襲撃
「じゃ、帰りましょうか……」
今日も、いつものように、ボディガードの加地さんの運転で、家に帰る。
今日の晩御飯はなにかな……
脳天気な事を思いながらの日常だ。
だけど……
――この夜は「いつも」と、違っていた――
なぜか、いつもは通った事もないような道を通り、何度も、何度も、道を曲がる。
その上で……加地さんが、ボソリとつぶやく。
「つけられてるな……」
そう言われて後ろを振り向くが……
「振り向いちゃ、いけやせん!」
黒塗りの車が、後ろを走っていた。
明和は、かなり視力が良く、夜目も効く。
私が振り向いた途端、彼らの顔が変わったのが、わかった。
あ……!? と思った矢先、彼らは、私の「顔」を確認したらしく、急に車間を詰めて来た。
そして、ヤツらは、窓を開けると、窓から手や顔を出すと……
バン……、バン……
後ろの窓ガラスに、複数の弾の跡と、ひびがはいった。
防弾とか言われてた強固な窓が……
……銃撃してきた!!
「舌噛むんで、口開けんでくださいよ!」
加地さんが、回避すべく、車をジグザグに走らせる。
「念のため、頭低くしといてください!」
チュン、チュン……。
車の外壁を、弾がかすっていった……そんな感じの音がした。
ヤツらからの銃撃が続く。
ボボボボボボ…………。
低く響くエンジン音が聞こえてきた。
「ヘリだと……!?」
そのヘリからと思われる砲撃だろうが……
バララララララ……
そんな音が聞こえて来たかと思うと、そのうちの1発が、この車のエンジンやら、何やらを貫いたようだ。
急に車の制御が出来なくなる。
「くそっ……、車から出るぞ……」
そう言って、加地さんが、何か操作すると、私たちの椅子が……。
個々にエアバックで包まれた状態で、車から飛び出した。
うわ……。こんな仕掛けが!?
半分、ちょっと楽しいと、不謹慎な事を思いつつも、驚いている間もなく、加地さんに手を引かれ、現実に戻される。
――私たちは、近くの林に逃げ込んだ――
その間も、敵の銃弾が飛んでくる。
そうしているうちに、
もっとたくさんの黒い車が集結してきた。
今、とっても、すごい数の人たちに追われている。
しかも、上空には、さっき、私たちの車を破壊したと思われる機関砲を持ったヘリが飛んでいて、時々、無差別に、この森の中を砲撃し、木をなぎ倒している。
隠れる場所が無くなるのも、時間の問題だろう。
シュウン……。
そんな音が聞こえたかと思うと、加地さんが、私の上に覆いかぶさった。
ドォォォン。
耳が痛いくらい大きな音がして、目の前で、大きな爆発が起こる。
こちらは、明らかに劣勢だ。
逃げてる間にも、ボディガードの人が撃たれて倒れる。
何かのゲームみたいに、頭を撃ち抜かれた。
人が殺されるのを見ると、錯乱しそうに感じると思っていただが、
あまりの非現実感に、ゲームをしている錯覚さえ覚えた。
助けに行こうとするが、加地さんに、引き戻される。
「捨て置きなさい。俺たちには、何も出来ません……」
そう言いつつも、
加地さんは、懐から出した「大きな拳銃」みたいなもので応戦した。
バララララ……
加地さんが引き金を引くと、連続する銃声が響く。
これ、連続で撃てるヤツなんだ……!?
正直、この国「瑞穂」では、銃器の携帯は違法だ。
そう言えば、前に、加地さんが、例外で銃器を所持できるライセンスを、持ってるって言ってて、それを見せてもらった事があったっけか……
味方が、こういうのを持っているのは頼もしい。
だけど、相手の数が多すぎる。
前から、オフロードバイクの集団が現れた。
そして、言うまでも、彼らも武装している。
もう、ここで終わりなんだろうか……。
「諦めちゃ、いけやせん……」
そう言われるものの、絶望しか感じない。
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