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心の鎧甲  作者: 鴉山大樹
番外シリーズ1
42/82

番外編3 救出&隠し芸

渦潮に巻き込まれて、シーサーペントに助けられた野田は、目を回して意識を失ってた。


「う…ん、あれ?」


しばらくして目を覚ますと、そこはまるで洞窟のような空間だった。

ただし扉は勿論の事、証明やテレビといった人が暮らせるような場所で、さらに近くには池みたいな水が張った穴もあった。

そして野田はいつのまにか布団で寝てるのに気付く。


「なんで俺が…ソロリックは!?」


身体を起こすと、隣にはソロリックも布団の上で横になっていた。


「ソロリック!ソロリック!」

「野田…さん?」

「よかっ、あっ!?」

「え?うぇ!?」


2人はようやく気づいたのだ。今のソロリックは全裸である事に。

どうやら先程の触手で水着がズレて、海に潜ってそのまま水着が脱げたらしい。ただし、ちゃんとペンダントは首にかかっていた。


「あの…無事で…」

「いやぁあ!!」

「ぐへっ!!?」


顔を赤く涙目になりながら、ソロリックの平手打ちが決まり、野田はそのまま地面に叩きつけられた。


「あの…良いですか?」


するといつのまにか目の前に、3人の子供が立っていた。


「もしかして…さっきのシーサーペントか?」

「はい、先程は本当に…」

「とりあえず、これを」


人間に変身したシーサーペント兄妹の妹ペントがソロリックに服を渡した。


「これって?」

「私達のママの服を持って来たんだけど…着れる?」

「ありがとう。野田さん、ちょっと見ないでね」

「ああ、分かったよ」


さっそく着て見ると、胸の辺りが少しキツイ以外、なんとか着れたのであった。


「それで…お前達!」

「ごめんなさい。少し、やり過ぎましたけど、助けてください」


シーサーペントの兄妹の兄ペントが頭を下げるので、それに続いて弟ペントと妹ペントも頭を下げる。


「野田さん、話だけでも聞いてみたら?」

「…分かってるよ。なんであんなイタズラをして、しかも俺達をこんな所に?」

「はい、付いて来てください」


兄ペントに案内されて、洞窟の先に進んだ。


「ねぇ、アナタ達ってここで暮らしているの?」

「うん…あの家にあった穴は、非常用に作ったトンネルで、あそこから海に行けるの」

「でも、この先に行けば、出入り口もちゃんとあるんだ」

「そういえば、お母さんはいるの?」

「それは……」

「ん?」


最後の質問に妹ペントは言葉を詰まらせるので、ソロリックは不思議がる。


「ほら、ここだよ」

「これって?」


彼らが辿り着いた先には、出入り口が岩で洞窟の穴がふさがっていた。そしてさらに3匹より身体の大きな母親らしき、女シーサーペントが岩の下敷きになって、身動きが取れなくなっていた。


