながらコノハナも光の輪でデータ化し転送された。
そして2人が転送されたのは、機械宮殿・デルダリアの内部の礼拝堂。タケミカとクラミツとツクヨとククノを含んだ、12王もすでに集まっていた。
「はい、2人共ご到着♪」
「ところでカグツ。少しは空気読めないの?」
「悪いな2人共、せっかくの演奏会とライブを邪魔したみたいだったな?」
赤髪の青年のカグツ・ケルサーは申し訳なさそうにする。じつは先ほどの声は彼からだ。
「何を言っている。我らの神の呼び出しが優先するべきだ!」
「本当にフツヌは固いね」
しかしそんなカグツに言うのが、顔に傷の付いた男のフツヌ・ハグマドン。
「でも、なるべく早く済ましてほしいな?」
「ツラマド。貴様何を?!」
「だって、私はギガメカスの為に色んな研究をしているのよ?いくら機神様からの集結でも空気を読んでほしいんだから」
文句を言うメガネの少女はツラマド・ヌゴーフル。ギガメカス一の天才科学者と呼ばれている。
「あらあら?随分とご不満ね」
「神よりも…自らの研究か?」
「まっ、俺はコイツらに期待はしてないけどな」
そこに長髪の妖艶美女とウェーブヘアーの女と銀髪の男がやって来た。
「おっとこれは、アマテラさんにスサノさんとウカノミさん」
「ほら、一応彼らに謝罪したほうがいいぞ?」
「分かったわよ…すみませんでした」
カグツに言われて3人に謝罪するツラマド。
この3人は機神の側近である。妖艶美女はアマテラ・ミキマ、ウェーブヘアーの女はスサノ・フロン、そして銀髪の男はウカノミ・ガルバンダー。
「ほら、機神様からのお話よ。全員整列よ」
アマテラが全員を縦二列に並ばせると、そこに丁度よく無精ヒゲの青年。ギガメカスの神・機神が現れた。
「みんな。よく集まってくれた」
「「「「「我ら12王。機神様の為ならばどんなことでも致します!」」」」」
「しかし、また彼は来ていない…仕方ないか」
すると機神は指を鳴らすと玉座を出現させて座り始めた。
「さて、お前らも知っていると思うが…我が同胞が地球の異物人共にやられたようだ」
さらに指を鳴らすと12人の真上にサイメカス&ドリルメカスを倒した野田。キノコメカス&スプレーメカスを倒したナダレの映像を流した。
「そうだ。俺やククノの配下を2人も殺されちまった!」
「本当に腹立つな!」
自分達の手下が倒されたことに苛立ちを見せる2人に対して、こんな言葉が出てきた。
「でもさぁ、コイツのこのアーマー。ちょっと興味あるかな?」
ツラマドはどうやらツクヨと同じように、心の鎧甲を見て興味を持ち始めた。
「お前、何を言って…」
「だって、これを奪って研究すればきっと私達にとっていい戦力になるものでしょ?」
「そうだよね!このアーマーカッコいいしね!」
「たしかに……俺もいささか気になっていたところだ」
「フツヌまで……」
ツラマドやツクヨだけでなくフツヌも興味を示した。
「そうね。これを手に入れるという事は、きっと我がギガメカスが地球を取り戻す近道になるかもしれないかもね」
さらにアマテラまでも心の鎧甲を利用すればと考え始めたが
「いや、破壊しろ」
「「「「「えっ!」」」」」
しかし、椅子から立ち上がった機神はこの提案を却下した。
「あれは我がギガメカスに災いが降りかかる。故に破壊するのだ…」
「で…でも……」
「分かったな!」
「「「「「はっ!御意のままに!」」」」」
その気迫に12人は一斉に声を上げた。それから椅子を消してアマテラにこんなことを言いつけた。
「それから、また新たな同胞を生み出す準備をしておけ。もうすぐ何体かギガソルジャーに心が生まれているだろうからな」
「さすがですね。すでに用意していますので!」
「それは良かった。良いか!とにかく私の命令は絶対だ。アーマーを絶対に壊すのだ!」
「「「「「了解です!」」」」」
言い残すと機神は礼拝堂から出て行った。
「あ~~~あ、勿体ないな。こんな素晴らしい研究材料を破壊だなんて」
「しょうがないよ。機神様の命令だから」
心の鎧甲の研究が出来ないと不満を漏らすツラマド。そんな彼女をツクヨは慰めながら2人は元いた場所に転送された。
「じゃあ私も、みんなの所に行かなきゃ」
「ちょっと待ちなさいよ!あそこの使用権は私んだから!」
「さてと、俺も帰ろっと」
「では、お先に」
2人に続いて他の12王もそれぞれ解散していった。
こうして残ったのは、アマテラとスサノとウカノミの3人。
「それじゃあ、私達も行きましょうか」
「うん」
「新しい民を作りに」
