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自分が大嫌いで人生詰んでた私、超御曹司と入れ替わって価値観がバグる  作者: 秋月心文


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初めての出社

今日は、生まれて初めて会社に出社する。

だから、なんだか、そわそわしている。


たちばな 明和ともかずとしては、いつも通りの事なのだが、中身が「明石めぐみ」の自分としては、初めての出社だ。


今日出社する会社は「ファフニール (Fáfnir)」。

一流ではないが有名なスマホメーカーだ。特に派手さはなく、今ひとつ地味な印象がある。

(たちばな) 明和(ともかず)は、タチバナグループ傘下にある二つの会社の特別顧問をしており、それぞれの会社に、週に二回出社し会議に出席する事になっている。

それだけで、普通の社員よりも多くの給料が貰えるのだからすごい立場だと思う。


この会社の主力機種「ミョルニル(Mjollnir)」は、

壁に思いっきり叩きつけても壊れない頑丈さと、コンパクトさに加え、ゲームに特化した仕様で有名だ。

使わない時には小さくポケットにしまえた?とかいう伝説の武器が名前の由来らしい。


この会社の最新機種のCMは、元気いっぱいさが売りのカワイイ女性俳優が、彼氏に浮気されて、

彼氏が浮気相手に電話しているスマホに向けて、自分のスマホを叩きつける。

彼氏のスマホと自分のスマホは、そろって、後ろの壁に激しく叩きつけられ、

彼氏の持つ某有名メーカーのものに酷似したスマホはバッキバキに画面が割れるのに、

自分のスマホは無傷なところを見せるもので、

「どんなにムカついても壊れない」というキャッチフレーズが有名だ。


加地さんの運転する車で、新崎さんと会社に向かう。

この会社からは、加地さんや、新崎さんは、それぞれ、請負の運転手、秘書という扱いになっている。


IDカードを首にかけ、特別顧問の部屋に入る。

カードをカードリーダーにかざさなくても、持参しているだけで自動的にロックが外れる非接触方式だ。

色は役職によって違っていて、特別顧問のカードは、金色だ。如何にも偉い人用って感じだ。


今日の会議は、中期経営計画案の事前審議。

会議前に、資料をチラチラめくって見た後、新崎さんに目で助けを求めた。


新崎さんは、少しの間、こちらをしげしげと眺めたうえで、何か納得したという顔をして、大きなため息をついて、こう言った。

明和ともかずさんは、いつも、何も言わずに皆のお話を聞いておられます。それだけです。いつも…。」 

「えぇ、わかっています。いつも通りに…。」そう答えた。


会議の時間になり、会議室に移動したが、延々と長い説明が続く、とても眠いものだった。

そんな説明が終わり「橘顧問から何かありますか?」と聞かれてしまった。


頷くだけだと教えられていたので、何も考えていなかった。

(え、えーと、ど、どうしよう…。何も、思い浮かばない。)


とりあえず、PC経由で配布されている手元の資料を眺めてみる。


中期経営企画会議とか書かれている。

この会議は、今後、5年間、この会社は、何をしていくかを議論するものらしい。


資料はとてもわかりやく要約されていて、会社の状況は、すぐに頭に入ってきた。

要するに、この会社の収益は、ほとんどがスマホの収益だけで成り立っている。


スマホの市場規模は横ばいか下降傾向にあり、その中で、各社がシェアの奪い合いをしている。

その為、業績は横ばい、減益にならないように頑張ります…という感じで、

それを実現する為の方法は、何一つ書かれていない。


将来を支えるような新たな技術開発計画もなく、特に代わり映えのない新機種計画だけが書かれており、

ただただ、頑張るという精神論を主張しているようにしか感じなかった。

(何これ?、大丈夫なの?。この会社?。)


会社の偉い人たちが私の言葉を待っている。沈黙が続く。

他に、思いつく事がなかったので、とりあえず、思った事を口に出してしまった。


「スマホの市場規模が、横ばいか下降傾向なのが、わかっているのに、

 今と同じようなスマホだけ作っていて大丈夫なんですか?。

 もっと先を見て技術開発していかないと、5年後は、もっとやばくなってるんじゃないですか?。

 これって、3年後、5年後は、どうあるべきかを計画する為の会議ですよね。

 今のままで5年後、大丈夫なんですか?。

 5年後どうあるべきかという事を明確にして、

 それを実現する為に、今から、何をしていくべきか考えてくべきじゃないですか?。」

(思いついたことをまとめもせずに口にしたので、同じような事を何度も繰り返してし言ってしまった…。)


会議室に集まった偉い人達が何やら、口をパクパクさせている。

どうやら、言いすぎてしまったらしい。


新崎さんが、小声で助け舟を出してくる。

「アイデアグランプリでもしてみたらいかがですか?」


こくんと首をうなづかせ、そのアイデアをパクって口に出してみる。

「社内で、アイデアを競い合う「アイデアグランプリ」を開催してみませんか?。

 5年後なら、どういうものが作れる…とか、

 5年後なら、どういうものを作ってみたいか…というアイデアを募集するんです。

 今持ってる技術を使えば、こんなものが作れますってのも、大歓迎です。

 賞金は、私のポケットマネーから出しましょう。

 もし、そこで良いものがあれば、今後の展望に、それも考慮するという事で、どうでしょうか?。」


「おぉ!」感嘆の声が聞かれた。


新崎さんが、少し驚いた顔をしている。

(あれ?、そういうのじゃなかった?)


こうして、私の記念すべき初出社は、失言と、無駄遣い?の上塗りで終わった気がする。

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