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心の鎧甲  作者: 鴉山大樹
第05章 少しの日常・宇宙からの敵
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第58話 危険な殺人妖怪ギンドス

「んで、本当にそんな凶悪殺人犯が俺達の仲間なのかよ?」

「まぁな。人格はともかく、その実力に見込んで暗闇エージェントにした。こうして緊急招集の時に呼び出す」

「でも…アイツを呼び出すのって、一年半ぶりですね」


野田達暗闇メンバーは転送召喚の間にいた。

この部屋は転送と召喚の妖術を使う為に作られて、獣王パークの時もここで転送されたのだ。

そして今、もう1人のメンバーで殺人鬼のギンドスが召喚されようとしていた。


「でも、終身刑な死刑囚って?」

「それはあまりに残忍な殺人行為で、死刑だけじゃ軽すぎるから、無限牢獄での終身刑も加えられた。だが、死刑囚は変わりないが」

「だけど、10人じゃなくて1000人以上殺しまくったって…本当にそんな奴を?」

「心配要らない。こっちには手綱があるからな。しかし…よりによってそんな時にソロリックが来るなんて」


ミヤトは改めてソロリック達が来てしまった事に後悔していた。

ちなみにソロリックら3人は、別の部屋で隠れていた。


「ほら来るぞ。全員気を引き締めろ!」


ついに部屋に設置してあった四つの水晶が光り始めて、さらに目の前にあの黒い穴が出てくると、全員は息を呑み始める。

そして穴から出てきたのは、全身10本の鎖付き杭を打ちつけられて、両手にも封印グローブを付けられたギンドス本人。さらに彼を見張りながら鎖を持つ看守ロボ達。


[こいつが…ギンドス!]

[なんで殺気だよ…!]

[なんか、今にも殺されそうな感じた!]


野田はここまで強い殺気を漂う妖怪に会うのは初めてなので、思わずビビッてしまう。


「久々だな?でも、なんか知らねぇ顔がゴチャゴチャしてるしよ…」


不気味な笑みを見せるので、さらに引いたりする。


「よくこんなのをエージェントに出来たな?」

「別に、俺って牢獄暮らしに慣れたけど……やっぱシャバが良いわ♪」

「なんか、聞こえてたみたい」

「それよりも、早くこれを取ってくれよ」


ギンドスは看守ロボに全身の杭とグローブを外すように頼む。


「悪いがそれは出来ん!」

「硬い事いうなよ?ここに来たからには、俺もちゃんと真面目にやるし」

「うう……しかし」

「心配いらん。こっちには手綱があるし、何があったら私が責任を取る」

「そうですか……」


看守ロボは納得しないまま、ギンドスの杭を抜いたりした。

一本ずつ一本ずつと杭を抜かれていき、そして杭全部抜かれた後には、最後の封印グローブを外した途端。


「なっ!?」

「あれっ?!」

「いない!」


ギンドスが突然、姿を消してしまった。

その頃、ソロリック達は使われていない部屋で未だに隠れていた。


「なんで、殺人鬼を仲間にしたんだろう?」

「ほんとほんと。危ないよ?」

「ほら、静かにして!聞こえるでしょ?」

「「アンタもね」」


3人が会話をしているその時。


「もう見つけたりして…」

「「「え?!」」」


いつのまにかギンドスが3人の後ろにいた。


「ハグレか?だが、結構いい髪してるなぁ。俺さぁ、女の髪を集めるの好きなんだよね♪」


さらにソロリックの灰色の髪を掴みながら、右腕を鋏に変えて撫でたりした。当然3人はあまりの出来事に動く事が出来ずにいて、とくにソロリックが殺気を出し続けているギンドスの近くにいる。しかも鋭く冷たい刃とかした右腕が髪と首元に当たったりして、その恐怖で少し涙を流していた。


