番外編4 ハロウィンでデート
ハロウィン。
それは、妖怪にとっては忙しい日であると同時に、妖怪達が楽しみにしている最大の祭でもある行事。
この日が近づいてくると、モンスターゾーンに色んな国からの観光客がよく来るのだ。
だけど、彼らにとっては、楽しんでいる場合でもなかった。
「という訳で、今回我々はこれに乗じて、スパイやテロリストが潜入するかもしれないので、各自!明日は入国口やイベントなどの警護に回るように!!」
暗闇の基地では、ミヤトが野田達にモンスターゾーンの警護を指示する。
実際、この期間が暗闇の本領を発揮する日に入る。
「あの…ちょっといいか?」
「なんだ?」
「これってもしかして…環境保護会と一緒に?」
「当然であろう?」
質問に答えるミヤトに対して、野田は頭を抱えてため息を吐く。
なぜならば、もしかしたら姉の優とミリクと一緒に、気まずく仕事しなければならなくなるから。
彼はそれを1番心配していた。
「あ~~~あ、姉ちゃんと一緒じゃあ気まずいなぁ…」
「そう言うなよ……」
「これも俺達の仕事だから…」
倉山とダイゴが、悩む野田を励ます。
「では、明日貴様らの健闘を祈る。解散!」
「「「「はっ!」」」」
こうして集会が終わって、全員は警備・監視をする場所が書かれたプリントを貰って、基地を後にした。
それからしばらくして、野田はソロリックとタッパーを入れた袋を持って、レイガの屋敷に向かった。
「ソロリック…作り過ぎだろ?カボチャ料理」
「だって、せっかくのハロウィン前日だから…」
「全く……ソロリックもはしゃぎたい時があるんだな」
それから2人はナイトメアの森の前に到着して、腕輪の宝玉を回してゲートを出現させる。
さっそく2人はゲートを潜って、レイガの屋敷に到着して、呼び鈴を鳴らした。
「あら?いらっしゃい♪」
「こんにちわ、レイガさん。これ、ちょっと作り過ぎたカボチャ料理だけど」
「まぁ、ありがとね♪ほら、せっかくだしお茶でもね♪」
そのままレイガに誘われて、2人はお茶を頂く事になった。
屋敷の中は、すでにハロウィン一色で、カボチャで作ったパラメ似の、偽ジャックランタンがたくさん置いていた。
「町やモンストでもそうだけど、ここまで!」
「私って、何事も真剣にしちゃうから♪」
レイガが自慢するかのように大笑いすると、野田はパラメの姿が見当たらない事に気付く。
「あれ?なぁ、パラメは?」
「出張」
「「出張!!?」」
「そう、出張」
答えるレイガは、そのまま窓の外から上空を見上げた。
その頃、パラメは他のジャックランタンと一緒に、上空に集合していた。
その数は12人ほど。
「全員集まったか?」
「「「「はい!集まりました!」」」」
リーダーらしきヒゲの生えたジャックランタンが、全員に呼びかけるので、すぐに返事を返した。
「ついにわしら、ジャックランタンが活躍する日が近づいて来たぞ!」
「世界中の子供達に、お菓子を配らなきゃならないしね」
「ぼく達がいなきゃハロウィンは、始まらないし♪」
他のジャックランタンもハロウィンを楽しみにしていた。
「よーーーし!全員籠を持ったか?」
「「「「はい!持ってます!」」」」
「中身は確認したか?」
「「「「もちろん!」」」」
「良し!では、全員出動!!」
「「「「了解!!」」」」
そしてパラメを含んだ12人のジャックランタンは、それぞれ色んな国に子供達に、お菓子を配ったり驚かし行った。
[ご主人様、待っててくださいね。終わったらごちそうを作りますから]
パラメは心の中でレイガに謝罪しながらも、仲間のジャックランタンと人間国に向かう。
そしてついにハロウィン当日。
モンスターゾーンの観光名所には、たくさんの観光客がやってきた。もちろんモンストでもハロウィン限定イベントフェアで、お客さんが蔓延していた。
「いやっしゃいませ!恐ろしくても楽しんでくださいね♪」
ソロリックは黒マントにとんがり帽子のとても露出の高い魔女風のビキニ衣装で、お客さんにあいさつをしながら、手に持っている籠のアメやチョコを子供に配ったりする。
