番外編5 聖夜のツンデレサンタ
クリスマス。
世界でもっとも楽しみとされるイベントで、モンスターゾーンでも盛り上がっていた。
そしてここ、レイガの屋敷でも。
「お~~~い、秋それとって」
「はーーーい!」
「良し!完成」
「兄ちゃん、本当に早いねぇ」
野田と秋が屋敷の飾れ付けをしたり、ホルとホロは氷像を作ったりとしていて、クリスマスパーティーの準備をしていた。
「4人ともがんばってるね♪」
「ソロリック、料理は?」
「もちろん、ディグットさんと美味しいご馳走を作ってるよ♪」
ソロリックもディグットと一緒にクリスマスの料理やケーキを作っていた。
「おーーーい!」
「倉山!どうだ?」
「もちろん、見ろよ♪」
中庭を見てみると、倉山とダイゴとヘグラーパーとブロドンとパラメが、見事にクリスマスツリーの飾りつけを完成させていた。
「うわぁ、凄いね!」
「綺麗ね♪」
ソロリックと秋はクリスマスツリーを見とれていた。
「もうすぐレイガが、ローソクと飲み物を買って戻ってくると思うけど」
「ちょっと遅いね」
その時、いきなり玄関の呼び鈴がなりだすので、すぐさま野田達は行って見る。玄関に来て見るとレイガが扉から少しだけ顔を出してた。
「レイガ?どうしたんだ呼び鈴鳴らして?」
「じつは、ちょっと変なの拾ったんだけど…」
「変なの?」
「こんなの」
全員に外に出てみると、かなり立派な作りのソリにミニスカサンタコスをした人間の少女。だけどボロボロでかなり衰弱した顔で、大きな白い袋と一緒に乗せられていた。
「これって、サンタ?」
「のコスプレした少女だね?」
とりあえず少女を屋敷に入れてお茶を出した。
「ほら、とりあえず…食べなよ」
「じゃあ、いただきます!!」
少女はお茶を一気飲みして、ソロリックお手製のサンドイッチをおかわりしながら食べ続けた。
「レイガ、彼女なに?」
「それが私が森の前に着いた時に、森の中にうねり声が聞こえたから行って見ると、この子が行き倒れてたの。それで落着いた?」
「ええ、なんとか」
食後のジュースも飲む少女に、野田が1番最初に尋ねてみた。
「んで、アンタは?サンタのコスプレしてるけど?」
「私はサディー・クララテス。そしてコスプレじゃなくて、正真正銘の8600代目サンタクロース!!」
「え?」
「アナタ、サンタなのですか?」
その発言に全員は信じられなかった。
サンタクロースは白ヒゲの老人のイメージであるが、サディーという名の少女は10代後半ぐらいだった。
「仕方ないでしょ。私達は代々年代重ねてサンタとして、世界中にプレゼントを運んだりしてるの」
「そうなんだ…」
ちなみにサディーの母親も8599代目サンタで、祖父はイメージ通の姿で8598代目サンタをやっていた。
「サディーさん。なんでナイトメアの森で行き倒れになっていたのですか?」
「そ…それは……」
ソロリックからの質問にサディーは言葉を積らせた。
「もしかして、話したくないの?」
「そうじゃないけど…あんまり驚いたり呆れたりしなければね」
サディーは全員の顔を見ながらも話すのを抵抗していた。
「まぁ、話したくてもないけど、困っているなら話してみなよ?」
「じゃあ話すけど…じつは」
周り心配されながらも、サディーはなぜ行き倒れになっていたのか、その理由を話した。
「「「「「トナカイがいなくなった!?」」」」」
全員が大きく声を上げてしまった。
それはサンタクロースのパートナーである、トナカイが財布と一緒に行方不明になっていたという事だった。
「だから、驚かないでよ!!恥ずかしいじゃないのよ…」
サディーは顔を真っ赤にしながら、サンタ帽を深く被って顔を隠した。
「でも、トナカイがいなくなったからって、まさか森に探しに行くなんて、命知らずだな?」
「だって…プレゼントを配る移動手段のトナカイがいなくなったのよ!これじゃあ、仕事にならないじゃない!!」
頭をかかえながらサディーは周りの目を気にせずに半分発狂し始める。
「だったら別なもので移動すれば?なんなら私のパラメを貸してあげるけど?」
「ええ、私ならアナタを背負っても、世界中行けますし。ご主人様の頼みだったらそれぐらいは…」
「なに言ってるんの!」
サディーはレイガの提案に異議を唱える。
「サンタは代々トナカイでプレゼントを配るもの!トナカイ以外の方法を使ったら、まさしくサンタ失格って事になるのよ!!」
「そんなものなのか?」
「そんなもんよ!!」
そして紅茶をまた一気飲みして、頭をかかえてしまう。
「どうすれば良いの!世界中の子供達にプレゼントを渡さなきゃならないのに!!」
悶え苦しむサディーに、野田達は見てられなくてしまい。
「分かった分かった!俺達も探してやるから、そんな発狂しないでくれよ」
