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wonder! とある2人の恋愛事情  作者: かなたん


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第59話 2人のお話

「ねぇ。」

「何?」


 パソコンに課題を打ち込んでいると、杏が話しかけてきた。


「最近三矢さんとやけに仲がいいじゃない?」

「志乃ちゃんは前向きだし、SCISSOR好きだし、向上心あるからね」

「なんかトゲが無い?」

「杏の事は一切言ってないよ。」


 画面に目を向けると、杏が顔をパソコンに顔を捩じ込んできた。


「ねぇ、結依は私から離れていかないよね?三矢さんに寝返ったりしないよね?」

「私がそんな事すると思う?杏にとって私はそんな女?」

「ちがっ」

「この指輪は何のためにあるの?外そうか?」

「違う!私、そんな事言ってない!」


 このままではまたケンカになるな、と、私が折れた。


「私の特別は杏だけ。志乃ちゃんは可愛い後輩だから。」

「うん…」

「どっか出かける?気晴らしにでも。私も課題終わったし。」

「ほんと!?」

「30秒で支度してね。」

「うん!」


 5分後


「お待たせ!」

「渋谷にでも行く気?」


 いわゆるロリータファッションに身を包んだ杏。まぁ、渋谷でもいいけどさ。


「渋谷行く?」

「行きたい!パンケーキの美味しい店があるの!」

「こないだの店じゃなくて?」

「また違う店!ファンの子が教えてくれたの!」

「じゃあそこ行こうか。」

「うん!」


 私も支度をし、家を出る。


 電車で20分。渋谷に着いた。


「なんか久しぶりだなー。こっちこっち!」

「わっ」


 私の手を引き、歩き出す杏。たまには主導権を握らせるのもいいか…。


 駅から歩いて10分。そのパンケーキ屋さんはあった。佇まいはおしゃれだ。


「いらっしゃいませ。2名様ですか?」

「はい!」

「窓際の景色のいい席をご案内します。」

「やった!」


 席に座り、メニューを見る。私はこのソフトクリームの乗ったパンケーキにしようかな。


「杏、決まった?」

「このダブルソフトクリームのパンケーキにする!」

「じゃあこのダブルソフトクリームのパンケーキ2つとアイスコーヒーで。」

「私はアイスティーで!」

「かしこまりました!」


 やたらと元気な店員さんだった。パンケーキを待つ間、杏が色んな話をしてきた。主に新人たちの話だ。明日香ちゃんは杏の厳しいレッスンに耐え抜いているらしい。頼もしい。


「ダブルソフトクリームのパンケーキでございます。こちらアイスコーヒー、こちらアイスティーになります。」

「美味しそう!」


 杏が写真を撮る。SNSに上げるのだろう。

 ソフトクリームは生乳100%らしい。確かに美味しい。パンケーキも生地がふわふわで、メープルシロップも美味しい。


「うわ!美味しい!」

「美味しいね。アイスコーヒーの苦味に合う。」

「ソフトクリームがたまらないぃぃぃ」

「すいません、アイスコーヒーおかわりいただけますか?」


 ものの15分で食べ終えた。アイスコーヒーを飲みながらまったりしていると、店員さんが近づいてきた。


「あの、もし人違いだったら申し訳ないんですが、wonderの平塚結依さんと市川杏さんですよね?」


 一瞬、時が止まった。なぜバレた?あ、伊達メガネしてなかった。


「はい!市川杏です!」

「平塚結依です。」

「やっぱり…!あの、大変に申し訳ないんですが、サインとお写真いただけませんか…?」

「いいですよ。はい、杏。」

「…はい!ここのパンケーキの写真SNSに載せていいですか?」

「是非!」

「あと、写真ですよね。ほら、杏立って」

「じゃあいきまーす!はい、チーズ!」

「ありがとうございました!」


 アイスコーヒーを飲み干し、会計をする。サイン色紙と写真は入り口に飾られるらしい。


「ごちそうさまでした。」

「ありがとうございました!またお越しください!」


「いい店だったね。」

「行く先いく先でwonderってバレるよね。なんか知らないけど。」

「まぁ、いいんじゃない?宣伝だよ宣伝。はい、投稿完了〜。」

「次どこ行く?」

「服見にいきたい!」

「じゃあ109かな。あそこ私には敷居が高いんだよね。」

「大丈夫大丈夫。さ、行くよ。」


 そこから3時間杏の服選びに付き合わされ、家に着いたのは19:30だった。


「疲れたー!」

「夕飯、済ませてきて良かったね。」

「そうだね、あ、杏お風呂沸かしてくれる?」

「あい!」


「杏」

「ん?」

「明日からまたwonder始まるけど、杏の特別は私だからね。大丈夫だから」

「…うん!」


 明日からまた頑張ろう。そう思えた1日だった。

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