「その顔いいぜ…恐怖に怯えた顔♪」

「はぁ…はぁ…助け……」


さらに舌で頬と目元を舐めたりするので、ソロリックはもっと涙を流しながら助けを求めた。


「そこまでだ!」


だがその瞬間、ミヤトが大きく音を立てながら扉を開き。右手に天叢雲剣を構えながらも、左手には4つのボタンとトリガーが付いた装置を持ちながら現れた。


「ソロリック!それから秋達も!?」

「の……野田さん!」

「おわっ!?」


ソロリックは思わず野田に抱きついた。

ちなみに秋とホロも恐怖のあまり、立って目を開けたまま気絶していた。


「貴様…杭とグローブを取った途端これか?」

「おいおい、俺は侵入者を抹殺しようとしただけで」

「黙れ!分かってるのか?貴様は終身刑だけでなく死刑囚の身だと。これを使えば、お前の首輪型死刑装置が作動して、いつでも殺せるんだ!毒死でも感電死でも爆死でも絞死でもな」


ミヤトはその作動装置をかざした。先程のミヤトの話であったがギンドスは死刑囚なので、常に首には死刑装置が付けられていた。故にいつでも死刑が可能で、作動装置のスイッチを押したり無理に外そうとすると起動する仕組みになっている。

そしてギンドスは殺意のこもった眼差しで睨むと負けずにミヤトも睨み返す。

そんな2人の間に、とてつもない殺気がどす黒いオーラと一緒に、部屋に充満し続けていた。


「……ふっ」

「ん?」

「分かったよ。一応死刑って事になってるけど、俺もまだ生きたいからな」

「たく……貴様は」


少し鼻で笑うと思いきや、降参するかのように両手を上げる。

それから駆けつけた看守ロボがギンドスを連れて行き、及川とタケラに失神した秋とホロを医務室に運ばせて、ミヤトはソロリックに頭を下げて謝罪する。


「本当にすまない。私が居ておきながら」

「だ、大丈夫ですから。もう平気です」

「でも、アイツ本当にヤバイなぁ。拘束解いた途端、素早く部屋を出てソロリックを見つけるなんて……」

「言ったろ…アイツは超危険だって」

「本当だぜ」


野田は改めてギンドスが色んな意味で危険で厄介だと確信した。

それから作戦室では任務について説明をするのだった。

ただし、ギンドスはまた逃げ出さないように、さっきの杭のような封印式が組み込まれた鎖で、椅子に拘束されていた。


「では今回の任務では、盗賊退治だ」

「「「「「盗賊退治?」」」」」

「それも怪人」

「「「怪人!?」」」


怪人という単語が出た途端に全員は驚いたが、ギンドスだけは“これを待っていた”いたかのような笑みをみせる。

それからミヤトがスクリーンに、廃墟になった町の映像を映した。


「この廃墟が怪人盗賊団のアジトになっている」

「ちなみに、人数は50人ほどらしい」

「んで、作戦は?」

「まずは2つの班に分かれる。1つ目の班は情報収集と連絡して貰って、そして2つ目の班で盗賊を討伐!」

「随分と簡単だな?」


ギンドスは先程とは取って代わって冷静に皮肉を言う。


「いや、こういう連中は簡単なほど効果がある」

「へいへい。じゃあ、メンバーは?俺は戦闘に入れろよな?」


挑発するギンドスと、それを受け流すミヤトに、周りの空気がかなり重くなっていた。


「あの2人って…」

「明らかに犬猿の仲って奴だね?」


野田は思わず2人が犬猿の仲だって事を、倉山に聞いてみたりした。


「とりあえず奇襲戦闘班は、私とタケラキと及川と……ギンドスで。情報連絡班は……」

「情報連絡班は?」


ミヤトはなぜか言葉を積らせる。

そしてしばらく野田の顔を見て口を開いて、発言した言葉は。


「野田と倉山と小山とレーグラスだ!」

「「「「え、えぇぇぇぇえええぇぇぇぇ!!?」」」」


当然、野田も含めた4人は声を上げてた。

そして一番に質問して来たのがレーグラス。


