第75話 全国カバーライブ 「Wonderful world vol.1」①
「結依ちゃん〜志乃ちゃん〜全国カバーライブ決まったよ〜」
「え?」
「ほんとですか!?」
「ほんともほんと、持田さん嘘つかない。セットリスト考えといてね。最初は大阪MUSEからスタートだよ。」
「ちっちゃ!」
「ちっちゃいんですか?」
「キャパ350人だよ」
「小さっ!」
「段々と大きくなってくるから。よろしくね〜」
そう言って持田さんは行ってしまった。私と志乃ちゃんは顔を見合わせながら言った。
「セットリスト考えよっか…」
「はい…」
〜会議室〜
「今回は2人とも秘密にしようね。楽しみにしたいから。」
「はい。」
各自部屋にこもってセットリストを考える。
「んー初期〜中期中心になっちゃったな。まぁ、全国カバーライブらしいし、使い回してもいいかな。1曲目どうしようかな。みんながびっくりする感じの曲…あ。」
思いついた。早速1曲目に追加する。私が歌ったら別の意味で話題になるだろうな。
しばらくCD音源と戦いながら、セットリストが完成した。志乃ちゃんのセットリストはどうなっただろう。
それから個人レッスンが始まる。のどを柔らかくするために行う発声練習や柔軟体操を行い、体を歌える状態にしていく。wonderでもそうだが私は妥協を許さない。
「あ、すいません、半音ずれました。もう一度ドからお願いします。」
「え、今半音ずれた?」
「確実に楽譜には当たってたと思うけど。」
「もう一回お願いします。」
「はい。」
セットリストのプレイリストを作り、家でも空いた時間は楽譜とにらめっこだ。
「ねぇ結依」
「どうしたの杏?」
「体調大丈夫?」
「大丈夫だよ。すごく調子いいよ。」
「そっか。ならいいんだけど…」
「心配ありがとうね、杏。」
「うん…」
2ヶ月間、コンディションを整え、今私たちは大阪にいる。
「大阪だー!」
「大阪ミューズに挨拶してから荷物置いて結依ちゃんと志乃ちゃん以外は観光行ってきていいよ〜。志乃ちゃんと許さないちゃんリハーサルね。」
「もちろんです。このためにのどを作って来たので。」
「今日全席完売、心斎橋BIGCATも完売だって」
「え?本当ですか?」
「本当本当。今回倍率やばかったみたいだよ。結依ちゃん志乃ちゃん取れないってXが阿鼻叫喚だよ。」
「絶対埋まらないと思ってました…。」
「あの有名なwonderの中で有名な2人が有名なDir en greyをカバーするんだよ?埋まらない訳がない。」
「JA○RACにお金払ってますよね?」
「もちろん。」
とりあえずリハーサルである。
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いしますー。」
「よろしくー。ZOMBOIDからでいいかな?」
「はい、お願いします。」
あー、ズレました。もう一回大丈夫ですか?」
「大丈夫だよー。」
「…うん、OKかな。大丈夫です、ありがとうございます。」
楽屋に戻って体を拭き、メイクをしてもらう。今頃は志乃ちゃんがリハしてるところだろう。
負けられない戦いが、ここにある─




