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自分が大嫌いで人生詰んでた私、超御曹司と入れ替わって価値観がバグる  作者: 秋月心文


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アイデアグランプリ

私の私財を投じて行うアイデアグランプリの発表会の日がやって来た。

どんなアイデアが出てくるのか楽しみだ。


アイデアがプレゼンされていく形式だった。


「それでは、回路開発部の明石より、ご説明させて頂きます」

渋みのある低い声、ハッキリしていて聞きやすい声、何より、安心を感じられる声。どこかで聞いた事があるような…。

って…、お父さん!!。発表者の顔を見ると、間違いなく(明石めぐみの)お父さんだった。

(えぇ~!?。お父さん、いつの間に、この会社に?。)


「この人、いつから、この会社に?」と小声で隣に座っていた新崎さんに聞くと

「最近、中途採用で入社した人ですね。回路設計の経験と、豊富なアイデアが採用の決め手になったそうですよ。」

新崎さんは、何故か、こんな細かい会社の裏事情まで知っている。


「入社には、あなたの口利きがあったとお聞きしていますが?」

え?、あれ?、私と入れ替わる前に明和ともかずさんが、何か話していたのかな?


「あ、あぁ、うん、そうなんだけどね」


(お父さん、頑張って…!)心の中で応援しながら、お父さんのプレゼンを聞いた。

身びいきかもしれないが、とてもわかりやすく、何より、聞いている者を飽きさせない魅力的なプレゼンだった。

お父さんが、すごくカッコよく見えた。(いや、もともと、カッコいいんだけど…)


プレゼンの内容は「マイクロプロジェクター」という技術だった。

投影距離はとても短く、投影サイズはとても小さく、視野角も狭かったが、

ガラスの上に半透明なスクリーンを貼り付けて作られている。

そこにプロジェクターから投影する事で、日中の屋外でも、鮮明に見えるというものだった。

一般的なプロジェクターは、照射する光を如何に明るくするかを考えるが、

この技術は、逆転の発想で、「収束反射方式」という独自技術を用いて、プロジェクターからの光を、如何に無駄なく反射させるかというものらしい。

自動車用のHUDくらいしか利用シーンはないと思われたが…。

そういう分野に進出するのもアリかもしれないというのが、他の上の人達の反応だった。


お父さんのプレゼンの後に「視力補正アプリ」とか「糸電池」という技術のプレゼンを聞いた。

あまり頭に入って来なかった。

凄い技術なんだろうけど、発表者は、どこか自信なさげで、声も小さく、何がポイントなのか伝わってこない。

発表者は、緊張しているのか、体がゆらゆら揺れていて、見ていて落ち着かない。

資料も見づらく、要点がボヤケてよくわからない感じになっていた。


誰でも知っているような冒頭の背景説明を長々と説明し、時間を無駄に浪費した挙げ句、

肝心のポイント部分を説明する時間がなくなり、そこだけ早口での説明となり、

ただでさえ小さな声なのに、余計何を言っているのかよくわからないといった感じだった。

正直、聞いているのがしんどく、半分以上眠っていた。眠さと戦っていた事以外、記憶に残っていない。


「視力補正アプリ」は、

手元の資料によると、目の前に特殊なパターンを投影し、そのパターンを通して、その先を見る事で、

視力が低い者が、メガネのようなレンズなどを用いなくても、遠くのものまで良く見えるようになるという技術だ。

高齢になっていくと「ピントが合って見える範囲」が狭くなってくらしいが、

メガネのレンズのような「光学式の視力補正具」では、それを回避出来ないのに対し、

この技術を用いた方式では、高齢者でも、若いころと同じような「ピントが合って見える範囲」が得られるらしい。


これを実現する為の「理論」とかは、資料を見ても全く理解出来なかったけど、

これを通して見る事で、視力が3.0になったくらいに見えたので、視力が低い人にも有効なのだろう。


「糸電池」は、

手元の資料によると、充電池を特殊なマイクロカプセルに封じ込め、それを糸のようにつなげたものらしい。

普通の糸のように、織機で布にする事も出来るなど、自由自在の形状の電池を作り出す事が出来る。

液体を使わない固体式充電池なので発火、発煙のリスクも低いとか‥。

給電と放電は、特殊なアダプタを通さないと出来ない仕掛けになっている為、糸電池で作られた服を、

フル充電した状態で、洗濯機で洗っても、放電する事なく、フル充電状態が維持されている上に、安全性も問題ないという。


こちらも、実現する為の「理論」とかは、資料を見ても全く理解出来なかったけど、

実際に、これで作られた服をビショビショに濡らした状態で、

服の中の電力を使っても、使う電力も減らず、ショートもしない事を実演され、いろいろな事に使えそうな将来性を感じた。


こうして発表会は終わり「マイクロプロジェクター」がグランプリに選ばれた。

(決して、身びいきなんかじゃないんだから…)と心の中で言い訳をしながら、表彰状と、賞金をお父さんに手渡した。

そして、会議の後、私の部屋に来てもらうようにお願いした。

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