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第14話 変な人


 昼過ぎ、侵入者が一段落したところで、通知が来た。


 《送信者:シエル(343位)》


 ルナリアは一瞬、画面を見直した。


「コアさん、また」


「……はい。前回から数えて2回目です」


 開いた。


---


 《ダンフェス、見ました》


---


 それだけだった。ルナリアは少し考えて、返信した。


---


 《見てたんだ。367位だったよ》


 《知ってます。私の方が上です》


---


 ルナリアは画面を見て、思わず笑った。


「コアさん、これマウント取られてる?」


「……取られていると思います」


---


 《前に変って言ってたよね。あれ、どういう意味?》


---


 しばらく返信が来なかった。3分、5分。ルナリアはコハクを膝に乗せながら待った。


---


 《侵入者を観察しすぎ、って噂で聞きました》


 《やたら待つダンジョンマスターがいる、って》


---


 「やたら待つ、か」


 ルナリアは少し考えた。まず見る、というのは確かに自分のやり方だった。


---


 《でも結果は出てるよね》


 《……結果は否定してません。腹立つけど》


---


 ルナリアは思わず噴き出した。


「コアさん、これって褒められてる?」


「……判断が難しいです」


 ルナリアはもう一度画面を見た。


---


 《シエルはどうやって処理してるの》


 《最短で潰す。見てる時間が無駄》


 《長引くと、誰かが死ぬ》


 ルナリアは指先を止めた。


 《効率を優先してる、ってこと?》


 《……それだけじゃないけど》


 《待つくせに、結果は出してますね》


---


 ルナリアは少し黙った。今のは、たぶん褒め言葉だった。


---


 《今度、また話しかけてくれる?》


---


 返信は、すぐには来なかった。1分、2分。


 コハクが膝の上で寝返りを打った。


 画面の向こうで、シエルが何かを打って、消して、また打っているのが、入力中の表示で分かった。


---


 《暇な時だけ》


 《でも、暇な時は割とある》


---


 ルナリアは、その一文を少しの間見ていた。


「コアさん、シエルってこういう感じの人?」


「……前回より、情報量が多いです」


「それは進歩なのかな」


「……おそらく」


 もう一通、通知が来た。


---


 《今度、見せる》


---


 それだけ送って、ウィンドウは閉じられた。


 今度、見せる。それだけの一文が、まだ画面の隅に残っている気がした。


 膝の上で、コハクが大きく欠伸をした。


「コハク、今日もう少し付き合ってね」


 スカイスワローの一体が、上空からの視界を返してきた。まだ昼の光が地表に差している。今日も、もう少し侵入者が来るかもしれない。


 ルナリアは管理画面に向き直った。


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