番外編3 救出&隠し芸
渦潮に巻き込まれて、シーサーペントに助けられた野田は、目を回して意識を失ってた。
「う…ん、あれ?」
しばらくして目を覚ますと、そこはまるで洞窟のような空間だった。
ただし扉は勿論の事、証明やテレビといった人が暮らせるような場所で、さらに近くには池みたいな水が張った穴もあった。
そして野田はいつのまにか布団で寝てるのに気付く。
「なんで俺が…ソロリックは!?」
身体を起こすと、隣にはソロリックも布団の上で横になっていた。
「ソロリック!ソロリック!」
「野田…さん?」
「よかっ、あっ!?」
「え?うぇ!?」
2人はようやく気づいたのだ。今のソロリックは全裸である事に。
どうやら先程の触手で水着がズレて、海に潜ってそのまま水着が脱げたらしい。ただし、ちゃんとペンダントは首にかかっていた。
「あの…無事で…」
「いやぁあ!!」
「ぐへっ!!?」
顔を赤く涙目になりながら、ソロリックの平手打ちが決まり、野田はそのまま地面に叩きつけられた。
「あの…良いですか?」
するといつのまにか目の前に、3人の子供が立っていた。
「もしかして…さっきのシーサーペントか?」
「はい、先程は本当に…」
「とりあえず、これを」
人間に変身したシーサーペント兄妹の妹ペントがソロリックに服を渡した。
「これって?」
「私達のママの服を持って来たんだけど…着れる?」
「ありがとう。野田さん、ちょっと見ないでね」
「ああ、分かったよ」
さっそく着て見ると、胸の辺りが少しキツイ以外、なんとか着れたのであった。
「それで…お前達!」
「ごめんなさい。少し、やり過ぎましたけど、助けてください」
シーサーペントの兄妹の兄ペントが頭を下げるので、それに続いて弟ペントと妹ペントも頭を下げる。
「野田さん、話だけでも聞いてみたら?」
「…分かってるよ。なんであんなイタズラをして、しかも俺達をこんな所に?」
「はい、付いて来てください」
兄ペントに案内されて、洞窟の先に進んだ。
「ねぇ、アナタ達ってここで暮らしているの?」
「うん…あの家にあった穴は、非常用に作ったトンネルで、あそこから海に行けるの」
「でも、この先に行けば、出入り口もちゃんとあるんだ」
「そういえば、お母さんはいるの?」
「それは……」
「ん?」
最後の質問に妹ペントは言葉を詰まらせるので、ソロリックは不思議がる。
「ほら、ここだよ」
「これって?」
彼らが辿り着いた先には、出入り口が岩で洞窟の穴がふさがっていた。そしてさらに3匹より身体の大きな母親らしき、女シーサーペントが岩の下敷きになって、身動きが取れなくなっていた。
「そう、僕達のママだよ」
「「ママ!?」」
そう、この下敷きのシーサーペントが、3匹の母親であった。
「じつは、昨日……」
兄ペントは昨日何があったか話した。
それは母ペントと兄ペントが洞窟近くの岩場で、弟ペントと妹ペントに飛び込みと同時に、魚を捕まえる練習をしていた。
「ほら、こうやるのよ!」
「怖くないから、早く」
「でも…」
「うん…怖い」
母ペントと兄ペントが教えているに対して、2人共怖がって飛び込もうとしない。
「あのなぁ、僕達海妖怪はすでに色んな泳ぎをマスターしなきゃいけないって事を知ってるだろ?!」
「「だって…」」
「私も最初は怖かったけど、慣れればどうって事もないのよ!ほら、早く!!」
なんとか飛び込ませようとするけど、やっぱり2人は怖がって
「ゴメン、やっぱり怖いから…」
「また明日!!」
「あっ、コラ!」
そのまま住処の洞窟に逃げたけど、すぐに兄ペントに捕まってしまう。
「昨日も同じ事を言っただろ!」
「だって怖いんだもん!!」
「別に飛び込み出来なくていいもん!!」
と3匹はそのまま揉め始めて、ついに兄弟喧嘩になってしまう。
「コラ!3人とも、落着きなさい!!」
母ペントがすぐに3匹を止めようとするが、3匹の尾が壁に当たった衝撃で、突然天井の岩が崩れ始めた。
「「「うわぁぁっ!!」」」
「危ない!!」
すぐ真上に岩が落ち始めたので、母ペントが口から水を発射して、3匹を岩の落ちないところまで、ぶっ飛ばしてそのまま自ら岩の下敷きになってしまう。
さらに岩はそのまま入り口を塞いでしまった。
回想終了。
「じゃあ、お母さんを助けてもらおうとして?」
「はい…幸い、家にはあの非常用トンネルがあったので…」
「でも…なんであんな事を?」
ソロリックが、先程の触手プレイについて尋ねた。
「あれは、せっかくだから」
「少し盛り上げようと思って」
「でも、ちょっと面白かったね♪」
「なるほどな…じつは俺も触手プレイが見れて良かったけど、あんまりやりすぎないように!」
「「「はい、すみません!」」」
3人はそのまま土下座をして野田とソロリックに謝った。
「で、それで…」
「分かったよ。助けてやるよ。ただし、なにかお礼はくれよな」
「「「ありがとうございます!!」」」
さっそくいつもとおりソロリックのペンダントで、アーマースタイルになって両腕をドリルにする。
それから母ペントに近づいて、声をかけてみる。
「あの、聞こえてますか?」
「ええ…なんとか」
「よかった。少し痛いかもしれないけど、ガマンしてよな?」
「……分かったわ」
「んじゃあ、お前達は離れてろよ」
「はい」
ソロリックとシーサーペントの兄妹が、言われたとおりに離れると、野田はさっそくドリルで岩を削り砕いたりする。
母ペントを傷つけないように、ゆっくりと作業し続けてついに。
「終わったぞ。ついでに入り口も開けた」
作業が終えて母ペントが岩から解放し、さらに洞窟の入り口も開いた。
「坊や達!」
「「「ママ!!」」」
母ペントが人間の姿になると、シーサーペント兄妹を強く抱きしめたので、3人も喜びながら涙を流して離れないようにする。
「良かったね」
「ああ」
そして野田とソロリックは、シーサーペント親子を見守っていた。
その頃、ホル達は海に消えた野田達を心配していた。
しばらくすると、海を潜っていたナイムが顔を出した。
「見つかったのはこれだけ」
ソロリックの水着を持って海から上がった。
「野田君、一体どこに…」
「さすがのアイツも、海の中じゃなぁ?」
「ちょっと、なに縁起でもない事を!」
倉山達は心配したり半分諦めたりして、秋を怒らせたりしていた。
[それにしても…アーマーの人が出たと途端に、アイツはいなくなったけど…もしかして、海に引きずりこまれたとか?]
