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存在感ゼロの私、入れ替わりで世界の中心に立つ  作者: 秋月心文


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及び腰、そして、再会

――アンサラー (Answerer)にて――


 お父さんと共に「アンサラー (Answerer)」で、試作品を披露し、

これを両社で共同で作るには…という事を話し合った。


 コアになる部品をアンサラーで製造し、

技術提供によるライセンス生産というカタチで話がまとまった。


――ファフニール (Fáfnir)にて――


 中期経営企画会議に先日の試作品「iスクリーン」と、

3年後、5年後、10年後のロードマップを提示した。


 主要な部門の部長クラスまでは、

お父さんが「根回し」をしてくれているらしいのだが、

問題は、それよりも上の人たちだ。


「前例のないケースは……」


「売れる保証もないモノは……」


「事前アンケートを取って確認しようにも斬新すぎて機密保持が難しい」


「もし失敗したら、ここまで築きあげてきたブランドイメージが……」


……など「出来ない理由」を並べ立てて及び腰だ。


 この会社のトップの中には

「出来る方法を考える」建設的な者は一人もいなかった。


 トップの人達が、こんな調子なので、

せっかく根回しを進めてきた関連部門の部門長も話を切り出せないでいる。


 決定権のあるトップの人達がそんな調子だから、

この会社からは、斬新な商品が生まれて来ないのだろう。


新崎さんに、目配せをすると…、小声で説明をしてくれた。

「要は彼らは、自分達がリスクを負いたくないと思っているのでしょう。

 ですが、商品開発というものは、元よりリスクを伴うものです。 

 株式会社は銀行や株主から預かったお金で行動していますから……」


「わかりました。

 それでは、この商品は、

 ファフニール (Fáfnir:スマホ製造会社)でも、

 ミョルニル(Mjollnir:スマホ機種名)でもない、

 新ブランドから発売します。

 そのために必要な資金は私が用意します」


「収益は、

 ファフニール (Fáfnir)のものとする代わりに、

 必要な人員だけを貸してください」


 トップの人達は、ポカンとしていたが、

やがて、自分の立場を脅かすものではないと悟ったのか、

承諾してくれた。


 逆に言えば、成功しても、

彼らの手柄にはならないという事を意味しているのだけど…。


 関連部門の根回しは事前に終えているので、

人材の確保、当面の開発スケジュールとかは、既に折込済みだ。


 こうして、新ブランドによる

「iスクリーン」商品化計画を、始動する事になった。


――1年後――


「iスクリーン」の開発始動が決まってから、約1年が経過した。


 もう、この商品を売り出す為の、会社も出来上がっている。


 この会社は、工場を持たない販売専門の会社だ。

開発・製造は、ファフニール (Fáfnir)に任せている。


 会社名は「シグルズ(Sigurðr)」。


 伝説の竜「ファフニール (Fáfnir)」を、

討ちとったという英雄の名前だったりする。


「iスクリーン」は、開発前から、

商品がカタチになっていた事もあり、

開発は順調に進み、発売に向けた準備が進められていた。


 宣伝部から、CMキャラクターとして、

今、巷で大人気の学生モデルを起用したいという話があった。


 何度も、何度も、強く推してくる宣伝部担当の圧に負け、

学校が休みとなる日曜日に、宣伝部の人と共に、

会社近くのファミレスで、面会する事になっていた。


 マネージャーとおぼしきスーツ姿の女性に連れられた

制服姿の少女がやってきた。

制服が可愛い事で有名な女子高の制服だ。


 明石めぐみも、その制服に憧れていたが、偏差値が高すぎて、

自分ごときの学力では高値の花と思うしかなかった。


 挨拶の為に、席から立ち上がり、名刺を用意する。

橘 明和になってから、もう1年、名刺交換も、すっかり慣れた。


 こちらに近づいてきた二人を改めて見た時、少女と目があった。

その瞬間、心を射抜かれるような感覚を覚えて、固まってしまった。


――超絶美少女がそこにいた――


 ニキビひとつないツヤツヤの肌、

サラサラでカールをおびていないロングヘア、

純粋で澄みきった瞳、

演技感を一切感じない優しさにあふれた笑顔。


「か、可愛い…」


思わず声が漏れていた。

相手にも、その声は聞こえてしまった事だろう。


しかし、何だろう。どこかで見た事がある。

それも、そのハズ……。


――私(明石めぐみ)だった――


その姿は、まぎれもなく、明石めぐみだった。


心の中では、自分へのツッコミが連発していた。

(ちょっと待って、相手は私じゃない?。

 なんで、こんなにキレイになってんの?。)


でも、彼女の

「心の底から吸い込まれそうな澄みきった瞳」

を見ていて、確信した。


(この目、間違いない、あの時のコだ。

 このコが、たちばな 明和ともかずだ。)

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