第81話 全国カバーライブ「wonderful world vol.1」⑥
「喉慣らしたいので、schweinの椅子からいいですか?」
「了解〜」
その返事と共にシンバルが鳴り、イントロが始まる。比較的うるさい方が喉にいいのだ。
「OKです。第三帝国から始めましょうか。」
そう言って私はマイクを持って、プレミストドームの客席に立つ。Bメロまで歌って一旦演奏を止めた。
「ここまで音があまり聞こえないので、音響さん全体的に少し大きくしてもらえますか?」
「了解〜」
少し音量が上がる。だいぶ聞きやすくなってきた。
「音響さんOKです。照明さん、ステージの明かり、少し明るくしてもらえますか?」
「はーい。どうかな?」
うん、みんなの顔がはっきり見える、
「ありがとうございます。OKです。」
あと気になるところは.無いかな」
「流石、元プロデューサーだね。」
「持田さん。どうしたんですか?」
「いや、開始前のステージってあまり見ないからさ。見とこうと思って。」
「やっぱり気になっちゃいますよね。音響もそうですけどファンのみんなにどう聞こえるか。」
「ファン思いだねぇ」
「ファンの方々がいないと生活出来ないですから。」
world wonder!が始まる。つい歌ってしまう私。持田さんはにこりと笑いながら、出て行った。
リハーサルは順調に終わって、メイクをしていると杏がやってきた。
「うわー、楽屋広ーい!」
「なるべく片付けが楽になるように荷物少なめにしてるから余計にね。」
「結依のステージ楽しみだなぁ。」
「今日こそバイキングだね。」
「うん!」
「結依さん出番でーす。」
「はーい。じゃあまた後でね。」
「うん!」
ステージへと向かう。Deityが流れていた。
Deityが流れ終わり、THE IIID EMPIREのイントロが流れると同時にマイクを奪い、叫んだ。
「行けるか!プレミストドーム!!!」
「うおおおおお!!!!」
THE IIID EMPIREからINCREASE BLUEへ。会場はカオスと化していた。
そこから懐春へと流れていく、あれだけ頭振ったり逆ダイブしていた聴衆がしっとりとしていた。
次の曲は予感だ。この後また暴れるからね。
そのまえにMCが入る。
「大和ハウスプレミストドーム満員ありがとー!」
「結依ちゃーん!」「結依ー?」「結依ちゃーん!」
「うんうん。このドームって約5万人収容出来るんだって。正直言って集まらないだろうなって思ってた。でも違ったね。こんなに席が埋まるくらい、集まってくれてありがとう!
「結依ちゃーん!」「結依ちゃん!」「大好きだよ!」
「嬉しい。本当にありがとう。次の曲。行くね。知ってる人はフリお願いしますね。聞いてください。脈」
変拍子満載なイントロを聴きながら、私は客席を見ていた。みんな揃ってフリをしていた。
「got for gimmick…devise」
のシャウトから間髪を入れずにAshへと行く。みんな頭を振っていた。5万人のヘッドバンギングはすごい。
Ashから鬼眼-kigan-へ。やり取りが面白いので、この曲は好きだ。
あっという間にライブは終わる。
「みんな今日は集まってくれて本当にありがとう!次の曲が最後です。メールで配信したと思うけど、志乃ちゃんは今、熱を出して寝込んでます。なので第2部はトークショーになるよ。だから最後の曲だけだけどみんなのコエワを志乃ちゃんに届けてね。じゃあ聞いてください」
-I'll-のイントロが流れて歌い出しのところで、
「バーカ!!」
残-zan-に曲が変わった。高速バージョンだ。
10分間、ファンの方々は頭を降り続けた。楽器隊に目を合わせ、残-zan-を終える。
「今日はありがとう!またね!」
マイクスタンドにマイクを戻し、客席に手を振りながらハケていく。もう時間が押しているのだ。
会場内には終了アナウンスが流れている。私は楽屋でメイクを落としていた。この後は食事会らしい。
この後も頑張らなければ。