ちなみにこの衣装は石川が用意したものである。
「楽しんでいるね」
「ホルさんにホロくん!ところでその格好は?」
丈の短い白いミニスカート風の着物姿のホルとマントを羽織ったホロがやって来た。
「それが…親戚から折角のハロウィンだからといって、送ってきたんだよね?兄ちゃん」
「まぁ、こんなに丈が短かったから、さすがに恥ずかしいと思ったけど、ソロリックさんのに比べれば」
「うん…まさか私も、ここまで肌を出す衣装とは思わなくて…恥ずかしいなぁ」
2人はそれぞれの格好を見つめ合いながら、共に顔を真っ赤にしてしまう。
そして当然2人の露出が高くて色っぽい格好に、男性客の目線を浴び続けていた。
「ところで兄、秋さんがいなくなったけど…」
「えっ?!いなくなったの!?」
「てか、秋ちゃんも来ていたの!!」
秋も連れてきたみたいだが、いつのまにか行方不明になったので、ソロリックとホルは凄い顔で声を上げた。すぐに3人は秋を探しに行くのであった。
その頃、野田は倉山と一緒にモンスト周辺の林で、怪しい奴が居ないか見張っていた。
「なんか、俺達ってストーカーになってないか?」
「でも良かったじゃないか?姉貴と出会わなくて」
「それはいいけど…」
「兄さんに猛…何してるの?」
「「あっ!?」」
しかし見事なまでに、秋に見つかってしまった。
ちなみに今の秋はハロウィンなので、大昔の鬼が好んだという虎柄模様のジャンパーを着ていた。
「秋…なんでここに?」
「ホルさんとホロくんと一緒に来てたんだけど、まさか誰かをストーカーしてたの?」
「バカぁ!こういうイベントに乗じて、騒ぎを起こそうとしている怪しい奴を見張ってんだよ!」
「でも、どう見ても怪しいのは2人だよ?!」
「「うう……」」
秋に言われて反論できない野田と倉山の2人だった。
するとソロリックとホルとホロがやって来た。
「秋ちゃん!こんな所にいたのって、野田さん!?」
「ソロリック!なにその格好!?」
「あっ、いやっ!これは仕事のために着せたもので…あんまり見ないで!!」
彼女の格好をつい見とれてしまうので、ソロリックは野田に見られて恥ずかしさのあまり両腕で自分の胸などを隠してしまう。
「悪かったな…ほら、ソロリックはバイトに戻らなきゃ!」
「うん…そうだよね。じゃあ、お仕事がんばってね」
ソロリックはすぐに逃げるようにこの場から離れて、仕事に戻るのだった。
「それじゃあ私達も行くかな。兄さんと猛も、本当のストーカーにならないようにね」
「僕も妖魔将軍秘書として、暗闇のエージェントである君達が、間違った道にいかないように祈っているから」
「じゃあ、とりあえずがんばってね」
さらに秋達もそれぞれ言いたい事を言って、ソロリックの後を追いかけた。
そして林には再び野田と倉山だけ残った。
「俺達…なんか虚しくないかな?」
「言うなよ倉山…悲しくなるから」
今の自分達に疑問を持ちながらも野田と倉山の監視が続けられた。
その頃、パラメと仲間のジャックランタンが、人間国の特別広場で、おばけの格好をした子供達に囲まれていた。
「さぁ!人間の坊ちゃんも穣ちゃんも、楽しく恐ろしいハロウィンを待っていたよね♪」
「「「「「待ってた!!」」」」」
「さぁ!おばけの格好した子も、そうでない子も、私達のプレゼントを受け取ってね♪」
「「「「「はい!!」」」」」
2人の質問に子供達は大きな声で返事をする。
ちなみに子供の親達は、近くで写真撮影をしていた。
「さぁ、行くよ」
「「そーーーれ!!」」
そして2人が籠から掴み取ったのは、小さな光る種のような物で上空に投げると、そのままゆっくりと子供達の目の前に落ちてきた。すぐに掴んでみるとそれがキャンディやチョコやクッキーと、お菓子がたくさん入った袋になった。
「「わーーーい!!」」
「お菓子がたくさん!」
「ガムにマシュマロも!」
「カルメ焼きにふ菓子に、マジうま棒も入っている♪」
集まった子供達は、色んな種類のお菓子に喜んだ。
「良いかい。一度に全部食べないように!虫歯になるからね!」
「それから全員分あるから、押したり喧嘩しないようにね!」
