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第17話 侵入者増加


準備期間が明けてから、数日が経った。


毎日誰かが来る。調査隊から始まって、今では一般の冒険者も混じり始めた。DP収入が増えた。それは悪くない。でも消耗も増えた。


罠のリセット費用。モンスターの補充。回復薬の消費。入ってくる分と出ていく分を管理しながら、毎日管理画面を眺めていた。


アルスが部隊をまとめ始めていた。


指示を出したわけじゃない。気づいたらゴブリンたちが前衛、ラット隊が偵察と後方、ピクシーたちが遠距離支援という形になっていた。アルスが動けば全体が動く。そういう仕組みになっていた。


「……思ったより形になってきたな」


その日の朝、ダンフェスまで残り30日という通知が来た。


まだ30日ある。でも、まだしか、とも言えない。


---


問題が起きたのは、その日の夕方だった。


朝から5パーティが立て続けに来た。アルスたちは撃退を続けていたが、消耗が積み重なっていた。罠はほぼ使い切っていた。ゴブリンが2体やられていた。ピクシーも疲弊している。


夕方、また通知が来た。


——侵入者を検知しました。1層目・入口付近。人数:6名。


「……6名」


思わず声が出た。今日6パーティ目。しかも今までで一番多い人数だ。


「コアさん、今の戦力で勝率は?」


少しの沈黙。


「……現状での撃退予測確率:18%」


「18……」


53%から始まって、戦力を整えながら上げてきた。それが今、18%だ。消耗しきっているから当然だ。でも数字を見ると、胸に重く響いた。


罠が使えない。モンスターが疲弊している。でも来てしまった。


「……やるしかない」


アルスを動かす。残ったコウモリを出す。ホーンラビットを前に出す。


6名は手強かった。装備がいい。動き方も慣れている。ゴブリンたちが次々に押されていく。ピクシーの光弾も対処され始めた。


アルスが前に出た。


6名を相手に一人で時間を稼いでいる。でも数が多すぎる。後退する。それでも退かない。


その横を、クレイゴーレムがゆっくりと通り過ぎた。


剣が振り下ろされる。岩の肩が砕ける。それでも止まらない。もう一撃。腕の一部が欠ける。それでも前へ出る。両腕を広げて、6名の前に立ちはだかった。


アルスが体勢を立て直した。ゴブリンたちが戻ってきた。ピクシーが援護を再開した。


侵入者たちが後退し始めた。


「撤退だ」


6名が入口へ向かって走っていった。


——侵入者が撤退しました。DP:+52。


クレイゴーレムは、その場に立ったままだった。


体中に傷がある。腕の一部が欠けている。傾いていた。それでも倒れていない。


「……コアさん、3層目に転送して」


管理画面でクレイゴーレムを3層目に移動させた。ルナリアは急いで降りた。


クレイゴーレムは住居エリアの隅に立っていた。傷だらけの体で、それでも崩れない。


「……頑張ったね」


回復薬を使う。光が傷に染み込んでいく。少しずつ岩肌が戻っていく。


今日の防衛で一番働いたのは間違いなくこいつだった。アルスが指揮を執り、ゴブリンたちが戦った。でも最後に前へ出て、傷を受けながら時間を稼いだのはこの個体だ。


「……名前、つけようかな」


管理画面を開く。名前欄。

 少し考えてから入力した。


『ブレイブ』


——名前「ブレイブ」を付与しました。


クレイゴーレムは何も言わない。でもほんの少しだけ、姿勢が正されたように見えた。


「これからも頼りにしてるよ、ブレイブ」


ルナリアは管理画面を開き直した。


負けなかった。でも、危なかった。18%で勝てたのは運が良かっただけだ。同じ状況がまた来たら、次は負けるかもしれない。


「……これじゃ足りない」


ダンフェスまで残り30日。戦力を増強する。今すぐ。

お読み頂きありがとうございます。

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