「え?アンタ達が?」
苦しむのを止めて野田達を見つめる。
「そうですよ。みんなで探せばなんとかなりますから」
「本当に……?」
そしてサディーは考えた。
本当に野田達と一緒に探せばトナカイが見つかるかと。
しかし、悩んでたり考えている暇はなく。
「全く…感謝しなさいよね!サンタは人の目には触れちゃいけないんだから!」
少し顔を赤くしながらも頼み込むのであった。
その態度や行動はまさにツンデレ。
「この子、ツンデレだな」
「ああ、サンタガールでツンデレ!」
「なんか言った?」
「「別に」」
彼らは2匹のトナカイを探しに行った。
まずは、サディーがトナカイが消えたという場所に来て見た。
「ここでいなくなったのか?」
「うん、少し昼寝をしていたらいつのまにか…財布も」
「それで、ソリと一緒にナイトメアの森に入って探してたと」
するとなにやらソロリックが最初に何か見つけた。
「あの、サディーさん」
「ん?」
「そのトナカイって、まさかあれ?」
指を刺した先には、ポリポリとニンジンを食べる4匹のトナカイが。
「あれだぁぁぁぁぁぁ!!?」
「「「あれっ!?」」」
すんなり見つかって野田達は呆然となった。
すぐにサディーは4匹に駆け寄った。
「アンタ達、今までどこにいたの!しかもそのニンジンって、私の財布から買ったの!?」
怒鳴ったけどトナカイ達は無視する。
「ちょっと、私の話聞いてる!!」
するとトナカイの一匹が前に出ると、サディーに何かを訴えた。
「はぁ?それ本気!?」
首を縦に振って返事をしたままトナカイは仲間の所に戻り、野田は固まったサディーに声をかけた。
「なぁ、トナカイはなんて?」
「ストライキするって」
「「「「「ストライキ!!?」」」」」
なんとトナカイ達はストライキをしたのであった。
「なんでストライキなんか?」
「私のトナカイ使いが荒いからって…全く失礼しちゃう!」
と苛立ちを見せるサディーであったが、一体彼女の何がトナカイ達に不満を持たせたのか。
「んで、お前はトナカイ達に何をしたの?」
「なによ。ただ、私の代わりに部屋の掃除をして貰ったり、ジュースとかを買ってこさせたり、買い物で荷物運びをしてもらったり、それからプレゼントリストも代わりに作らせたりと」
「それじゃないか!!?」
明らかにサディーが原因であった。
こんだけこき使ったら、トナカイ達は怒ってストライキする筈だ。
「お前、それじゃあ不満が爆発するのも当然じゃないか!?」
「うるさいわね!第一サンタはクリスマスは人手がほしい程忙しいに決まってるから、手伝って貰うのも当然でしょ!」
「とにかく謝ってきなよ!俺も一緒にやるからさ!」
そして野田はサディーとトナカイ達を仲直りさせる為の仲裁人になった。
「ほら、まず1番悪いのはサディーだろ?早く謝りなよ」
「うん……」
野田がさっそくサディーをトナカイ達の前に出させた。
「悪かったわね。散々こき使ったりして……」
少し恥ずかしそうに顔を赤くする。
「ちゃんと頭も下げなよ」
「分かってる!本当にごめんなさい!!」
そして深く頭を下げるサディーに、トナカイ達は目を合わせると、少し微笑みながらも一匹が近づき。
そして優しくサディーの顔を舐める。
「もしかして許してくれるの?」
「当たり前だろ?そもそも、君に反省させるつもりだったからね」
トナカイのリーダーが口を開いて喋った。
「あ!このトナカイって喋るんだ?」
「当然よ。私らサンタの所有するトナカイだからね」
「と言っても、喋れるのはリーダーのオイラだけなんだけど」
「でも、食べたニンジン代はちゃんと払ってよね!」
「はいはい、分かってるって」
なんとかサディーとトナカイ4匹は仲直りを成功させた。
「ほんと、別にアンタ達に頼らなくても私1人でやれたんだから!」
「分かったから、早くプレゼントを配りに行けよ」
「言われなくても分かってるわよ!」
さっそくソリに乗るサディーであったが、そのまま袋に手を付ける。
「ほら、これはお礼!」
すると袋から綺麗にラッピングされた、クリスマスプレゼントを野田達に渡した。
「これって?」
「だから、お礼よお礼!」
サディーは12人にプレゼントをあげると、そのままトナカイにソリを引かせながら空を飛んだ。
「ついでに、もう1つプレゼント!!」
するとサディーが大きく指を鳴らすと雪が降ってきた。
「じゃあ、メリークリスマス♪」
野田達に笑顔で手を振りながらサディーは飛んで行った。
「ツンデレサンタか…」
「見惚れてないで、クリスマスパーティーしよう!」
「そうだな。プレゼントも貰ったし♪」
ソロリックに手を引っ張られながら、レイガの屋敷に帰って、そのまま野田達は楽しくクリスマスパーティーを始めた。