そのまま3人もデータ化しある場所に転送された。3人が到着したのは大量の人が入れる位のカプセルが収納されている部屋だった。しかもカプセルに入っているのはギガソルジャーだった。
量産されたギガソルジャーは普段カプセルの中で、戦闘データなどをインプットされながらも待機していた。そして上位のギガキャープからの呼び出しが来たら、カプセルが開いて向かうようにとプログラムもされている。
アマテラ達3人は、パネルを操作して3つのカプセルを動かして、自分達の目の前に並べた。
「さてと、では心が芽生えた3人にご対面♪」
さっそくカプセルを開いて3体のギガソルジャーを出した。
「ワ…ワタ…シハ……」
「キ……キシ…ンサマ…」
「ワレ…ラハ…カミノ……タメニ…」
3体はガタゴトだけど言葉を発した。
ギガソルジャーには意思が存在しない。普通のロボットのようにプログラムに従ってギガキャープの命令に聞いている。しかし、しばらく経つと心が生まれて言葉を言うようになる。
「うんうん。じゃあアンタ達に新しい体にしてあげるから、ついて来なさい」
アマテラ達に連れられて到着したのは、10床程の手術台のようなベッドが並べられた所。この部屋はギガソルジャーからギガキャープに作り替える部屋。
「それじゃあ、あそこで横になってなさい」
3体は指示に従ってそれぞれのベッドに向かうと、そこからケーブルを出すと腕と足と首筋に繋げて横になった。
それからアマテラ達は別の部屋にて、モニターから3体の姿を確認した。
「では、さっそく始めましょうか♪」
アマテラは機械を操作し始める。まずは動物や植物などの生物系から、道具に武器に乗り物といった器物のデータを出して、3体から相性の良いデータを探す。
「良し、まずこれとこれと…これだ!」
決めたデータは牛とハンマーと蜂になった。
「では、新しい民の誕生!」
そしてスイッチを押すと、そのデータが3体のギガソルジャーにそれぞれインストールされた。するとギガソルジャー3体のボディが徐々に変化していって、経った1分でさっきまでとは違った姿になった。
インストールが終わってアマテラ達は、再びギガキャープの製造場に入った。
「さぁ、新たなるギガキャーブ。目覚めなさい」
アマテラの呼びかけに3体はベットから降りて彼女達の前に立った。それぞれが牛の特性を持ったウシメカス、ハンマーの特性を持ったハンマーメカス、蜂の特性を持ったハチメカスとして。
「機帝様方、なんとも嬉しい限りです!」
「我々にこんな素晴らしい姿を与えてくださって!」
「感謝いたします!」
先程のガタゴトとは裏腹に3体はスラスラと喋れるようになっていた。
「おい。いきなりだがさっそくお前らには、これからどの機帝に仕えるのか決めに行く。ついて来い」
「「「はっ!」」」
3体はウカノに連れられてどの機帝の配下になるのか決めに向かった。
「アマテラ…私、機神様の所に戻る」
するとスサノもこう言い残して出て行った。
そして1人残ったアマテラは自分のお気に入りの場所に移動した。そこはメタックムーンの表面で、金属の大地にデルダリアだけだが、上空は無数の星が輝いていて目の前の青い地球も堂々としていた。アマテラは地球を見つめながら、ギガキャープの姿に戻った。
「待っていてくださいね。絶対に地球を取り戻して見せますから!!」
地球のモンスターゾーンの、ナイトメアの森にひっそりと存在しているレイガの屋敷。そこで野田はギガメカスとの戦いなどをレイガに話していた。
「なるほどね…機械の怪人ね……」
「そうなんだよ。それで俺ももっと強くならない気がして…」
「ふ~~~ん、なんだか本当に漫画に有りそうな展開ね?」
のん気に漫画を読むレイガの態度に一緒に来たソロリックが口を開く。
「あのっ!野田さんは真剣にアナタに聞いて欲しくて来たんですよ。もうちょっとちゃんと聞いて!」
「分かってる、分かってるって。まぁ、私がなんとかアンタをレベルアップさせて見せるから」
するとレイガは財布からお金と、アニメショップのポイントカードを取り出して野田に渡した。
「ん?おい、これは?」
「いやだから、修行を見てあげるから今日発売の「まじかるウェンディ」の特典付き単行本買ってきてね♪」
「買ってきてって…」
「もちろん、御釣りは返してね?分かった♪」
とてもいい笑顔のレイガのお願いに、野田は苛立ちを見せながらも引き受けることにした。
「なんか…騙されているような……」
「まぁまぁ、修行してくれるって言ってるから」
全然納得いかない野田をソロリックが宥めながらも御使いに向かった。
ギガメカスの本拠地、メタックムーンの内部やギガキャープの製造内容はどうでしたか?次回はどうなるのかお楽しみに。




