第30話 ナイトメアの森
野田とホル達5人が朧バスから降りて、目の前に広がる黒い葉をした森を見た。
「本当に九尾が住んでいるのかな?」
この森の名はナイトメアの森と呼ばれ、この国に7つある危険地帯の1つである。
しかしそんな危険な森に、住み着く妖怪はたくさんいる。
「でも、この地図にはたしかにここに住んでるみたいだよ?」
「それにさぁ、神に近い妖怪ですから、こういう場所に住むものじゃないんですか?」
「ん……たしかにな」
野田はあんまり信じられなかったけど、ホルとソロリックの言葉にとりあえず従う。
だが生えてる木の殆どは、人が埋め込まれているようになって。鴆やヒザマに鳧けいとさらにペリュトンといった怪鳥も、わんさか飛んでいて同じ妖怪の野田達も少し引いてしまう。
「でもさぁ、この森に入って生きて出た奴が、あまりいないらしいからな。仮に脱出してきたとしても、ボロボロな状態になったって」
「ああ、だけど迷って仕方なく、この森に住み着いたって噂もあるし」
倉山とダイゴの話で全員はもっと不安がってしまう。
「でっ!でもこうして、将軍から地図を貰った事ですし!」
麻井から貰った地図に自身を持つホルだけど。
「地図の意味がないのが、この森だろ?」
「あっ!」
その後、ホルはしばらく木の影に蹲ってしまう。
「倉山……それを言ったらお終いだぞ」
「ゴメン……つい言っちゃった」
ダイゴと倉山の周りから暗い空気が漂ってきて、このままだといけないと思った野田とソロリックは、なんとか空気を変えようとする。
「みんな!なに行く前からネガティブになってんだよ?!」
「そうだよ!私は関係ないかもしれないけど、伝説の九尾と出会えるチャンスだよ!がんばらなきゃ!!」
2人が暗くなった3人に、なんとかフォローする。
「そうだね!折角妖魔将軍からのお願いを、聞けずに逃げるなんて秘書失格だよ!!」
「たしかに、ここまで来たからには」
「行ける所まで行って見よう」
とホルが少し元気を取り戻したに続いて、倉山もダイゴも仕方なく明るさを取り戻す。
「じゃあ、行こうか!」
さっそく5人はナイトメアの森に突入した。
それからナイトメアの森を歩く5人だが、薄暗く霧が出てさらに木も動いてどこだか分からなくなってしまった。
「ダメだ……本当に地図なんて意味ないよ!!」
ホルは涙目で地図を破いてしまう。
「おいおい!いくら役に立たなくなったて、いきなり自棄を起こす事ないだろ?!」
野田はなんとかホルを落ち着かせると、他の3人は森に住んでる妖怪に道を尋ねてみる。
「すみません、九尾の住んでるところは?」
「知らん知らん」
「なぁ?九尾については?」
「いやいや、そんな暇ないよ」
「この森を進む方法は?」
「そんなのあったら、元々住んでないよ」
マンドラゴラや一本だたらや釣瓶落としなど、とにかく聞いて回ったが無駄だった。伝説の妖怪と言われた九尾の妖弧が、住んでると噂があっても必ず出会うとも分からないから。
その後も、5人はそくさくと進んで行き。
「とりあえず、あっちに池があるからお昼にしませんか?」
「「「「うん」」」」
5人はさっそく池のほとりでお弁当で昼食を取る。
けど、薄暗い森での弁当はとても嫌な雰囲気に包まれてしまう。
「なんか、弁当が不味く感じる……」
「てゆうか。俺達ちゃんと家に帰れるかな?」
ついに野田はネガティブな発言をしてしまう。
このままでは5人もこの森の住人になってしまう可能性が出てきた。
が
「ちょっと待って!なんかおかしい?!」
ソロリックはなにか不自然なものに気がつく。
「どうしたの?なにがおかしいんだ?」
「だって!なんかこの木の形が不自然だよ!?」
指差したその木は周りの木よりも少し背が低く、ちゃんとした普通の形の木だった。
「いや、不自然って。少し低めだけで普通じゃあ?」
「だから!なんでこんな森の中で、こんな普通な木が生えてるの!?」
