第74話 Interlude:2人の話
「ねー、結依ー!」
今日は一段と甘えてくる。ここ最近志乃ちゃんとしか絡んでないから当然っちゃ当然かな?
「何?」
「どっか行こうよー!せっかくの休みなんだよー!」
「んー、いいよ。あ、海でも行こうか。」
「海!やってるところあるの?」
「分かんない。調べてみて。」
「うーん、無いみたい。」
「じゃあ公園でピクニックとかは?」
「いいね!そうしよう。」
という訳で公園のベンチに座って私手作りのサンドイッチを食べている訳である。
「たまにはこういうのもいいねぇ」
「天気もいいしね。」
「ねぇゆいは疲れないの?」
「何が?」
「アイドルと大学生の二足の草鞋。たまに結依が壊れないか心配になる。」
杏なりに私のことを心配してくれているようだ。
「大丈夫だよ。余裕を持って作ってるから。それに 8時間睡眠は出来てるし。」
「ならいいけどさ…」
「それにしんどかったら辞めてもいいってお母さんにも言われてるし。」
「wonderを?」
「大学だよ。wonderは解散しない限り辞めないから。」
「そっか。なら良かった。」
「wonder辞めるって言ったら絶対引き止めるでしょ?」
「当たり前だよ、絶対辞めさせない。」
私はサンドイッチをかじりながら、いつまでアイドルを続けられるんだろう。
アイドルだけじゃなくて、俳優もやらせていただいてる。だから私はアイドルはいつ辞めても大丈夫だが、杏はどうだろう。
…でも杏は1人でアイドルを続けていくんだろうな。
杏にはそれもいいかもしれない。別にwonderを解散させたい訳じゃないけど。
「結依?」
「あぁ、ごめん。考え事してた。」
「ならいいけど。久しぶりにブランコ乗ろうかな!」
そう言って杏はブランコに走っていった。(転ぶぞ…)とか思いながら。
「ぎゃっ」
やっぱり。
「あーあ、大丈夫?水道水で膝洗うよ。」
傷口を水で洗い、サンドイッチを包んでいたバンダナで傷口を覆う。
「これで応急処置は大丈夫だね。家に帰ったら抗生物質の軟膏塗ろうね。」
「うん。ありがとう。」
まるで親子だ。杏はそのままブランコに向かった。
揺れるブランコを見ながら、またwonderの将来を考えた。
最近莉緒ちゃんの人気が高まり始めている。歌も上手くなってきたし、ダンスにも力が入ってきた。
実を言えば。
オーディションが行われたのは、皐月ちゃんから「卒業したい」との申し出があったからだ。社長も持田さんも止めたが、彼女の意思は固かった。次のライブが卒業ライブとなる。本人は「大袈裟なセレモニーはいらない」とは言っていたが、花を贈呈する位はいいだろう。
「あー、ブランコ楽しかった。久々にのると楽しいもんだね。」
「そうだね。平衡感覚鍛えられるらしいよ」
「平衡…感覚…?」
「乗り物酔いしにくくなるんだよ」
「そうなんだ!あ、ジャングルジム!」
「子どもか。行っちゃった、」
ま、何とかなるでしょ。
そう思いながらまたサンドイッチにかぶりついた。
いい一日だ。




