第38話 王女と楽しいひと時を
4つの月が昇る夜の王都にある一軒のホテル。
今ここに野田達が泊まっていて、ちなみに麻井は城に泊まっていた。
ただしそのホテルも内戦の被害で、少し壊れた箇所や軽い修復の後があったが。そこは当然贅沢も言わずに食堂で夕食を食べて、2部屋をとって男女2組に分かれて過ごした。
野田達男組は、とりあえず買った酒を部屋で飲んでいた。
「なるほど、不思議な一日を過ごしたのですね」
「全く本当に驚いたよ。一緒にロボットを動かして働いて、働いた少女とその親友が王女とメイドだったなんて」
今日起きたことを、その場に居なかった
「ところで、妖魔将軍がこの国にいる事は、すでに国民は知ってますよね?ニュースとかで?」
「お前は知らないかもしれないけど、将軍はもう全て終わって帰った事になってるぞ」
「えっ?!」
「将軍の指示で影武者を使ってるんだ」
じつは人間国での会議が終わった後、モンスターゾーンに帰る予定であったが、麻井はそのまま獣王パークに佐村と一緒に行った。そして暗闇の指令の中に“獣王パークに来てくれ”だけでなく、“麻井がまだ帰ってきてないと国民に悟られるな”というもので片桐が今、麻井に化けて影武者をやっている。
そしてこの事を家臣の半分にも伝えてあった。
「しかし、1番驚いたのは……」
「……ミオーズだよな」
とここで回想に入る。
それは野田達がミオーズと再会した時にさかのぼる。
城でミオーズの正体が王女だと発覚して、野田は頭の中で混乱しまくってた。
[うそっ!ミオーズさんって王女!?さっきまで一緒に]
[まさか、モンスターゾーンからの客人の中に、野田さん達も!?]
王室の中が妙に重い空気が包まれてしまった。
だけど、いつまでも時間を食ってる訳には行かない上、もしここで問題が起きたらの友好関係が崩壊してしまう。
「獣帝様!妖魔将軍様!じつはさすがにたくさんの妖怪を見るのは、初めてのようですので!」
「あ……はい!そうなんですお父様!私てっきり2人か3人ぐらいだと思って、思わず4人と一緒にびっくりして……」
「いや、すみません!じつはあまりに王女様が美しすぎて、ついみんなで」
なんとか空気を変えるセドールに、ミオーズはすぐさま話を合わせて、野田もなんとか誤魔化そうとした。
「いや……だが、まるですでにどこかで会ったかのような、感じはしておったぞ?」
「そっ!そんな訳ありません!お父様は私を信用してませんの!?」
「なにを言っておる!子供を信用してない親が居るわけがないだろ!?」
「あの……お取り込み中すみませんが?今はそんな話じゃない筈ですよね?」
2人の会話に野田はつい少しだけ入り込む。
「アンタ!なに獣帝様に変な口やってんの!?」
「いや別に!そんなつもりじゃ……首!首!?」
「てか、アンタも場を考えてよ!!」
「レーグラスさん落ち着いてください!!」
会話に割り込んだことがレーグラスが怒って、野田の首を絞め始める。当然倉山達も慌てて止めに入って、ミオーズや麻井やガドは少し呆れ顔で引き始める。
「ほんと、獣帝様と妖魔将軍の前でお恥ずかしいものを!!」
「まぁ、ここまでされたら……もう許してやるよ」
そしてレーグラスは見事な土下座で2人に謝罪する。
「いえいえ、とりあえず城にお招き感謝する」
「そうだな……ミオーズ」
「はい、なんですかお父様?」
「悪いがここからは、彼と大切な話になるから、4人と一緒に出てくれないか?」
「お前達もだ!外の警護をやってくれ」
「「「「「「はっ!」」」」」」
野田達とミオーズ達は言われたとおり、そのまま部屋を出た。
「まさか、アナタ達とこんな所で再会なんて、驚いちゃった」
「こっちも驚いたよ。まさか王女様だったなんて」
「ちょっとベタだったかしら♪」
少し笑いながら野田達を見つめる。
「ねぇ、アナタ達」
「はい?」
「ちょっと、私の部屋に来てくれない?」
「「「「「「ええっ!!?」」」」」」
と王女のミオーズが野田達を自分の部屋に招待しようとする。
「ちょっと!俺達のような奴らを、王女の部屋に招き入れて……」
「良いの!さっきのお礼も言いたいし。それに私の護衛ついでなら大丈夫だから♪」
ミオーズからの誘いに、野田はレーグラスの顔を見合わせながらも、戸惑って自分の時間が止まったかのように感じてしまう。
「……仕方ない。私と佐村はここで警護するから、お前達で王女の護衛につけ」
「ありがとなレーグラス!」
「ただし、王女様に無礼がないように!!」
「……分かってるよ」
そしてレーグラスと佐村はこの場に残って、野田達はミオーズ達に案内されて、3階にある彼女の部屋に到着した。
ミオーズがさっそく自分の部屋の扉を開けると、そこは大型ベッドと本棚とシャンデリアとまさしく王女の部屋であり。さらに彼女の部屋とバルコニーが繋がっている作りで、先ほどの王室よりは綺麗でマシだが、壁紙が少し汚れて剥がれていた。
「さぁ、入って寛いでね♪」
