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wonder! とある2人の恋愛事情  作者: かなたん


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第76話 全国カバーライブ 「Wonderful world vol.1」②

上手袖に立つ。ちらっと見ると会場はパンパンに人が詰まっていた。


「怖っ」

「まだスタジアムの方がいいですよね…」


 会場内にはSEが流れている。客席の熱量も上がってきているのが分かる。


 会場内のSEがGAUZE-mode of adam-に切り替わる。出撃の準備だ。


「結依ちゃん行ってらっしゃい」

「結依さん頑張って!」

「うん。見ててね。」


 私がステージに立つと、いつもの声とは違う声が聞こえる。


 ZOMBOIDからスタートしたライブは、イントロが流れた瞬間に悲鳴に変わった。


「ナースコスプレ「に」舐められながら我慢できずに○○のお時間です」

「5分足らずのお時間でしたが、堪能トリップトラップSトリップです」

 

「アイドルが歌う曲じゃない…」

「結依ちゃんらしいよね。掛け合いも楽しそうだよ。今日はアイドルじゃなくて、ソロの平塚結依なんだろうね。」

「なるほど…」 


 次に流れた曲で会場のボルテージは一気に上がった。

 egnirys cimredopyh +) an injectionである。この前のラジオでも流したが、会場では初披露である。頭を振る者、手扇子をする者など三者三様だ。それに何度も転調するこの曲に、よく付いてこられるものだ。


 3曲目 THE FINAL いつものように床に座り込むようにして感情を込めて歌う。

「未遂の蕾咲かせよう─」から間髪入れずにMerciless Cultへ。会場からは拍手が湧き上がった。


「す、すごい…。これが平塚結依…」

「ね?すごいでしょ?」

「びっくりです。前回はMerciless Cult〜THE FINALでしたが、逆にするだけでこんなに変わるとは…」


 ここからは理由、予感と比較的穏やかな曲が流れて、MCが入る。


「皆さんこんばんは、平塚結依です。」

「結依ちゃーん!」「結依ー?」


「ノリ方が90年代みたいでいいですね、産まれてませんけど私」


 会場が爆笑に包まれる。わたしは続けた。


「全国カバーライブツアーが始まりました。しばらくはwonderはちょっとだけお休みです。でもカバーライブツアーが終わったら…3日間位かなお休みいただいてwonderの平塚結依に戻るから待っててね、」


「待ってるー!」「待ってるよー!」「結依ちゃーん!」

「ふふ、ありがとう。じゃあ次の曲、あ、歌わないやつだ、各々好きな時間を過ごしてください、Hydra」


 私はギターアンプにもたれかかながら、会場内を見ていた。


 私に手を振る人、Hydraで頭を振る人などなど。

全てが愛しい。Hydraが終わるとドラマー泣かせのUglyだ。会場が一体となってフリをしているのがわかる。最後の方の「Distraction」はみんなに叫んでもらった。そのままumbrellaへ。私はこのumbrellaが大好きだ。


「叫べー!」


 その号令で全員がサビを叫ぶ。叫び終わったら私が歌う。の繰り返しである。


 第一部最後はJESSICAだ。軽やかに歌い上げMCに入る。


「大阪ー!」

「イエー!」

「大阪ー?」

「イエー?」

「ノリいいね!全国カバーライブツアー wonderful worldへようこそ!」

「結依ちゃん!」「結依ちゃーん!」「ZOMBOIDしてー!」


「今不穏な単語聞こえたんだけど笑。しないよ?」

「wonder好きな人!おー、いいねぇ、Dir en grey好きな人!おぉいいね。両方好きな人!おぉ、全員じゃん!嬉しい!」

「いや、Uglyの時ちょっとだけね、ノリが悪かったなって気がして。wonder好きだけどDir en greyは…とかさ、アイドルがDir en grey歌うなんて…とかさあるじゃない。でもそれが無くて良かった!」


「第2部始まるけど、みんな飲み物飲んだ?水分補給は適度にね。じゃあいこうか。第2部はこの曲で。懐春」


 懐春を滑らかに歌い終えたあと、「神奏」が流れ、男の子のセリフからBerryへ。みんなすごいヘドバンしてる。「daddyとmammyがね眠りに就くと そっと忍び寄り Ah お前から打ち抜こうか〜」の部分で指で拳銃を作り、目の前の男の子の頭に突きつける。男の子はびっくりしていた。


 ギターのタッピングから鴉-karasu-へ。原曲に忠実に、なおかつ私なりの解釈で歌い上げた。

 cage、FILTHと続き、曲は脈へと入った。大阪城ホールの脈を参照したりして。「おぉっ!」という声が聞こえた。そのままAshへ。あ、脈のセリフはちゃんと言えました。


「みんな本当にありがとう!ラスト!太陽の碧!」


 泣いてる子がいた。私はその子を見つめ、かつみんなを指差しながら「大切なものは「」思い出は…」と歌い上げた。最後、ギターの音を長く弾いてもらった。来てくれたみんなの顔を少しでも長く見たかったから。そして。


「みんなありがとう!また後で!水分と塩分は補給してね!」


 ハケる。志乃ちゃんが私にポカリを渡してきた。受け取り飲み干す。


「私、結依さんを負かします。」


 そう言って志乃ちゃんはメイクルームへと行った。


 楽しみにさせてもらおう。

 

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