「そう、僕達のママだよ」

「「ママ!?」」


そう、この下敷きのシーサーペントが、3匹の母親であった。


「じつは、昨日……」


兄ペントは昨日何があったか話した。










それは母ペントと兄ペントが洞窟近くの岩場で、弟ペントと妹ペントに飛び込みと同時に、魚を捕まえる練習をしていた。


「ほら、こうやるのよ!」

「怖くないから、早く」

「でも…」

「うん…怖い」


母ペントと兄ペントが教えているに対して、2人共怖がって飛び込もうとしない。


「あのなぁ、僕達海妖怪はすでに色んな泳ぎをマスターしなきゃいけないって事を知ってるだろ?!」

「「だって…」」

「私も最初は怖かったけど、慣れればどうって事もないのよ!ほら、早く!!」


なんとか飛び込ませようとするけど、やっぱり2人は怖がって


「ゴメン、やっぱり怖いから…」

「また明日!!」

「あっ、コラ!」


そのまま住処の洞窟に逃げたけど、すぐに兄ペントに捕まってしまう。


「昨日も同じ事を言っただろ!」

「だって怖いんだもん!!」

「別に飛び込み出来なくていいもん!!」


と3匹はそのまま揉め始めて、ついに兄弟喧嘩になってしまう。


「コラ!3人とも、落着きなさい!!」


母ペントがすぐに3匹を止めようとするが、3匹の尾が壁に当たった衝撃で、突然天井の岩が崩れ始めた。


「「「うわぁぁっ!!」」」

「危ない!!」


すぐ真上に岩が落ち始めたので、母ペントが口から水を発射して、3匹を岩の落ちないところまで、ぶっ飛ばしてそのまま自ら岩の下敷きになってしまう。

さらに岩はそのまま入り口を塞いでしまった。










回想終了。


「じゃあ、お母さんを助けてもらおうとして?」

「はい…幸い、家にはあの非常用トンネルがあったので…」

「でも…なんであんな事を?」


ソロリックが、先程の触手プレイについて尋ねた。


「あれは、せっかくだから」

「少し盛り上げようと思って」

「でも、ちょっと面白かったね♪」

「なるほどな…じつは俺も触手プレイが見れて良かったけど、あんまりやりすぎないように!」

「「「はい、すみません!」」」


3人はそのまま土下座をして野田とソロリックに謝った。


「で、それで…」

「分かったよ。助けてやるよ。ただし、なにかお礼はくれよな」

「「「ありがとうございます!!」」」


さっそくいつもとおりソロリックのペンダントで、アーマースタイルになって両腕をドリルにする。

それから母ペントに近づいて、声をかけてみる。


「あの、聞こえてますか?」

「ええ…なんとか」

「よかった。少し痛いかもしれないけど、ガマンしてよな?」

「……分かったわ」

「んじゃあ、お前達は離れてろよ」

「はい」


ソロリックとシーサーペントの兄妹が、言われたとおりに離れると、野田はさっそくドリルで岩を削り砕いたりする。

母ペントを傷つけないように、ゆっくりと作業し続けてついに。


「終わったぞ。ついでに入り口も開けた」


作業が終えて母ペントが岩から解放し、さらに洞窟の入り口も開いた。


「坊や達!」

「「「ママ!!」」」


母ペントが人間の姿になると、シーサーペント兄妹を強く抱きしめたので、3人も喜びながら涙を流して離れないようにする。


「良かったね」

「ああ」


そして野田とソロリックは、シーサーペント親子を見守っていた。

その頃、ホル達は海に消えた野田達を心配していた。

しばらくすると、海を潜っていたナイムが顔を出した。


「見つかったのはこれだけ」


ソロリックの水着を持って海から上がった。


「野田君、一体どこに…」

「さすがのアイツも、海の中じゃなぁ?」

「ちょっと、なに縁起でもない事を!」


倉山達は心配したり半分諦めたりして、秋を怒らせたりしていた。


[それにしても…アーマーの人が出たと途端に、アイツはいなくなったけど…もしかして、海に引きずりこまれたとか?]


レーグラスは未だに野田がアーマースタイルに変身しているとは気付かずに居た。

そしてレイガは、のんびりと携帯ゲームをやっていた。


「ちょっと、レイガさん…なにこの状況にゲームやってるの?!」

「だって、心配したって何も始まらないでしょ?」


そんなのん気なレイガに、ホルはますます不安になってしまった。


「それに、なんか来る見たいだし」

「え?」


レイガが指を刺した方に目を向けると、海の中から母ペントが大きな泡を持って現れて、あの3匹も海から出てきた。


「またシーサーペント!?」

「もしかして、さっきの奴らの親か!?」


レイガを除いたホル達はまた戦闘に態勢になるけど


「よう!ホルにみんな」

「ゴメンね、心配かけて」


母ペントの手に持っていた大きな泡には、野田とソロリックが入ってた。


「「野田!!」」

「兄さん!」


野田とソロリックが泡から出てくると、ホル達がいっせいに駆け寄った。


「大丈夫!?何かされなかったの?」

「いったい何があったの!?」

「てか、なんで一緒に来たんだよ!!」

「心配しないで、ただあの子達は、お母さん助けたかっただけみたい」

「だけど、ちょっとイタズラしたかったらしいけどな」


質問の山であったけど、ホル達に分かりやすく説明した。


「先ほどは、内の子供達が迷惑をかけてしまって…ほら、アンタ達も!」

「「「ごめんなさい!!」」」

「どうぞ、これはお詫びです」


母ペントが頭を下げて謝罪するので、3匹も続けて頭を下げる。

さらに魚介類がたっぷり入った網袋を渡した。


「こんなに良いの!?」

「ええ、もちろんです。後で皆さんと食べてくださいね」

「それから、僕達の芸も見てね♪」

「芸?」


さらなるお詫びとして、シーサーペントの親子による、隠し芸が行なった。

野田達はさっそく砂浜に横一列になって座る。ちなみにソロリックはナイムが拾ってきてくれた水着に着替えて、服はちゃんと母ペントに返した。


「では、始めまーーーす!」


まず母ペントがビーチボールを巧み頭の上に乗せて、そのまま一度に大量のフラフープを身体全体で回した。さらに兄ペントは自ら輪っかになって、弟ペントと妹ペントは、それぞれ笛を吹きながら輪になった、兄ペントの身体を綺麗に潜った。


「おぉぉぉぉ!!」

「スゲェなぁ!」


野田達が彼らの隠し芸に拍手喝采を上げた。

すると妹ペントがソロリックに近づいて来た。


「なにか?」

「一緒にやってみよう♪」

「えっ!?」

「お、おい!ちょっと!?」


さっそくソロリックの手を掴むと、海に連れてきてソロリックを自分の背に乗せた。

すると母ペントが頭に乗せたボールを、上空に高くヘディングすると、妹ペントはソロリックを乗せたまま空高くジャンプした。


「うわっ!ちょっとなに!?」

「良いからボール取って!!」

「は、はい!!」


そして言われたとおりにボールを取ると、そのまま2人揃って海に落ちた。


「そ、ソロリック!?」


当然のように野田は慌ててしまうけど、海から妹ペントとボールを持ったソロリックが、怪我もなく上がってきた。


「ソロリック、怪我は?」

「大丈夫!とても面白かったから!!」

「そう、良かったな…」


満足するソロリックに野田は安心する。

それからシーサーペント親子が海鮮物を、ソロリックとヘグラーパー達が、美味しく料理して、全員で楽しく夕食をした。

そして日が沈むと、シーサーペント親子が家に帰ろうとした。


「では、本当にありがとうございました」

「いえいえ。こちらこそ、楽しんだから♪」

「また遊びに来るからね」

「その時は、2人共ちゃんと飛び込みが出来るようになれよ!」

「もちろん!僕とママがちゃんと教えるから!」

「「うん!!」」


そしてシーサーペントの親子が住処に帰ると、野田達も荷物を纏めて、レイガの転送魔法で屋敷に戻って帰った。

彼らにとって、とても心に残るほどの、夏の思い出になった。

シーサーペントの兄妹は、母親を救ってもらう為に、あんなイタズラをしたのだけど、面白半分でもやっていたのでした。

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