第14話 初めての採取
朝、管理画面を開くと素材の通知が来ていた。
《自動採取:鉄鉱石×3・薬草×5・木材×8》
アルスとラット隊が動いた結果だ。昨日の夜に偵察を頼んでいた。起きたら終わっていた。
「……勝手に動いてる」
悪い意味じゃない。むしろありがたい。自分が寝ている間にダンジョンが動いている。そういう仕組みになってきた。
薬草を確認する。回復薬の素材になる。今は備蓄が少ない。侵入者が増えてきたら消費も増える。早めに加工しておきたい。
「コアさん、薬草から回復薬って作れる?」
「はい。薬草×3で低品質回復薬×1を生成できます。消費DP:2」
「……DP使うんだ」
「はい。ただし生成した回復薬はモンスターの回復に使用できます」
「じゃあ作っておこう」
薬草5束から低品質回復薬を1本生成した。消費DP:2。薬草2束は余った。頭にメモしておく。薬草が10束集まれば3本作れる。定期的に作り置きしておけばいい。
次に木材を確認する。
「木材って罠に使えるって言ってたよね」
「はい。木材を素材に加えることで罠の耐久性と威力が向上します。現在の罠セットに追加素材として組み込めます」
「今すぐできる?」
「消費DP:5・木材×2で既存の罠を強化できます」
「……やってみよう」
落とし穴を1つ強化した。消費DP:5・木材×2。
管理画面でプレビューを確認すると、落とし穴の深さが少し増していた。落ちた時のダメージも上がっている。
「……地味だけど効くな」
木材があと6束残っている。全部の罠を強化するのに足りるかどうか計算する。罠は全部で4個。木材×2×4=8束必要だ。2束足りない。
「次の採取で補充できそう」
頭の中でスケジュールを組む。今週中に木材を10束集めて、全部の罠を強化する。来週は薬草の加工を増やす。素材が安定して入ってくるなら、少しずつ備蓄を積み上げられる。
考えているうちに、アルスが戻ってきた。ラット隊を連れている。
「……お疲れ様。今日はどうだった?」
アルスは低く喉を鳴らした。管理画面に通知が来た。
《偵察完了》
《新規素材:薬草×4・木材×6を確認》
「……また増えてる」
薬草4束と木材6束。これで木材の備蓄が足りる。
ルナリアはしばらく管理画面を眺めた。
鉄鉱石の採取ポイント。ラット隊の偵察。薬草の自動採取。木材の回収。それぞれが少しずつ動いて、素材が積み上がっていく。
最初は47DPしかなくて、地形変更の120DPすら遠かった。でも今は素材が入ってきて、罠が強化されて、モンスターが自分で動いている。
「……ダンジョンっぽくなってきたな」
誰に言うでもなく、つぶやいた。
アルスが短く喉を鳴らした。
洞窟の奥で、ピクシーの鈴の音がした。
エリンの周囲だけ、ほんのわずかに光が漏れていた。
ルナリアは気付かなかった。
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