表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/41

第10話 称号の謎


朝、管理画面を開いてまず確認したのはアルスのページだった。


《アルス》

《種族:ホブゴブリン》

《フレーバーテキスト:寡黙》

《称号:???》


昨日から変わっていない。???のままだ。


「コアさん、この称号って何?」


「……称号の詳細を特定できません」


「発生条件も?」


「権限不足です」


「……権限不足」


コアも知らない。知れない。

 ということは、鑑定スキルがあれば分かるかもしれないが、それ以上の何かかもしれない。


スキルツリーを開く。ダンジョンマスター系。鑑定Lv1。消費SP:2。


今のSP残高は0だ。Dコア権限にすべて使った。


「……SP、ないや」


閉じる。

 今はどうしようもない。でも気になる。何の称号なのか。なぜ???なのか。なぜアルスに称号がついているのか。


「称号って、普通のモンスターにもつくの?」


「稀にあります。ただし特定の条件を満たした場合に限ります」


「アルスの条件って?」


「……特定できません」


「そっか」


答えが出ないなら、今は保留だ。SPが溜まったら鑑定を取る。それまで待つしかない。


ルナリアは管理画面を閉じて、アルスを見た。


ホブゴブリンになってから、アルスは少し変わった。


体が大きくなったのは当然だ。でも変わったのはそこだけじゃない。


昨日、ルナリアが独り言で「罠の2個目の位置、もう少し右の方がいいかな」とつぶやいたとき、アルスが管理画面を覗き込んだ。そして通路の壁を指で示した。


「……ここ?」


アルスは低く喉を鳴らした。


その位置に罠を移動させてみると、次の侵入者がきれいにかかった。


言葉は少ない。でも伝わる。


「……アルス、今日は何か話せる?」


アルスはしばらく考えるように黙っていた。


「主」


「それだけ?」


「……主」


「そうだね、私が主だね」


アルスは短く喉を鳴らした。満足しているのか、呆れているのか、分からない。


---


今日は罠の配置を見直す日だ。


先日の撃退で分かったことがある。転倒トラップは侵入者の歩幅によって効果が変わる。歩幅の広い侵入者は難なく避けてしまう場合がある。


「アルス、ちょっと来て」


アルスがそばに来た。管理画面を開いて、通路の配置図を見せる。


「ここの転倒トラップ、位置変えようと思うんだけど」


アルスは配置図を眺めた。しばらく見てから、指で別の場所を示した。


「……そっちの方がいいの?」


アルスは低く喉を鳴らした。


理由は分からない。でも昨日も同じようにアルスの提案が当たった。試してみる価値はある。


承認する。


「……なんで分かるんだろうね、アルスは」


アルスは答えない。いつもの静かな目でルナリアを見ていた。


「称号もそうだけど、本当に何者なんだろう」


その視線が、ただ黙っているだけには見えなかった。


---


その夕方、2つのことが立て続けに起きた。


1つ目は管理画面の通知だった。


《宝箱から珍しい素材を発見しました》

《精霊石(低品質):取得》


「……精霊石?」


「精霊系モンスターの強化素材です。ピクシーに合成することで能力向上が見込まれます」


「当たり?」


「はい。通常の宝箱からはほぼ出ません」


「……じゃあかなり当たりか」


頭にメモする。ピクシーへの合成は後で考える。


2つ目は、アルスだった。


管理画面から2層目の森を確認していると、アルスが森の奥の方に向かって歩いていくのが見えた。ゴブリンたちもついていく。


森の奥。ピクシーたちが配置されているエリアより、さらに奥だ。


「……コアさん、あの辺って何かある?」


「現在未探索エリアです」


「未探索?」


「はい。チュートリアルの探索範囲外です。詳細は不明です」


ルナリアは管理画面を眺めた。


アルスは立ち止まって、森の奥を見ている。ただ見ている。


でもその立ち方が、探索しているというより——何かを知っているかのように見えた。


「……アルス、何か見つけた?」


アルスは振り返らなかった。

 ただ、低く短く、喉を鳴らした。

 そして森の奥へ、一歩踏み出した。

 理由も分からないまま。何かに呼ばれるように。




お読み頂きありがとうございます。

続きが気になる方は【評価】や【ブックマークに追加】を是非とも宜しくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