第40話 異世界でのリターンマッチ
獣王パークで思いがけなく、再会した魔人アンリュウの仲間。アザゼルの放った怪光線に巻き込まれた野田は、1人気を失っていた。
だがしばらくすると目を覚ました。
「俺は……一体……」
そこで見たものは、枯れた草や木が多い茂った草原で空には雲がない代わりに、青色の太陽で空はまるで雨の日のように薄暗い。
まさしく異世界そのものであった。
「俺は確か、アンリュウの仲間の1人に、光線に撃たれて……あっ!?ソロリックは!!」
ソロリックとミヤトも一緒に、怪光線を浴びた事を思い出す。
周りを見回したけど、ソロリックはもちろんミヤトもいなかった。
「大変だ…!ソロリック!ソロリック!」
必死になってソロリックを叫びながら、走って探し始めた。
しかしこんな広い空間で、2人を見つけ出すのは一苦労であり、疲れてその場に立ち止る。
[一体どこまで続いてんだ?2人はどこに……まさか、すでに死んでいるのか!?]
ついに野田は勝手に2人を死んだと決め付けてしまう。
「野田さぁぁぁぁん!!」
「おーーーーーい!」
「えっ?!いたぁぁぁぁ!?」
すると2人の声が聞こえたので、声がした方に顔を向けると、その先の木の下にソロリックとミヤトはもちろん。アンリュウとルシファーとアザゼルも立っていた。
「ソロリック!それからミヤトも!?」
すぐさま2人に駆け寄って安心する。
「2人共無事だったんだな!死んでないよな!?」
「野田さん……なに私達を殺してるんですか?」
「ゴメン……でもどうしてコイツらと?」
安心する野田だたけど、そのままアンリュウら3人を睨んで尋ねる。
なんだってアンリュウはこの前、野田を騙した魔人であったから疑ってしまう。
「別に、ただ2人が倒れてたから起こしてあげただけよ」
「そうみたい。なんかついでに野田さんが来てくれるのを、一緒に待ってくれたの」
「そんなん当たり前だろ?こんな美しい美女2人を。放っておく訳にはいかないだろ?」
「という訳で、ソロリックちゃんだっけ?俺はアザゼルだ、よろしく♪」
「えっ!?ちょっと!?」
「おいコラ!なにナンパしてんだよ!?」
2人がソロリックに馴れ馴れしく、口説いたり手を握ったりナンパし始める。当然そんなルシファーとアザゼルに、野田は2人の肩を掴んで無理やり引き離す。
「全く……この私が魔人に助けられるとは、不覚!!」
ちなみに武人肌のミヤトは敵として戦った魔人に、助けて貰った事に屈辱を感じていた。
「ところで……ここって?」
「ここは俺が作った異空間の1つだ!他にも俺が作った異空間……というより異世界は何個もあってな。そんでここは決闘専用で、たくさん暴れても平気だぜ」
アザゼルは3人にも分かるように、決闘用異世界の説明をする。
魔人が使う6種類の魔法の内、空間を通し色んな場所に行き、異空間を作り時間を操る事が可能な魔法が時空魔法で、アザゼルがもっとも得意とする魔法であった。
ちなみにアンリュウが得意の魔法は、頭の中で考えた生物以外のものを、具現化し使用出来る創造魔法。
さらにハークスオンの得意とする動物や植物といった生物の細胞を操作して、肉体を変形し身体を武器に変えて別の生き物に擬態を可能にし、さらには人造生物を作り出す生態魔法である。
「つまり、他にも異世界を作ってるのですか?」
「もちろん!リラックス用やバカンス用に訓練用と、あとは保管用や保存用かな」
「……なぁ、決闘専用って、つまり?」
「もちろん、アンタとあの時の続きをやろうと思ってね」
かつてモンスターゾーンのモルト邸で、野田は心の鎧甲を使いこなして、アンリュウと対決していたけども。その途中で3人目の装着者の高熱精霊のグレス・ドラーが乱入によって、結局休戦という形で終わってしまった。
「なんか、中途半端に中断されたからね。もしアンタと会ったら、もう一度あの時の続きをしたいなって思ってね♪」
「ふ~~~~~ん。もしかして、アンタもバトルマニアなのか?」
「そんなんじゃないよ。今回は遊び程度って言うか?訓練程度でやろうかなって」
「お前も結構、変わってる方なんだな?」
「なによ…変わってるって?」
つい野田は笑い出すけど、その言い方にアンリュウは少し不機嫌になる。
「あの!いつまで近くにいるんですか!?」
「いやちょっと!?首は絞めるなよ!!」
だがソロリックは焼きもちを持ったのか、野田の首を絞めるように強く掴んで、そのままアンリュウから引き離した。
ちなみに昨日レーグラスにも、首を絞められたので、少しだけ慣れ始めていた。
「それで、やる?まぁ、その気が無いならやらないけどね……」
先ほどのやり取りを見られて、少し呆れながらもアンリュウは尋ねる。
「そうだな…せっかくだし、あの時の続きをしようぜ」
「かかか、ありがとね♪」
「ん……どうせなら私に代わってくれても」
でもミヤトは自分が代わりに勝負を受けたいと思っていた。
つまり彼女はそれぐらいバトルマニアだ。
「どうだ?俺がアンタの相手をしてやるよ」
「なに?」
するとルシファーの手から火が出て、ミヤトに勝負しないか誘った。
これこそがルシファーの得意な魔法。火・水・風・土・雷・氷・木・金の、8種類ある元素を操り、さらに元素を組み合わす事によって、物質を自由に作り変えたり出来る元素魔法の使い手。
「言っとくけど、俺はアンリュウと互角なんだぜ?どうだ?」
「面白い。どれ程のものか、試してやる!!」
「上等だ!」
とルシファーの誘いにすんなりと乗ってしまった。
「2人共……大丈夫かな?」
ソロリックはいきなりのバトル展開に、戸惑って心配する。
「心配するなって、大丈夫だからどうだ?お茶でも」
するとアザゼルが椅子とテーブルを出して、ソロリックを座らせる。さらにティーポットとカップも別空間から用意して、そのままカップに紅茶を注いだ。
「はい、どうぞ」
「どうも……ありがとう」
渡されたので、ソロリックはそのままお茶を飲んだ。
「おいしい!これなんてお茶?」
「3年前に入れたミルクティー」
「ぶうぅぅぅぅぅ!!?」
アザゼルの発言を聞いて豪快にお茶を吐く。
「おいおい!3年前と言っても、保存空間の中じゃあ1分も経ってなんだぜ!ほら、茶菓子も新鮮だぜ!」
クッキーとケーキも保存空間から取り出して並べた。
「あははははは、じゃあお言葉に甘えて」
ソロリックは、そのままアザゼルにエスコートされながら、お茶を飲んだ。
そして野田&ミヤト対アンリュウ&ルシファーの勝負が始まろうとしている。
アザゼルの作った異空間に飛ばされた野田達は、そこでアンリュウ達とバトルとなりました。
次回は野田対アンリュウ。