必死におかしいと訴えた。
「うん、別のパワーを感じる。なんか術をかけられてるな」
ダイゴに頼んで木を調べて貰い、ようやく信じて貰えた。
「でも、なんでこの木に態々?」
ホルは不思議そうに木を見る。
一体誰がこの木に術をかけたのか。
「とりあえず、切り倒してみたらどうかな?」
「ちょっと切り倒すって……てゆうか、切る道具なんて」
「あるよ!」
「「「「「え!?」」」」」
するとソロリックはペンダントに祈ると光の球が出て剣になった。
「「ええ!?」」
「「なっ!?」」
「あっ!ごめん驚いた?」
驚く4人に謝る。
「どうしてそんな事を?!てか、願望は俺にしか出来ない筈じゃあ?」
「どうやらアーマーを出さなくても、私が念じれば反応するみたい」
野田は小さい声で尋ねると、ソロリックはすんなりと答える。
そしてソロリックはさっそく願望の力で出した剣を使って
「たあっ!!」
力いっぱい木を切り倒したが、その瞬間。
「てっ、なんだ!?」
空間にヒビが入ると5人の目の前に、まるで門のような穴が開いた。さらに上空も少し歪み始めたが、徐々に元に戻ろうとしている。
「そっか……二重幻術の結界か!?」
「じゃあ俺達は、この結界のせいで迷っていたのか?」
「恐らく!この木は結界を維持するものなんだ」
納得していくうちに穴が閉じようとしていた。
「うわっ!穴が閉じようとしている!?」
「早く入ろう!!」
荷物を纏め急いで穴に飛び込むと、そのまま穴は閉じた。
「間一髪だったね」
「それで、ここって一体?」
周りは先ほどと景色は変わらないが、大きく立派な木がたくさん生えていて、不気味な木は全くなかった。
なんとも穏やかで静かな森であった。
「うわぁ!凄く綺麗!」
「空気もあの森とは大違い♪」
ソロリックとホルはこの森を気に入って堪能する。
「おい!?あれは!?」
だが倉山が見つけたのは、大きな西洋の屋敷であった。
「もしかしてあの屋敷が!」
「ああ、九尾がいるかもしれない!?」
「良し!行こう!!」
さっそく屋敷に向かって行ってみた。
が、その時。
「「待て!!」」
「ん?」
突然5人の前に現れたのは、犬の仮面を被って全身鎧を纏った妖怪・ガーゴイルと、カボチャで出来た頭部でローブに首にランプをかけた妖怪・ジャックランタンだった。
「貴様ら、一体何者だ!!」
「どうみても侵入者だな?」
ガーゴイルは右手に剣を左手に盾を装備し、ジャックランタンも槍を構える。
「ちょっと!私達は九尾の妖弧様に届け物を!」
「なにふざけた事を!?」
「あの結界を破いておいて、なんだその嘘は?」
なんとかホルは怪しい者ではないと説得したが無意味であった。
「どうやら信用されてないみたいだな?」
「こういう場合は仕方ないな」
「ホルとソロリックは隠れてな」
こうしてなぜか野田と倉山とダイゴは、ガーゴイルとジャックランタンと戦う羽目になった。
その頃、麻井は護衛の佐村に乗って人間国に向かっていた。
「う~~~~~ん」
「どうしたんですか?将軍?」
本来のペガサス姿の佐村は、なにやら悩んで考え事をする、麻井に声をかける。
「じつは……秘書に、“レイガ”の届け物を頼んだんだ」
「え?“レイガ”って九尾の?!」
「そっ、普段なら俺が行くんだけれど、今はこのとおり……」
麻井は申し訳なさそうに頭を悩ます。
「たしか……あの森は、唯一行き来が出来るのが、アナタと親友のモルトだけだって」
佐村は野田と倉山とダイゴはもちろん、ホルとソロリックを心配し始める。
「違う違う……」
「え!?」
「なんていうか……問題は“レイガ”なんだ!」
するとさっきよりも、悩まされてしまう。
レイガという名の九尾の妖弧は一体どんな人物か。
九尾の妖弧の住むナイトメアの森で、ソロリックがこの森の秘密に気づいて、さらに心の鎧甲の力を引き出すことも出来ました。
はたして野田達は九尾に会うことが出来るか。




