第32話 九尾の住む屋敷
野田達はレイガに案内されて屋敷に着いた。
「改めて見ると、やっぱり大きいですね」
ソロリックは改めて、屋敷を見て驚きを隠せなかった。
「2人共、罰としてしばらく外で反省してなさい」
「「元からそういたします」」
2人はハモりながら扉の隣で体育すわりをする。
「良いの?あのままにして」
「別に良いのよ。だって私が言わなくても、勝手に反省するつもりだったし。私の機嫌を取る為だったら何でもするから」
そしてさっそく屋敷に入った。
そこはまさしく貴族のような美しい空間だった。高そうな壷や像が飾られて、天井にも精巧な作りのシャンデリアも吊るされていた。
「うわぁ!なんか本当に凄い……」
ソロリックは周りを見回して、少しお姫様な気分になる。
「みなさん、だいぶお疲れのようですね」
いきなりグリフォンの羽が生えたメイドが立ってた。
「そいつって、あのグリフォン?」
「そう、この子はディグット。ちなみに、あの2人はブロドンとパメラよ♪」
レイガはグリフォンのディグットと、ガーゴイルのブロドンとジャックランタンのパメラの説明をする。
「とりあえず、ゲストルームへ」
案内されてゲストルームに着いて入ってみると、そこもかなり綺麗な空間であり。
豪華な作りのテーブルとソファーがあって、レイガはすぐにソファーに座った。
「ほら、あんた達も座りなさいよ。疲れたでしょ?」
野田達も疲れたのでとりあえず座った。
それからディグットは全員に紅茶を入れてケーキも出した。
「それで、私になにか?」
「じつは、アナタに届け物です!」
「あら?そうだったんだ!」
さっそくホルがアタッシュケースをテーブルに置き、そのまま渡すとレイガは中を開けてみる。
「「「「「えっ!?」」」」」
野田達はケースの中のを見て驚いた。
なぜならそれはマンガとアニメのDVDである。
しかもマンガの方は特典のオマケDVD付限定版であった。
「これって?」
「麻井くんに頼んでおいたのよ♪」
「てかこれって、今大人気アニメ「バードガール3」のDVD1巻に、「無敵ナイト・アドベンチャー」の限定版!!」
じつは野田と倉山もその限定版を手に入れようとしたが、結局は売れ切れていたので諦めて帰ったらしい。
「うふふふふふふ♪普段なら自分と部下で買いに行くけど、ちょっと忙しかったから、麻井くんに頼んだのよ♪」
「ってアナタ!将軍になんて事させてんですか!?」
「別にいいじゃない?だって麻井くんは、私のパシリみたいなものだから♪」
レイガはのん気にタバコを吸い出す。
「でも驚きました。レイガさんって、マンガとアニメを見るんですね?」
「まぁ、アニメやマンガはもちろん。ゲームも小説も音楽とフュギアに、そしてプラモといった娯楽やエンターテインメンが大好きなの♪」
そのままDVDとマンガを持って部屋を出ようとする。
「あの、どちらに?」
「知りたいなら、着いてきなさい♪」
仕方なく全員は言われたまま着いていく。
そして全員は扉の前に着いた。
そこはまるで部屋の全てが棚や引き出しの、収納スペースになっていた。
しかもアニメや特撮はもちろん、ドラマや映画やお笑いなどの、DVD&Blu-rayがたくさん保管されていた。
そしてちゃんと観賞用テレビとレコーダーもあった。
「これって、まさか?」
「私のコレクションよ♪」
自慢しながらDVDを棚に入れて、特典DVDも単行本を取り出してケースごと棚に入れた。
「スゲェ……まるでレンタル店みたいだな?」
「言っとくけど、絶対貸さないから!!」
「そんなはっきり言わなくても」
とりあえず野田達はDVDを見て回る。
「大昔のから今の映画やアニメまであるな?」
「しかも成年向けまで……」
「どんだけ集めたんだか?」
「言っとくけど、これだけじゃないから♪」
またレイガに誘われて別の部屋に行って見る。
「はい、次はこの部屋♪」
「「「「「うわっ!!」」」」」
今度のは図書館と同じぐらいの本棚で出来た空間で、大量の本が納められた。
が、全てがマンガや小説に、ライトノベルと同人誌といったものだった。
「まさか、ここまで集めたのか?」
「えへへへへへへ♪うらやましいでしょ♪」
マンガを棚に入れながら自慢する。
「うわぁ……成年からBL物まで関係なくある……おまけに幻とされた作品まで」
ホルは保管されてるマンガとかに呆れたり引いたりしてしまう。
「まだまだこんなものじゃないから、もっと見てきなさい♪」
そのまま別の部屋を見せて回った。
