第46話 サイボーグ勇者
けわしい山と崖が大きく目立つ国、鳥人の住むバード連邦。ここに5人の種族がバラバラの男女が居た。
「なんか、本当に山だらけの国だね」
「でも、鳥人にとってはちょうど良い場所ですよ」
野田とソロリックとホルとアンリュウとミオーズは、アザゼルの時空魔法の転送でバード連邦に着いた。
ソロリックはこの景色を見渡したりする。
そしてここでも、壊れた戦闘用ロボットの残骸が、辺りに散らばっていて、切り倒され木も多数存在していた。
「ここが、バード連邦か…ミオーズにとっては、久しぶりってところか?」
「ええ、昔は良く遊びに行ってけれど…」
ミオーズの瞳からは、寂しさを感じていた。
「お前…ここに親友をいるって言ってたけど…」
「親友というよりは……てか、今はそんな話は後にしないと!」
「そうか…ミオーズがそう言うなら」
笑って誤魔化すので、野田はもっと心配する。
「それじゃあ、まずはコイツに調査させてもらうか!」
アンリュウが指笛を吹くと、空から一羽のカラスが飛んで来た。
「なんだそれは?」
「アタシの使い魔のジャック。こうみえても、創造魔法だけじゃなくて、使い魔法だって使えるのよ♪」
アンリュウが自慢するかのように、使い魔のジャックについて説明する。
「へ~~~なんか可愛い♪」
「かぁ~~~♪」
ソロリックに撫でられて、ジャックはつい照れてしまう。
「ほら、ジャック!浮気しないでさっさと行って来なさい!」
「かーーー!!」
ジャックはそのまま大空を飛び立った。
するとミオーズはなにかの匂いを感じたのか、辺りを嗅ぎ始めた。
「どうしたの?」
「いや、ちょっと覚えのあるって言うか、知り合いの匂いが…」
「あれ?ミオーズ!?」
突然、空から飛んできたのはコンドル型の鳥人青年だった。
「ギバドン!」
「ミオーズ、なんで君はこんな所に?もし他の鳥人見られたら大変だよ!てか、こちらは?」
ギバドンというコンドルの鳥人は、ミオーズに驚きながらも、当然野田達に疑問を持つ。
「彼らは、獣王パークのお客様で…ここに来たのは」
「ところで、アンタ誰?」
「ちょっと!いきなり指差してアンタで呼ぶのって、失礼でしょ!」
ミオーズが彼らの説明をするけど、アンリュウが彼に指を刺しながら尋ねる。
そしてミオーズは顔を真っ赤にして、取り乱しながら怒った。
「別にいいよ。僕はギバドン。一応、鳥統領の息子なんだ」
「「「「…はぁ?」」」」
ギバドンは自分の自己紹介をしたが、ある単語にミオーズ以外の4人は、ついそんな声を吐いてしまう。
「あの、もう一度!」
「いやだから僕は、鳥人の長の息子なの!」
そして彼らはまたしばらく時が止まって。
「「「うそっ!!?」」」
ソロリックとホルとアンリュウが信じられないように、そんな風に叫んでしまった。
「なんで…長の息子さんが、こんな昼間っから!?」
「いや、王女のミオーズが外に出てたんだから、納得するよな?」
「ねぇミオーズ、もしかして君の新しい知り合いみたいだけど、なんでこんなに失礼なの?」
「……聞かないでよ」
戸惑うギバドンにさすがのミオーズも、言葉を積らせてしまう。
野田達がバード連邦にいる頃。ミヤト達はアザゼルの魔法で、レジスタンスのアジトである。半壊した屋敷の近くに到着した。
「あれだな。奴らのアジトは?」
「なんとも、アジトらしいアジトだな?」
レーグラスは何度も確認をし続けてた。
「しかし、あののっぺらぼう…大丈夫かな?」
「心配するなよ。アイツの変化の時間は結構長いから」
「でも、たしかホムンクルスの活動時間は長くて一時間だから……」
スミレが倉山が今どうしているか心配しているけども、なぜかミヤトはハークスオンの胸を見つめる。
「さっきから、なぜ私の胸を?」
「いや、お前…まさか魔法でその胸を?」
「えっ!?いや、これは元からで!」
「なんだその言い訳は!私か牛鬼だというのに、貧乳である事に対して嫌味か!?」
「きゃあ!ちょっと…胸は!私…感じやすいの!!」
ミヤトは嫉妬と憎しみのあまり、ハークスオンの爆乳を激しく揉み始める。
ちなみに牛鬼の女は、全員が巨乳や爆乳と豊満であるけども、たまに普乳や貧乳が現れるので、ミヤトはまさにそれに当てはまる。
当然のようにミヤトは巨乳や爆乳を憎み、ソロリックも裏では嫉妬していた。
そして男性組は色っぽい声で感じているハークスオンを、見とれたり写真を撮ろうとしていた。
「コラ!」
「あんた達!」
「なにやってんねん!」
「「「「「うがっっ!!?」」」」」
でも、レーグラスとオータスと木代が、男性組5人をぶん殴る。
スミレもなんとかミヤトを落着かせようとする。
「あの~~~ミヤトさん、今はそんな事してる場合じゃあ?」
「ん?それぐらい分かってるから!!」
「ふへ~~~乳揉みなんてアンリュウだけで十分なのに…」
ハークスオンも漸く開放されて、着崩した服を着直した。
「とりあえず、屋敷の調査だな」
さっそくベルゼブブが使い魔の蟲を2 3匹を偵察に向かわせた。
[野田さん達、今どうしているかな?]
