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第21話 第1回ダンフェス


正午の通知が来た。


《ライブリンク・フェスティバル・オブ・ダンジョン、第1回を開催します》


管理画面が切り替わった。


いつもの管理画面ではない。見たことのない画面だ。広い空間のような映像が広がっていて、その中に光の粒が無数に浮かんでいる。


「……これが強制投影?」


「はい。現在全ダンジョンマスターに同時投影されています。なお、ダンフェス期間中はコアネットの掲示板機能が一時的に解放されます。期間終了後は再び使用不可となります」


つまり今この瞬間、自分以外にもこれを見ているダンジョンマスターがいる。どこにいるのか、何者なのか、全く分からない。でも確かにいる。


光の粒が集まり始めた。何かが形を成していく。


声が聞こえた。


「はいはいお疲れー。第1回ダンフェス、始めるよ」


無機質ではない。でも人間の声でもない。どこか遠いところから聞こえてくるような声だった。それでいて、妙に軽い。


「私が担当神のニルムでーす。今後もよろしく」


「……担当神」


もっと厳かなものを想像していた。でも、全然そんな感じじゃなかった。


「今回も死んだ子多かったねー。50人来て30人残りか。まあそんなもんか。じゃランキングいこっか」


30名。今期で20名が脱落した。その数字が改めて実感として迫ってきた。それを「まあそんなもんか」と言ってのける存在が、この世界を管轄している。


---


画面に順位が表示され始めた。


1位。


《エルラド》


名前だけだった。顔も、ダンジョン名も、詳細は何も出ない。ただ名前だけが、他と違う色で表示されていた。


「……エルラド」


誰も挑まない空気感があった。1位という数字より、その名前の出し方が異様だった。


順位が続く。2位、3位、と名前が出ていく。顔が映る。どのダンジョンマスターも、何かを持っている顔をしていた。


「……みんなすごそうだな」


398位。


《シエル》


銀髪。鋭い目つき。プライドの高さが顔に出ている。でも弱さを隠している感じではない。強さを当然のものとして持っている、そういう顔だった。


《Eランクに昇進》というテロップが出た。


「あ、新人ちゃんの中でEランク昇進はシエルちゃんだけかー。おめでとー」


ニルムの声が軽く流れた。


「……同期トップ」


同じ時期に目覚めたダンジョンマスターの中で一番上にいる。


画面が続く。420位、425位、428位——


430位。


《精霊の遊庭:ルナリア》


自分の名前が出た。顔も映った。14歳くらいの、小柄な少女。それが他のダンジョンマスターたちの間に並んでいる。


《Fランクに昇進》


「……453人中430位か」


思ったより低い。でも、脱落はしていない。世界には自分より強いダンジョンマスターが大勢いる。それを数字で突きつけられた気がした。でも、それでいい。今はまだここからだ。


---


ランキング発表が終わって、ニルムの声が戻ってきた。


「はい次ー。ダンジョンランクの発表ね。今期Sランク昇格はゼロ。Aランクは3件。詳細は各自の管理画面で見てね」


管理画面に通知が来た。


《精霊の遊庭:GランクからFランクに昇進しました》


「……Fランク」


Gランクじゃなくなった。一番下じゃなくなった。それだけで、少し息が楽になった。


「次、新規ダンジョンマスターの紹介ねー」


画面に今期の新規ダンジョンマスターが映し出された。30名。自分もその中の一人として映っている。


「最後にコアネット解放だねー。ランキング・掲示板・DM通信が使えるようになるよ。掲示板はダンフェス期間中だけだから気をつけてね。新人ちゃんたちは初めてだと思うから色々触ってみて。じゃあみんな、良いダンジョン経営を」


ニルムの声が消えた。


画面が元の管理画面に戻った。左上に新しいアイコンが増えていた。《コアネット》。


開いてみる。ランキング一覧。掲示板。DM通信。


掲示板を開いた。すでにいくつかの投稿があった。


《Aランク昇格おめでとう》

《今期の新人、生き残り少なすぎでしょ》

《コアレベル上げてる人いる?意味なくない?》


「……コアレベル」


最後の投稿をしばらく見つめた。


意味なくない?


ルナリアは管理画面を閉じた。


---


3層目の住居エリアに戻った。


アルスがそこにいた。


「……終わったよ、ダンフェス」


アルスは低く喉を鳴らした。


「430位だった。Fランクになった。前より強くなった。それは本当だと思う」


アルスはじっとルナリアを見ていた。


「……これからもよろしく、アルス」


アルスは低く、短く、喉を鳴らした。それから「主」と言った。


ルナリアは少しだけ笑った。


洞窟の奥で、エリンの鈴の音がした。ブレイブは入口付近に立っている。ゴブリンたちがぎゃーぎゃーと騒いでいる。


精霊の遊庭は今日も、静かに動いていた。




——第1章 完——

お読み頂きありがとうございます。

続きが気になる方は【評価】や【ブックマークに追加】を是非とも宜しくお願いします



これで1章おわりですね。


以下コメントで書いていただければ、この先に登場するかもしれません。

今一番困ってますので


・ダンジョンマスター名

・ダンジョン名

・属性

・~系の魔物が多い、こういう戦術を使うとかも記載していただけると嬉しいです。



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