レーグラスは未だに野田がアーマースタイルに変身しているとは気付かずに居た。
そしてレイガは、のんびりと携帯ゲームをやっていた。
「ちょっと、レイガさん…なにこの状況にゲームやってるの?!」
「だって、心配したって何も始まらないでしょ?」
そんなのん気なレイガに、ホルはますます不安になってしまった。
「それに、なんか来る見たいだし」
「え?」
レイガが指を刺した方に目を向けると、海の中から母ペントが大きな泡を持って現れて、あの3匹も海から出てきた。
「またシーサーペント!?」
「もしかして、さっきの奴らの親か!?」
レイガを除いたホル達はまた戦闘に態勢になるけど
「よう!ホルにみんな」
「ゴメンね、心配かけて」
母ペントの手に持っていた大きな泡には、野田とソロリックが入ってた。
「「野田!!」」
「兄さん!」
野田とソロリックが泡から出てくると、ホル達がいっせいに駆け寄った。
「大丈夫!?何かされなかったの?」
「いったい何があったの!?」
「てか、なんで一緒に来たんだよ!!」
「心配しないで、ただあの子達は、お母さん助けたかっただけみたい」
「だけど、ちょっとイタズラしたかったらしいけどな」
質問の山であったけど、ホル達に分かりやすく説明した。
「先ほどは、内の子供達が迷惑をかけてしまって…ほら、アンタ達も!」
「「「ごめんなさい!!」」」
「どうぞ、これはお詫びです」
母ペントが頭を下げて謝罪するので、3匹も続けて頭を下げる。
さらに魚介類がたっぷり入った網袋を渡した。
「こんなに良いの!?」
「ええ、もちろんです。後で皆さんと食べてくださいね」
「それから、僕達の芸も見てね♪」
「芸?」
さらなるお詫びとして、シーサーペントの親子による、隠し芸が行なった。
野田達はさっそく砂浜に横一列になって座る。ちなみにソロリックはナイムが拾ってきてくれた水着に着替えて、服はちゃんと母ペントに返した。
「では、始めまーーーす!」
まず母ペントがビーチボールを巧み頭の上に乗せて、そのまま一度に大量のフラフープを身体全体で回した。さらに兄ペントは自ら輪っかになって、弟ペントと妹ペントは、それぞれ笛を吹きながら輪になった、兄ペントの身体を綺麗に潜った。
「おぉぉぉぉ!!」
「スゲェなぁ!」
野田達が彼らの隠し芸に拍手喝采を上げた。
すると妹ペントがソロリックに近づいて来た。
「なにか?」
「一緒にやってみよう♪」
「えっ!?」
「お、おい!ちょっと!?」
さっそくソロリックの手を掴むと、海に連れてきてソロリックを自分の背に乗せた。
すると母ペントが頭に乗せたボールを、上空に高くヘディングすると、妹ペントはソロリックを乗せたまま空高くジャンプした。
「うわっ!ちょっとなに!?」
「良いからボール取って!!」
「は、はい!!」
そして言われたとおりにボールを取ると、そのまま2人揃って海に落ちた。
「そ、ソロリック!?」
当然のように野田は慌ててしまうけど、海から妹ペントとボールを持ったソロリックが、怪我もなく上がってきた。
「ソロリック、怪我は?」
「大丈夫!とても面白かったから!!」
「そう、良かったな…」
満足するソロリックに野田は安心する。
それからシーサーペント親子が海鮮物を、ソロリックとヘグラーパー達が、美味しく料理して、全員で楽しく夕食をした。
そして日が沈むと、シーサーペント親子が家に帰ろうとした。
「では、本当にありがとうございました」
「いえいえ。こちらこそ、楽しんだから♪」
「また遊びに来るからね」
「その時は、2人共ちゃんと飛び込みが出来るようになれよ!」
「もちろん!僕とママがちゃんと教えるから!」
「「うん!!」」
そしてシーサーペントの親子が住処に帰ると、野田達も荷物を纏めて、レイガの転送魔法で屋敷に戻って帰った。
彼らにとって、とても心に残るほどの、夏の思い出になった。
シーサーペントの兄妹は、母親を救ってもらう為に、あんなイタズラをしたのだけど、面白半分でもやっていたのでした。




