↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
存在感ゼロの女子中学生、入れ替わりで、どん底の会社を次々再生:来週金曜20時最終話  作者: 秋月心文


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/19

ゲームを守るために命を削る社員たち

 「アンサラー (医療機器メーカー)」の顧問を解任された際、代わりに「アスカロン (ゲーム配信会社)」の顧問を命じられていた。


この会社は、明石めぐみが大好きな『True Dream Fantasy』で有名だ。

……というより、今はそのゲームしかない。

 一部の重課金者によって、かろうじて支えられているゲームだ。

 しかし、ユーザ離れが進んでいる。


 業績不振でリストラも行われた。

 それでも経営はギリギリだ。

 残った人は少数精鋭と聞くが、いつまで残ってくれるかわからない。


 そんな時に明和(ともかず)が、1日で1000万円もの超絶課金をしたので、それなら、任せてみるかという話になったらしい。

 任されたからには、この会社を立て直さないといけない。


 まずは、現状把握から始めよう!


――アスカロン (ゲーム配信会社)の本社を訪れた――


 加地さんの後任のボディガードの運転で向かう。

 正直、ちょっと寂しい。


 朝――

 会社の中は、ほとんど誰もいない。

 夜型の社員が多いらしい。


 「裁量労働制」が導入されている。

 1ケ月の間に所定労働時間をこなせば、

 出勤しない日があっても良いのだそうだ。


 14時をすぎたあたりから――

「おはようございます」

 そう言って、社員たちが出勤してくる。

 いや、そういう時間じゃないでしょ。


 覇気がなく下を向いて歩いている。

 会社に寝泊まりする生活が定着しているらしい。

 目の下には濃いクマができていた。


――社員食堂――


 社員食堂は閑散としていた。

 近々、食堂の廃止が検討されているらしい。

 そんな感じなので、メニューは日替わり定食しかない。


――居室(作業室)――


 一人一人がパーテーションで区切られた、

半個室のようなところで作業している。


 それぞれのスペースには……

 コの字型に配置された机。

 デスクトップPCが3台。

 モニターが3台。

 50インチの大画面モニタが1台。

 それでも、様々な書類を広げられるスペースがあった。


 スティックタイプやゼリータイプの「栄養調整食品」や、おにぎりやパンを食べている姿が目につく。

 コーラとポテトチップスを「食事」と称してる人も少なくない。

 しかも、食事の時間は、各自バラバラだ。


 深夜24時を超えても、開発部や評価部の照明が消えることはなく「不夜城」と呼ばれていた。


――日常?――


 今日だけで、仕事中に救急車が3度も来た。

 最初は事故かと思った。

 だが違った。


 いずれも、仕事中に社員が倒れたからだ。

 高齢ならまだしも、若い社員ばかり。


 ある者はパソコンの前で急に意識を失い。

 ある者はふらついて階段から転げ落ち意識を失い。

 ある者は歩いている時に突然倒れた。


 誰かが倒れると、周囲の社員が即座に集まった。

 慣れた感じで、倒れた社員がやりかけていた仕事を分配した。

 倒れた社員も、いつ倒れてもいいように、

 誰が見ても状況がわかるような配慮がされていた。


 必要最低限の人数だけが残り、

 残りの社員は仕事に戻っていった。

 実に手慣れている。

 彼らにとってこれが日常らしい。


「評価部で倒れてないのは、白石だけになったな……」

「あいつ、今月、まだ2度目だな」

「先月は、毎週倒れてたよな」

「だいぶ体調良くなったんじゃないか」

「俺も気をつけないとな……」

……という声が、聞こえてくる。


 時間的にも、食事的にも、思いっきり不健康だ。

 そうならない方がおかしいのかもしれない。


 少なくとも、

 健全な会社の状態を、維持できてるとは思えなかった。


――会議室――


 会議室に、それぞれのキーマンに集まってもらい話を聞いた。


 話の節々から、ゲームへの強い熱意が伝わってくる。

 開発も評価も、本当に好きなのだ。

 まさに、ゲーム作りのために生まれてきたような人たちだった。

……だけど、覇気が感じられない。


 「裁量労働制」を採用してるため、残業手当は出ない。

 真っ当に残業手当を出すと、誰かをクビにしなければならない経営状況らしい。

 1人でも減ると人員不足で開発も評価もままならない。

 だから、この現実を受け入れ、残業手当なしで自主的に長時間労働をしてるという。

 だけど、皆、今にも死にそうな感じしかしない。


 今は、True Dream Fantasyの

 アップデートのための仕事で手一杯だという。

 そのアップデートのせいで、

 ユーザーが離れていることに気づいてないのだろうか?


 True Dream Fantasy以外の

 新製品の開発ができる余裕もないみたい。


 誰一人、この会社が生き残るとは思っていない。

 ただ、最後までゲームを守りたい。

 そんな思いだけで働いているように見えた。


 明和(ともかず)は、

 こんな状態の会社を立て直さないといけない。


 会議室で皆の話を聞き終えると、こう宣言した。

「今日と明日は休日にします。

 その間、仕事をすることは許しません」

 それに賛同する者はいなかった。

 会議室の中に怒号が飛び交った。

--------------------------------------------

 お読みいただき、ありがとうございます!


 少しでも楽しんでいただけましたら、

 ★や【ブックマーク】で応援していただけると、

 今後の創作活動の励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。