たとえば世界中のアニメのポスターが飾られた部屋。旧式から最新のゲームソフトはもちろん、生産と販売が中止になった幻の18禁のゲームまである部屋。アニソンにロックに演歌といったさまざまなジャンルが揃ったCDの部屋。世界の民族衣装やコスプレなどの服飾部屋。
さらにはフュギア・抱き枕の部屋に、プラモデル・模型の部屋まで多様に存在した。
そして部屋の3割を案内した後、またゲストルームに戻って、改めてお茶を飲む。
「しかしまさか、九尾がオタクだったなんて……」
「そっ!とくにアニメとプラモが1番好き♪」
笑いながら8本の手形尻尾が、レイガにお茶を飲ませたり、いつのまにか雑誌を持ってページを捲ったりと、まるで意思があるかのようにレイガの世話をする。
[その尻尾……便利]
ソロリックはついそう思ってしまう。
「それにしても、本当にお母さん似で可愛いわね。ホルくん♪」
「え!?母を知ってるの!?」
「もちろん、アナタの両親とは知り合いだからね♪それにしても、思ったとおりの男の娘だこと?」
「「男の娘!!」」
「「「あっ!」」」
ついに倉山とダイゴに知られてしまい、ホルは顔を真っ赤にさせる。
「お前って……」
「男か!!」
「……うん」
「あっ!ゴメン、秘密にしていたのかしら?」
秘密を暴露した本人は他人事みたいな態度であった。
「もしかして、あの結界の仕組みを理解したの?」
「いえ、なんか不自然な所があったから……」
「あらあら?やっぱ最初に見た時から思ったんだよね。観察力とか高そうって」
レイガはソロリックを観察する。
けど、ソロリックはレイガをどこかで出会った気がしてならなかった。
「あの……アナタどこで?」
「知りたい?だったら、この姿見たら分かるかしら?」
するとレイガは女の河童に化けた。
だけどソロリックは、その姿を見てどこかで出会ったか気づいた。
「まさかアナタって……レンドスさん!?」
「正解♪」
ソロリックはレンドスって名前を上げながら驚いき、レイガも元の姿に戻った。
「ソロリック、なんだレンドスって?」
野田は驚くソロリックに質問する。
「ダイゴさんがバイト辞めた後、新しく入った妖怪ですよ」
「えっ!アンタ、伝説と呼ばれてるのにバイトしてんの!?」
野田はついレイガに向かってツッコミをしてしまう。
「なによ?私だって、バイトぐらいするもん!まぁ、ほとんど薬作りで収入しているけどね!」
「薬?」
「そう、風邪の薬や胃腸の薬に、心臓に利く薬や傷や虫歯の痛み止め。さらには睡眠薬や媚薬に……麻薬も」
「「「「「え?」」」」」
なにやらヤバイ系な薬の言葉が出て、全員は引き始めた。
「な~~~んてね♪ぎゃははははははは♪」
「「「「「はぁ……」」」」」
レイガはからかったかのように笑い出すが、全員は彼女のお気楽でいい加減な性格に呆れてしまう。
「コーラ飲む?」
「はい……」
6本の尾は台所の冷蔵庫まで伸びると、冷蔵庫からコーラの缶を取って渡した。
「ところで、アナタは1人でブロドンと勝負したよね?」
「あっ、はい……結構苦戦したけど……」
「ふ~~~ん?」
しばらくするとレイガはコーラを飲みながら、野田を観察しある事を思いついた。
「……どう?私のもう1人の下僕と戦って見ない♪」
「「「「「えっ?!」」」」」
「ゴホッ!ちょっと、なんでいきなり?」
当然のごとくレイガ以外の全員は驚き、野田もコーラで咽せながら尋ねた。
「だって、アナタその時本気じゃなかったでしょ?アナタの本気を見てみたいからね♪」
「いや……だからって……」
「お願い?」
初めは断ろうとした野田だったけど、レイガはおねだりするような目に負けてしまう。
「……分かりました」
「おい!」
「良いのかよ?!」
「はい!交渉成立ね♪じゃあ庭に行きましょう!」
さっそく野田達は庭に出た。
庭は噴水のある池があって花畑もあるが、さらには運動場のような平面地まであった。
レイガはすぐに野田達をその平面に案内すると
「さぁ、来なさい!ヘグラーパー!」
レイガが大声で呼ぶと、大きな地響きが足音のように聞こえて、どんどんと近づいてきた。そして巨大な影と共に野田達の前に姿を見せた。
「これって、妖怪の中でも凶暴なジャバウォック!?」
それは巨大なTレックスのような身体と蝙蝠の羽と、さらに鯰と鬼が合さったような頭部を持ち。そしてとても凶暴で凶悪な魔物と呼ばれた、妖怪・ジャバウォックだった。
「そうよ。でも大丈夫!彼は私に対しては基本穏やかだから♪でも私に危害を加えたら、めちゃくちゃ暴れだすから気をつけてね♪」
「えええええええええ!!?」
そして野田は改めて後悔してしまうのであった。
九尾の妖弧・レイガはオタクで、もう1人の部下はジャバウォックと判明しました。




