第80話 全国カバーライブ「wonderful world vol.」⑤
「涼しー!」
ここは北海道。エスコンフィールドを大和ハウスプレミストドームと間違えたが、とりあえずチケットは完売したらしい。寒いくらいだ。激しい曲中心にして良かった、
「ホテルの部屋は結依ちゃんと杏ちゃん、莉緒ちゃんと皐月ちゃん、明日香ちゃんの組み合わせだからねー。夕食と明日の朝・昼・夕食はバイキングだから楽しんでね。」
「はーい!」
「久しぶりに結依と一緒!」
「そうだね、バイキング楽しみだね。」
「うん!」
部屋は広く、景色もすごく良かった。杏がベッドにダイブする。
「すっごいふかふか!気持ちいいねぇ。」
「うちもそろそろお布団かえなきゃだね。」
「そうだねぇ」
杏がはしゃいでいる間にセットリストを見直す。まだ杏はベッドの上で飛び跳ねていた。
「落ちるよ?」
「大丈夫…きゃっ」
「あーあーだから言ったのに。大丈夫?」
「痛たたた…背中打った…」
「立てる?」
「うん…きゃっ」
2人の足が滑り、私はベッドに結依を押し倒していた。
「ちょ、ちょっと」
「たまには私が上でもいいよね?」
「え、えぇ!?」
───────暗転────
「さ、シャワー浴びてご飯行こっか。」
「うん…」
30分後、杏がお風呂から出てきた。全裸で。
「家じゃないんだからさ。服着てきなよ。」
「ダイブ!」
「持田さん来たらどうするの。」
「大丈夫だって。」
部屋のドアがノックされた。声は持田さんだ。
「結依ちゃん入って大丈夫?」
「ちょっと待ってください!布団入って!」
「う、うん」
「はい、どうぞ」
「明日のセットリストなんだけどさ、あれ、杏ちゃん寝てるの?」
「なんか眠かったらしくて。で、セットリストがどうしたんですか?」
「空谷の跫音じゃなくて、脈からAshにしない?」
「構わないですよ。私もなんで空谷の跫音入れたのか分からないんですよね。」
「じゃあそれで伝えておくね。」
「よろしくお願いします。」
「お邪魔しました。」
パタン、と扉が閉まった。私は杏に服を着るよう促した。
「ほら!早く着替えて!」
「はーい…」
「服着た?わ、かっこいいじゃん!」
「えへへ、最近ボーイッシュスタイルにハマってるんだ。」
「じゃあ行こうか。夜はバイキングだからお昼は軽くしようね。」
「うん!」
そしてジンギスカン食べ放題に来ている私たち。
「やっぱり北海道はジンギスカンだよね!」
「初めて食べたけど美味しいね。タレが美味しい。」
「なんか有名なメーカーらしいよ。」
「へぇ。タレに詳しくないから知らなかった。」
ジンギスカンを食べ、札幌の観光名所をグルグ回ったあと、ホテルへと戻ってベッドに倒れ込んだ。
「た、食べ過ぎた」
「夕ご飯入らないね…」
「バイキング…海鮮…」
「明日も出るよ…きっと2泊3日だし。今日はいいんじゃ無いかな。」
「そうね…」
翌朝。すやすや眠る杏を横目にし、部屋を出て持田さんと合流する。今日のライブの打ち合わせをするからだ。
「昨夜は楽しめた?」
「ジンギスカン食べ過ぎて夕飯食べられませんでした…」
「はは、結依ちゃんらしくないね。」
「杏にも言われましたよ、それ。」 」
「今日の体調は完璧かな?」
「10時間寝たから元気ですよ。」
「良かった。プレミスト着いたら発声練習ね。あと、リハーサル。よろしくね。」
「はい。」
大和ハウスプレミストドーム。楽屋発声練習をした後、リハーサルに入る。
「じゃあ1曲目からお願いします。」
声の調子もいいし、歌も伸び伸びと歌えるくらい開いている。今日は大丈夫そうだな。
志乃ちゃんが入ってきた。
「おはようございます。よろしくお願いします。結依さんおはようございます。」
「おはよ。体調は万全?」
「はい!」
「お互いに頑張ろうね。」
「はい!勉強させていただきます!」
「そんなに畏まらなくていいよ。大丈夫。緊張しちゃだめだよ」
「はい」
ボーカルブースヘ向かう。さぁ、ショータイムの始まりだ。




