第六話 部屋 二
渡邉はペンライトをしまうと、もう一度最初に取り出した機械を取り出し男の胸に当てた。モニターにはさっきと同じ「match」という文字が表示される。そのままハンドル部分のボタンを5秒ほど押し込むと、男の胸で鳴いていたアラームが止まった。
「契約者ID、NS二八七六七一三J、田中一郎、男性、七十二歳。モニターから死因は心筋梗塞と判定。二月九日〇時五分心拍停止、二月九日一時一六分死亡確認。救急担当者、練馬中央救急隊、渡邉学」
渡邉が手に握る機械に向かってそう告げて私たちの顔を見た。私は軽く頷き、彼が握る機械に向かって口を開いた。
「LPT担当、伊藤眞彦」
長谷川が続ける。
「LPT担当、長谷川玲奈」
ハンドルからピッと音がすると「Authorization(認証)」という文字が浮かんだ。この瞬間、この部屋の主人であった男・田中一郎は間違いなく死んだ。
「こっちの作業は終わりました」
機械を片付けながら渡邉が声をかけてきた。
「ご苦労さまでした」
「後はお願いしちゃって大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。何かありましたらあとで連絡します」
「では」
渡渡邉は手早く機械をケースに収めると、パチンとロックを掛けて部屋から出ていった。
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