第77話 全国カバーライブ 「Wonderful world vol.1」③
20分の休憩を挟み、志乃ちゃんのターンである。会場からにSEとしてG.D.S.が流れている。G.D.S.が終わったと同時に凱歌、沈黙が眠る頃が始まる。
「凱歌か。そっちの路線から攻めて行くのね。デスボイスも出来るし発音も上手い。やるね。」
次の局はDOGING GREENだ。アルバムの流れと大体同じだね。低音から高音まできれいに出せるから羨ましい。私が初期〜中期からしかやらなかったのは、高音が思いのほか出なかったからである。悔しい。
「ホイッスルボイスまで出来てる!?」
ライバルがいるということはいいことだ。自分の欠点をしっかり見つめることが出来る。
次の曲はMACABREだ。アルバムMACABREバージョンつまり旧録バージョンである。
MACABREが終わると、しばらくの沈黙のあと、志乃ちゃんはアカペラで歌いはじめた。
「Uh…VINUSHKA…」
「VINUSHKA!?Bottom of the Deathvallyじゃなかったの!?」
セットリストを見る。Bottom ot the Deathvallyが消されVINUSHKAと書かれていた。
「お主、やりおるのぉ…」
志乃ちゃんは頭を振って会場を煽っていた。圧巻の光景である。そのまま間髪入れずにRED SOILへ。RED SOIJが終わると、志乃ちゃんが衝撃の一言を放った。
「かなり懐かしい曲を、GARDEN」
私は膝から崩れ落ちた。この勝負は負け確定だ。
会場のお姉様方も手扇子をしていた。
GARDENが終わり、私が立ち上がると同時にまた志乃ちゃんは言い放った。
「惨劇の夜」
私は昂る気持ちを押さえきれなかった。体が震える。この勝負、完敗だ。
気づけば舞台袖で頭を振っていた。周りのスタッフはドン引きしていただろう。
HADESが終わり、始まったのは本公演2度目のumbrellaだ。私もついぴょんぴょん跳ねてしまう。
DIFFERENT SENSE が終わり、始まったのがRevelation of Mankindだ。これは頭を振るしかなかろう。そこからノンストップで歌い続け、最後、THE FATAL BELIEVERを以って志乃ちゃんのターンが終わった。
「お疲れ様志乃ちゃん」
「お疲れ様です!」
「ポカリ飲む?あとのどスプレー」
「わー!ありがとうございます!いただきます!」
「それにしてもGARDENと惨劇の夜はズルいよ志乃ちゃん」
「どうしてもやりたかったんですよね。すいません。」
「謝ることはないけどさ…あと途中でVINUSHKAに変わったのはびっくりしたよ。」
「Bottom of the Deathvallyもやりたかったんですけどね。喉が。」
「シャウトするからね。じゃ、ゆっくり休んでね。」
この勝負は私の負けだ。次のジョイントライブを楽しみにしよう。




