第58話 新メンバー加入!
「オーディションの合格者が決まった。」
「三矢志乃です、よろしくお願いします!」
「今泉明日香です、よろしくお願いします!」
「あれ?2人?」
「加藤さんは辞退した。」
私は杏を見た。顔を逸らした。
「まぁ、最終的に2人ってなっただけで、炎上は収まったし、良かったな!」
「今度からこっちにも相談してくれる?」
「了解…。とりあえず三矢の教育係は平塚、今泉の教育係は市川な。頼んだぞ。」
「よろしくね。」
「よ、よろしくお願いします!!」
「ふふ、顔真っ赤。アイドルとしての基礎を教えていくからね。」
「あの、私、ほんとに結依さんのファンで!よ、よろしくお願いします!」
「ありがとう。今日から一緒に頑張ろうね。」
「はい!」
「今泉さん」
「はい!」
「ビシバシ行くからね。私はそんなに優しくないから。」
「はい、よろしくお願いします!」
「とりあえず柔軟と発声から始めるよ!」
柔軟体操と発声練習は2人は見学である。私は莉緒ちゃんと、杏は皐月ちゃんとペアを組む。いつもとは違うペアだ。杏がこっちを睨んでいる。
「莉緒ちゃん意外と体柔らかいね」
「そ、そうかな?」
「うん。柔らかい。」
「あ、ありがとう(いい匂いする…)」
「…」
「痛い痛い痛い!市川さん痛い痛い!」
「面白いね。」
「そうだね。」
発声練習が終わり、歌のレッスンである。今日の課題曲は「花束」だ。
「サビが合わないね、なんか」
「なんか違和感があるね。」
「もう一回やってみよっか」
♪〜
「やっぱりなんか違和感がある。」
「なんだろう…。あ!これ回収盤だ!」
回収盤とは。花束が発売された時に、間違えてチューニングが合ってない盤が流通し、回収騒ぎになったのだ。それを回収盤と呼んでいる。何で回収盤がまだあるんだろう。
「とりあえず新しいのにして…もう一回」
♪〜
「うん、良くなったね。次は何やる?」
「Blossomにしようか。」
「そうだね。」
Blossomも比較的難しい曲に入る。私でも覚えるのに1ヶ月かかった。
♪〜
「あ、Bメロ間違えたね杏。やり直し。」
「厳しい!」
「新人ちゃんたちに現実を叩きつけないと」
「鬼!」
30分後、フリが完成したところで休憩に入る。志乃ちゃんが走ってきた。
「結依さん、かっこよかったです!」
「そう?ありがとう。これくらい厳しいレッスンになるから覚悟しといてね。」
「はい!」
「…ところで今日は何聞いてきた?」
「見えないウワサです!」
「Number cutの?」
「会場限定盤です。」
「マイナー!最高じゃん!」
メキョッという音が聞こえた。壁に杏の拳がめり込んでいた。
「怒らせるとあぁなるからね。気をつけて。」
「は、はい!」
後半は新人たちを含めてのレッスンだ。課題曲はworld wonder!である。
「明日香ちゃん今ズレたね。ちょっと戻って、2分30秒から。はい。」
♪〜
「うん、いいんじゃないかな。次通しで、ノンストップでやってみよう。」
♪〜
「はい、よく出来ました。お昼ご飯にしようか。」
レッスンは基本的に自分たちでやる。振付師が入ることもあるが、基本的には自分たちでフリを考える。それが地下アイドル時代からやってきたことである。自分たちで作ったもの、自分たちが満足するものにしたいからだ。
「明日香ちゃんお弁当美味しそうだね。」
「母が作ってくれるんです。」
「志乃ちゃんはコンビニか。楽でいいよね。」
「結依さんは手作りですか?」
「そうだよ。いっつも手作り。」
「いいなー、私も自炊しようかな。」
「志乃ちゃん、一人暮らし?」
「そうです。」
「そっか。大変だね。」
お昼休みが終わると、各自自由時間となる。自己練習んしたり、眠ったり。自由だ。私は今度出演するドラマの台本を読んでいた。
「結依さん結依さん、今度のライブでGhost shipやりませんか?」
「あれに振り付けるの?」
「ライブ映えすると思うんですが。」
「そうだね、提案してみよっか。」
杏がこちらを鬼の形相で見ている。
なんだかんだで今日のレッスンは終わった。明日は休みだ。
「帰るよ、結依」
…こりゃ家帰ったらお説教コースだな。