それからバード連邦では、野田達は鳥頭領の息子のギバドンに、ここに来た理由を話そうとした。
「それで、なんで君がここに?」
「じつは、伝えたい事があって!」
「止まれ!」
「「「っっ!?」」」
だが、彼らの前に現れたのは、トムと全身重装備のサイボーグの男であった。
「お前達、ギバドン様に何をしている!」
マシンガンを構えて野田達に問おう。
「ギバドン、誰なの?」
「彼らは、人間国からやって来た使者で…」
「そう、私はヴァルベン・ボーラ。人間国の戦闘1師団の隊長にして、勇者だ!」
「「「「勇者!!?」」」」
野田達は驚愕した。
勇者は人間国政府で選ばれた、最強サイボーグの称号。
この重装備サイボーグのヴァルベン・ボーラこそが、勇者であった。
「まさか、アナタも勇者?」
「いえ、私は人間国戦闘2師団の隊長、トム・グロイゼル!残念ながら勇者ではありません」
ホルに尋ねられたので自己紹介をしたが、野田とアンリュウはなぜか包帯をしてある、トムの右腕に疑問を持つ。
[なんだ…アイツからは]
[というより、あの包帯を巻いた右腕?]
「貴様らは一体何者だ?」
「えっ!?」
さらに後ろに気配を感じたので振り向くと、野田の影から女サイボーグが現れた。
「サイボーグ!まさか、アンタも!?」
「いかにも、私も勇者の桜刃キッカ。くの一サイボーグだ」
くの一サイボーグの桜刃キッカも、とりあえず野田達に自己紹介した。
[おいおい、人間国で最強のサイボーグが、なんで2人も!]
野田は一度に2人のサイボーグと出会ってしまうという事に、信じられずにいた。
「とにかく貴様達、鳥統領の息子であるガドバン様を…ん?その獣人は?」
するとヴァルベンはミオーズに気づく。
「まさか、アナタ様は?」
「はい、獣王パークの第一王女、ミオーズです!」
ミオーズはこの場を乗り切る為に、堂々とした態度を取り始める。
「なぜ…王女が?」
「どうも、怪しいですね?」
さらにトムも銃を構えて疑い始める。
「待って下さい!私達はただ、ある事を調査しに来ただけでして!」
「ではなぜ、獣王パークの第一王女様がなぜここに?」
「……今から話す事を、信じてください!」
ホルが代表としてギバドンと人間国からの使者である3人に、獣王パークで獣人達がクーデターを起こして、もう一度鳥人に対して戦争を起こそうとしている事を説明する。
「そんな事が!?」
「しかし…すぐには信用できんな?」
「でもっ!」
「第一、妖怪や魔人と同行とは怪し過ぎる!」
説明するけども、ヴァルベンと桜刃はあんまり信用してなかった。
「待って下さい」
「なんだトム。まさか彼らを信じるつもりか?」
「そうではなくて、彼らから何か感じる上、アナタのその左足のアーマーは?」
トムはアンリュウの怠惰を見つめる。そして野田は冷や汗をかきながらも、トムに思い切って尋ねる。
「…まさかとは思うが、アンタのその右腕は?」
「なるほど、アナタ方はすでに気づいていましたか?」
するとトムは右腕の包帯を全部取って、心の鎧甲・“悲劇”を全員に見せた。
「心の鎧甲!?」
「すでに1つを所持している人間国が、密かに回収したと噂が立ってたけど、まさか装着者はここに?」
「そして、アナタも装着者ですよね?」
「……だったら何を?」
「ならば、アナタの心の鎧甲を回収するまで」
トムは野田に目を向け始めて、かなり本気な目で宣言する。
「それじゃあ、あたしのも回収するつもり?」
アンリュウが3人の反応を示す為に、怠惰を見せびらかす。
「いや、それは元々魔人達が管理している物。奪う事は出来ないが、所持をまだ認めていない妖怪は別だ!」
「そうだ、我々は一応心の鎧甲を回収の為に動いたりしている!大元帥様はどうしても必要としている!」
ヴァルベンも野田に心の鎧甲を譲ってくれないか頼む。
「もしも…ダメだというなら」
「まさか、俺達を殺して奪うつもりかよ?」
「いえ、我々はそんな盗賊まがいな行為はまずしない。だが、どうしてもというなら、決闘で決めようではないか!」
トムは大声で決闘を宣言するので、野田達はついポカンとした態度になる。
「つまり、アンタ達が勝ったら、心の鎧甲をアンタ達にやるって意味だよな?」
「当然!だがもしアナタが勝ったら、我々に何を要求するのか、今ここで決めてくれないか?」
「えっ!?ここで!」
「当然」
いきなりそんな事を言われて、戸惑いながらも野田は必死に考える。
[なんでなんで!なんで鎧を懸けて決闘する事になったんだ!?オレはただ、この国にスパイが居ないか調べに来ただけなのに。でも、心の鎧甲を奪われるのは嫌だし!!]
そして野田が必死に考え抜いた結果。
「じゃあ、俺が勝ったら…俺達を信じて協力してくれないか?」
彼らにもこの国の調査に協力して貰うという事にした。
[ナイスだ野田くん!ここは彼らにも協力した方が仕事が早くなるし、それに勇者が味方についたら、かなり戦力になる!]
ホルは野田の考えた要求を評価した。
そしてトムもその要求に呑もうか考えた結果。
「分かりました。約束しましょう」
そして今ここに野田とトムの、心の鎧甲を懸けたバトルとなった。
ついに判明した2人のサイボーグ。
ヴァルベン・ボーラと桜刃キッカの正体は、勇者と呼ばれる最強のサイボーグでした。じつは他にも14人もいます。
次回は野田とトムの対決になりますが、もしかしたら野田のライバル精霊が再登場するかもしれない!