「「「「「は~~~い!!」」」」」
それからパラメ等2人のお菓子配りは続いた。
そして野田が倉山とモンストの見張りをし続けていたが、しばらくするとミヤトから電話が来た。
「はい、ミヤトリーダーなにか?」
『ああ、じつはな…2人共、もう終わっていいぞ?』
「「え?」」
突然の終了宣言に、2人は固まってしまう。
「あの…それはどういう?」
『別に、ただ倉山はともかく、お前はまだ新入りだ!まっ、せっかくのハロウィンを楽しんでいけよな』
そのままミヤトからの連絡が終わった。
すると倉山が立ち上がり。
「という訳だな…俺、先に帰るわ」
「えっ!ちょっと俺は!?」
「お前は彼女とデートでもしときな♪」
「で、デートって?おい!ちょっと待て!」
すぐさま呼び掛けたが、倉山はそのまま行ってしまう。
野田はしばらく立ち止まったが、しばらくするとどこかに走って行った。
「お疲れ様でした!」
バイトを終えたソロリックが、モンストの裏口から出ると、野田が目をそらしながら待っていた。
「野田さん、なにを?」
「なにって…時間あるだろ?」
「ええ、だから?」
「だから、デートをしないか?」
「ふぇ……デート?」
デートという単語が出てきたので、ソロリックも先程の野田同様に固まってしまう。
「あの、なんでいきなり…」
「だって、今日は俺達妖怪にとって最大の祭だから、それにお前とのデートってまだしていないだろ?」
野田からデートの誘いを受けて、真剣に考えるソロリックであり、そして彼女の返事は当然。
「もちろん!誘いを受けます!」
「良し!さぁ行こう♪」
さっそく野田とソロリックのハロウィンデートが始まった。
喫茶店でお茶を楽しんだり、服屋や色んな服を試着するソロリックは、野田にどの服が似合ってるか見て貰い。気に入ったのを見つけると買ったりした。
さらにぬいぐるみショップでも、ソロリックがネコのぬいぐるみを気に入ったみたいなので、すぐに野田がそのぬいぐるみを買った。
「ほらっ!」
「えっ!でも、さっきこの服を買って貰ったのに…」
お茶とケーキをご馳走して貰い。さらに服を買ってくれたばっかりなのに、ぬいぐるみも買ってくれるので、これ以上贅沢に奢って貰うのはいけないと思うソロリックであった。
「気にするなよ。せっかくのハロウィンだからな♪」
「…ありがとうございます」
それからしばらくすると夜になり。
町にはハロウィンのモニュメントがライトに照らされたくさん飾っていて、妖怪に変装・仮装した人間はもちろん、魔人や獣人もたくさんいた。
「どこもかしくも、ジャックランタンだらけだ…」
「人間だけじゃなくて、色んな国からの人達も来ているね」
「せっかくだし、もっと綺麗な所から見ようぜ!」
「え?」
言った瞬間、野田はソロリックの手を引っ張りながら、どこかに連れて行く。
連れてった先は展望台のある丘の上の公園であった。
「ここ?」
「そうさ。そしてほら♪」
「うわぁ!」
ソロリックが見たものはさっきデートしていた町の夜景で、それはとても美しい光景であった。
これが野田がソロリックに見せたかったものであった。
「野田さん…今日もそうですが、今まで私のためにここまでやってくれて」
「別に良いだろ?俺が好きでやってるから」
「それでも本当に」
するとソロリックは野田の手を掴んで、そのまま顔を近づける。
「本当に感謝しています…」
「ソロリック、これからも俺が守ってやるよ」
「はい!私もアナタになら守られます」
そして野田とソロリックは、静かにキスをするのであった。
それからこの様子を目撃した奴がいた。
[ヤベェ…お菓子残ったから、2人にあげようかと思ったけど。出てくるタイミングが……!!]
そのままパラメはどうやって現れるか、考えるまま動けずにいた。
新世界でのハロウィンは、妖怪にとってクリスマスやお正月以上の大イベントで、ジャックランタンはこの日に世界中の子供達に、お菓子を配りまわるのです。
そして野田とソロリックのキスシーンはどうでしたか?
これは番外編ですが、いつか本編でもやるつもりです。




