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自分が大嫌いで人生詰んでた私、超御曹司と入れ替わって価値観がバグる  作者: 秋月心文


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技術課見学

今日は、昨日とは違う会社に出社する。


今日出社する会社は「アンサラー (Answerer)」という医療関係の中小企業だ。

この会社でも、たちばな 明和ともかずは、特別顧問を努めている。


加地さんの運転する車で、新崎さんと会社に向かう。

この会社でも、加地さんや、新崎さんは、それぞれ、請負の運転手、秘書という扱いになっている。


この会社のIDカードは「ファフニール (Fáfnir)」のような持ってるだけで…とはいかない。

IDカードをドアの横のカードリーダにタッチして、特別顧問の部屋に入る方式だ。

この会社は、社長も、新入社員も、同じように「さん付け」で呼ぶような社風で、

IDカードも役職によって、色などが変わる事はなく、白色で姓と写真がついている。


この会社も「ファフニール (Fáfnir)」同様に、将来を支えるような新たな技術開発計画がないんじゃないかと少し気になった。

昨日のアイデアグランプリは、ちょっとやりすぎみたいだったので、今日は、自分の足で、技術発掘を試みる事にした。


将来に向けた技術開発は、技術課という部署で行っているらしいので、技術課に顔を出してみた。


すると、私の顔を見た途端、一人の男がこちらに駆けてきた。

技術課長の濱田さんだ。

口が先に生まれてきたような「おしゃべりな人」で、西州なまりのある話し方をする。


・ ・ ・ ・ ・


 補足説明

 この国「瑞穂(この世界の日本)」は、四州制を導入しています。

 都道府県の上に「州」がある感じです。

 ・東京や名古屋を中心とした政治の中枢 :東州

 ・大阪や京都を中心とした 商業の中枢 :西州

 ・北海道を中心とした農林水産業の中枢 :北洲

 ・九州や瀬戸内海が中心で鉱工業の中枢 :南洲

 という感じで、西州は、ほぼほぼ関西と認識してもらえば、いいかと…。


・ ・ ・ ・ ・


「技術課に何か御用ですか?」

「えーと…。3年後、5年後を支えるような技術開発があったら見せてもらえないかな…と思って…」

「なるほど。ご期待に添えれるか、わからんですけど、いろいろ「面白い(おもろい)」もん作っとるんで紹介しますわ。」


「うちは「精子や卵子の凍結保存サービス」を行ってるんですが、

 現状の卵子の「採卵」には「排卵誘発剤」などの薬を用いてる事もあり、多少なりとも副作用が懸念されます。

 そこで、薬を用いず、自然な流れの中で「採卵」が行えるシステムを開発中です。」

そうして、ある部屋に案内された。


そこで、生理用品のような器具を見せられ、

この器具には「カプセルフリーザ」というものが埋め込まれております。


「カプセルフリーザ」は、高分子吸収素材を経由して吸収したものの中に、卵子が吸収されると、それに反応して凍らせる仕組みになっています。

吸収後に、凍らせるので、外側は冷たくありません。

そして、凍らせた後、微弱な信号を発信する仕掛けが施されています。


これによって、膣内に、この器具を装着して、普通に生活頂けるだけで、この器具が卵子を凍結した状態で回収し、スマホにそれを通知するので、器具を外して冷凍BOXに入れて、当社に送ってもらうという流れで「採卵」が行われるというシステムです。


今、隣国の「麗羅」で実用化された「人工子宮」のライセンス契約の締結を進めておりますので、それと合わせる事で、「精子や卵子の凍結保存サービス」だけでなく、近い将来には「人工出産」までサポート出来る見込みです。


なんだか、この会社では、数年先の事もまで見据えた技術開発計画が用意されてたようで、心配する必要はなさそうだ。

「すごいですね。先々までの成長目処もあって安心できますね。」

「まだ開発途上ですけどね。でも、必ず実用化させますんで、待ってて下さい。」


・ ・ ・ ・ ・


 補足説明

 麗羅れいらは、この世界の朝鮮です。

 この世界では、王朝が途切れる事なく、現代まで、強い王政を維持出来ています。

 よって、他国の統治下に入った事もないし、南北に分裂もしていない。


 王様の絶対的な命令により、様々な先進技術を開発させてるが「人工子宮」も、その1つ。

 「人工子宮」の実用化に成功し、市販しているのは、この国だけである。 


 「人工子宮」は、倫理上の課題があり、研究が難しいとされる技術。

 「実用化」には「実験」が不可欠だが、「実験」に「失敗」すると、

 「生まれてくるハズだった子供を殺人」した事になるという

 倫理上の課題を抱えていた。

 また、宗教上の問題で、研究出来ない国もあった。


 しかし、麗羅では、王様の命令は絶対であり、

 宗教上の問題や、倫理上の問題があっても、王命であれば、それらは無視出来る。

 そうして、王命で研究させた事で、世界で唯一「人工子宮」の実用化に成功した。 


・ ・ ・ ・ ・


「あ、折角やし、他の珍しいもんも見てってもらいましょか。

 需要もなさそうやし、失敗作という認識なんですけど、話のネタくらいには、なるかもしれへんし…。」

そう言って、別な部屋に案内された。そこには、肩載せ式の見慣れない機器が置かれていた。

普通、失敗作を会社の重役に見せたがる者はいないが、あえて、それをするのが、この男の奇特なところなのだろう。


「これは?」

「エアマスクっていうんですがね…」

肩に乗せ、顔の前面に透明なスクリーンを配置すると、肩に乗せた器具から風が出て来た。

「顔とスクリーンとの間に、

 空気の保護層を形成する仕掛けで、マスクをかけるのと同じ効果を実現してます。

 スクリーンなしでも、それなりにウイルスを防ぐ効果はあるのですが、

 医療用にまでしようと思った場合、このスクリーンをつけんと、防護能力が満たされんのです。」


何より、顔に直接触れる部分がないので圧迫感がない、肩に乗せているのに不思議と肩がこらない。

「肩こりを防ぐような磁場も形成していますので、器具を乗せていない時より、肩こりにもなりにくいんです」

「へぇ~っ、すごいじゃないですか」

しげしげと、装置を眺めて見るが、結構良い感じだ。


「あれ?、でも、これが、なんで失敗作?」


「高いんですよ。マスクなら、どんなに高くても1万円くらいでしょう。こいつは数万円しちゃうんですよ」

「なるほど…。でも、面白い技術ですね。将来安くなる事を期待していますね」

「ハハ…。ありがとうございます」

そんな話をしながら、頭の片隅に何か引っかかるものを感じた。


「あの…、これ、少し貸して貰ってもいいですか?」

「いいですよ、興味持ってもらえたんなら嬉しいです。ただ、一応開発中の技術なんで、拡散したりしないで下さいね」

「わかりました」


こうして、「アンサラー (Answerer)」での1日は終わった。

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