第16話 変なダンジョン(ギルド側)
冒険者ギルドの受付カウンターに、また報告書が積まれていた。
受付担当のエリカは3枚目の報告書を手に取って、眉をひそめた。
「……また精霊の遊庭か」
3件。全部同じダンジョン。全部Gランク。でも内容が毎回違う。
1件目。落とし穴・毒針トラップ。撤退。
2件目。コウモリとホーンラビットの連携。転倒トラップ。ホブゴブリン出現。撤退。
3件目。ラットによる監視。罠の連動。ピクシーとホブゴブリンの連携指揮。撤退。
「……同じダンジョンの報告書とは思えないな」
1件目より2件目、2件目より3件目の方が明らかに手が込んでいる。Gランクのダンジョンが3件の間にここまで変わるのは、エリカの経験でも珍しい。
ホブゴブリン自体は珍しくない。でも報告書の動き方は普通じゃない。退路を計算して立ちはだかった。ラットが消えた直後に現れた。まるで報告を受けて動いたみたいに。
3枚とも共通しているのは一点だった。
モンスターの連携が、ダンジョンマスターの指示じゃなくてモンスター同士で動いているように見える。
「……そんなことあるの?」
独り言だった。答えてくれる人はいない。
エリカは報告書をまとめて、要注意フォルダに入れた。ギルドの内部で使う区分だ。ランクアップ前後の動向確認が必要なダンジョンに付ける。
「精霊の遊庭、か」
名前は綺麗だ。でも中身は全然綺麗じゃない。
「……変なダンジョンだなぁ」
フォルダを棚に戻した。
ギルドの中は今日も賑やかで、誰もその棚を気にしていなかった。
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