「ああ。では王女様、改めてお邪魔します」
礼儀正しくお辞儀をしながら、さっそく部屋に踏み込んだ。
「うわっ!!?」
「「野田っ!!」」
「野田くん!!」
だがいきなり床が抜けて、下半身が思いっきり埋まってしまった。
「しまった……この辺り床抜けそうだったんだ。でも私達って、危機回避が発達してたから、関係なかったけどね」
「そういう事は、先に言ってよ」
倉山とダイゴはなんとか野田を助けた。それからバルコニーに設置してある、椅子に野田ら4人とミオーズが座り、セドール達がお茶を用意してくれた。
「しかし良いんですか?王女様が、俺達のような公務員兼スパイとお茶なんて」
「別に、バチが当たる訳無いでしょ?」
少し落ち着きがない野田をミオーズは軽くスルーする。
「あの……もしかして何回も城の外に?」
「当然よ!だって、町があんな状態だもん!と言っても、小さい時からセドール達と一緒に城を抜け出して遊んでたし♪」
「私達4人の家は代々王家に仕えてましたけど、正直幼馴染の親友同士なのよね♪」
セドールが笑いながら言うとミオーズやハクホスもメラッテもローキグも、釣られて笑い出すけど。王女とメイドの関係が普通の女子の会話に聞こえるので、野田達は少し着いて来られずに居た。
「そういえば、鳥人の親友もいたんだよな?」
「うん。彼女とも遊んだけど、今は離れ離れだし。こんな状況で会うのは大変そうだし、せめてメールや電話でしたいけど……出来るかどうか?」
寂しそうな目でバード連邦のある方角を眺めて、野田らは彼女がその親友が好きなのが分かる。
「いや~~~~それにしても、戦争が終わって安心した」
「たしか50年も前から、獣人と鳥人はほんの少しいがみ合いを続けて、そしてついに5年前、戦争を起こしたんだよね」
「ええ。その頃、お父様はとにかく周りは気にせず、戦争に勝利する事ばかりを考えていたの」
「おかげで城のお金もほとんど軍資金として使って、このとおり城を改築するお金はなく。さらには食事も貧相になっちゃって大変!」
セドールも呆れた感じに話しの間に入った。
「だけど、妖魔将軍が他の国にも迷惑が起きる心配して、父と鳥王との間に話し合い時間を作ってくれてたの。まあ、結局国が分裂したけど見事戦争が終わらせて良かった!」
「たしかに、あのまま戦争が続いていたら……大昔の戦争が再開する可能性が出るって、テレビの専門家が言ってたからな」
つい野田もつられるように会話に入り込む。
そしていつのまにか全員でお茶を飲みながら会話するけど、しばらくしたらジュースとお菓子を食べてゲームもやったり、ミオーズととても楽しい時間を過ごしていた。
だけど楽しいひと時は過ぎていくものであり、突然ハクホスのイアリング型携帯端末が振動した。
「はい!ああ、はいはい。皆様方!」
「ん?どうしたの?」
「じつはレーグラスさんが、兵士に頼んで皆さんに連絡を頼んでもらって。もう引き上げるから入り口前に集合ですって」
レーグラスの伝言を伝えた。
「あっ、そっかぁ……もうちょっと居たかったなぁ」
「それは仕方ないよ……じゃあまた明日!」
「また明日って、また抜け出すつもり?」
「もちろん!」
そのまま全員で笑って、全員帰る仕度をした。
「それでは、王女様。我々はこれで失礼します」
「はい、ではごきげんよう」
挨拶をして4人は王女室に出て、そして麻井は城に泊まるので1人残り。6人は城を出た。
そして現在にいたる。
「お転婆王女……なんかギャルゲーに出てきそうだな?」
「たしかになぁ」
「おいおい、こんなとこまでギャルゲーかよ?」
野田は思わず冗談を言う。
「さてと、僕は明日は妖魔将軍と一緒に帰らなきゃならないし。悪いけど……」
「分かってる。ミヤトと一緒に現地調査してくるよ」
「ありがとね♪」
すると4人はビールの入ったコップを手に持ち。
「んじゃあ、初めての外国と言うことで……」
「「「「乾杯!!」」」」
彼らは豪快に乾杯をして、こうして獣王パークの一日が終了した。
だがその頃、半壊した屋敷に数十人の人影が集まった。
それも全員がちゃんと兜と面で顔を隠していた。
「しかし……まさか将軍護衛の妖怪が6人も来るとはな?」
「だが明日将軍が帰るようだし、なんとかなるよな?」
「それで、そいつらについてなにか分かったか?」
「さすがに実力までは分からないけど、案外騙されやすそうだったわ。マヌケヅラだし♪」
彼らは怪しい会話をし続けていた。
「いや、そんなの関係ない。たとえ傭兵部隊・暗闇であろうとも、俺達の邪魔をする者は容赦しない!」
「全くだ!戦争を再開して鳥人どもを屈服させるために!」
今獣王パークに恐ろしい陰謀が起ころうとしていた。
野田達は獣王パークの王女ミオーズと、楽しい時間が過ぎましたが、この国に起きる陰謀を止める事は出来るかどうか。
次回はソロリックとホルとミヤトだけでなく、あの魔人も登場するかもしれません。