「ちょっと!私や倉山が分かりますが、なぜ前回と同じようにこの2人も!?」

「だからだ。少しでも危険な任務に出してやって、経験を上げなければな」

「しかし!いくらなんでも危険すぎます!」

「だからお前も一緒に行くんだ!私はお前に期待しているからな!」

「ですが…」


それでもレーグラスは、野田達を連れて行くのは危険だと感じていた。

しかしミヤトは優しくレーグラスの頭に手を乗せた。


「まっ、私も当時新入りだったスミレにも、危険な事はさせないようにしてたけど。今はナダレだけど崩丸はお前なら出来るって言われたんだ」

「あはははははは」


そんな事を言われてちょっとスミレが、恥ずかしそうに笑ったりする。


「だからレーグラス、お前にも出来る」

「ミヤト…さん」


レーグラスはいつになく優しい目をするミヤトの、説得にリーダー代理としての自信が沸き始めた。


「ほら、茶番はそれくらいに、さっさと行こうぜ!」


しかしギンドスがそんな雰囲気をぶち壊した。

当然、ミヤトとレーグラスはもちろん、野田達は空気読めよな感じで睨んだりする。


「貴様は…今いい所だったのに」

「分かった分かった。空気壊してすみませんでした!」

「全く。じゃあ支度するぞ!お前もさっさとこれに着ておけ!」


ミヤトが指を鳴らすと、ギンドスを縛っていた鎖が解けると、ロッカーから彼にヘルメットとプロペクターを渡した。

なんでも一応ギンドスは囚人なので、出動の時はヘルメットでなんとか誤魔化すのであった。

それぞれが支度していると、野田はソロリックとホルと秋とホロがいる医務室に行く。


「ソロリック、ホル?」

「野田さん!」

「それで秋とホロは?」

「まだ目覚めてないよ。余程怖かったんだろうね」


ソロリックは優しく寝てる秋の頭を撫でたりする。


「じゃあ、俺もう行くから。後は頼んだぞ」

「OK!まかせて置いて」


さっそく野田が出かけようとしたその時、ソロリックがいきなり腕を掴んできた。


「ん?なに?」

「ねぇ、私も一緒に行ってもいいかな?」

「えぇっ!?」

「なにっ!?」


そんなソロリックの思い立った行動に、当然野田とホルは反対する。


「お前、何言ってんの!?これから向かうのは怪人で、しかも囚人も一緒なんだぞ!」

「それに、君は関係者じゃないし、行っても足手まといになるだけだし!」

「大丈夫!見てて」


ソロリックがペンダントをかざすと、そこから光が飛び出した。しかもその光がソロリックに当たって、そのまま光に包まれた。


「なんだっ!?」


そして光が晴れると、全身アーマーに包まれたソロリックの姿。


「その姿って?」

「もちろん!あれから色々と練習や調べたりして、ここまで使いこなす事が出来たの!」


ソロリックはアーマーに包まれた自分の姿を2人に見せた。


「お願い!誰にも見られないようにするから!それに、野田さんと一緒にいれば、いつでも心の鎧甲を出す事は出来るでしょ?」

「たけどな……」

「う~~~だったら僕が野田くん達と一緒に行くよ」

「ホルも!?」


なんとホルも着いて行くと言い出した。


「僕はそれに暗闇補佐官だから、ちゃんと監察とかしなくちゃだし。それに僕が付いて行けば、もしかしたら誤魔化せるかもしれないからね」

「そうかな…?」

「だからお願い!」


そんな2人の視線に野田は負けてしまった。


「しょうがないな。でもソロリック、ミヤトとレーグラスには気付かれないようにしないとな」

「はい!」


こうしてソロリックはこっそりと同行する事になった。

ついでにホルも、この後ミヤトに許可を得て見事B班と同行する事が出来た。

殺人鬼ギンドスは髪フェチのところがありますし、ソロリック危機一髪でしたね。

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